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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第十九話 エリー奪還作戦
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再会

 恵梨香が新幹線でやってきたのは冬も頭の頃だった。


「久しぶり~!」


 そう言って、私は小学校時代に戻ったかのように駆け足で彼女に近づく。


「久しぶりだね、翠」


 恵梨香はそう言って微笑む。


「髪、染めたんだ?」


 彼女は金色の派手な髪色をしていた。顔は童顔で、年を取るのをやめてしまったかのようだ。


「うん。まあ事情があって」


「演劇でもしてるとか?」


「近い!」


「へえ。気になるなあ」


「ちょっとした喜劇だよ」


 そう言って、彼女は歩き始める。


「この土地も離れて久しい。どっか酒飲めるとこへ行こう」


 彼女の言うことも尤もだと思ったので、私も歩き始めた。


「それにね、変わったのはお互い様」


 彼女は拗ねたように言う。


「若すぎ。実際に待ち合わせ場所で会うまで本人と思わなかった」


 実際肉体年齢を若くしてるのでなにも言えない。

 辿り着いたのは、対面で刺し身を食べる料亭。


「そっか。剛は死んだか」


 そう言って、恵梨香は考え込むような表情になる。


「長生きはしないだろうと思ってたけどね」


「それにしても、早すぎるわ」


「自殺だったの?」


「それもあるけど、決定打は心臓麻痺」


「……わかんないもんだね。あんな健康優良児が」


「ほんとねえ」


 私がとどめを刺したのだ。そんな言葉を、飲み込む。


「覚えてる? 小学生の頃、何度もあなた達を二人っきりにさせて遊んだの」


「困ったよ。おかげで剛とは仲良くなったけどさ。間が保たないこともしばしばあって」


「今は違う彼氏がいるんだっけ」


「同窓会にすら行かせてくれない心配症の彼氏だよ」


 苦笑交じりに言う。


「それでも、彼氏は彼氏だ」


 そう言って、恵梨香は酒を一口飲む。


「大事にすることだね」


「大事にはしてるよ。感謝してる面もあるし」


「いいことだ」


 その日は、二人のそれまでの時間を話せる範囲で話した。

 警察に協力していることも話した。

 そして、ある程度酔ったところで、解散となった。

 恭司が車で迎えにきて、二人で乗りこむ。


 恭司は恵梨香をホテルに返すと、車を自宅に向けた。


「あー、セレナの様子見たいな」


 恭司は無言で行き先を変える。

 良い彼氏ではあるのだ。そう思い、苦笑する。




第二話 完

次回『金色の戦士』

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