再会
恵梨香が新幹線でやってきたのは冬も頭の頃だった。
「久しぶり~!」
そう言って、私は小学校時代に戻ったかのように駆け足で彼女に近づく。
「久しぶりだね、翠」
恵梨香はそう言って微笑む。
「髪、染めたんだ?」
彼女は金色の派手な髪色をしていた。顔は童顔で、年を取るのをやめてしまったかのようだ。
「うん。まあ事情があって」
「演劇でもしてるとか?」
「近い!」
「へえ。気になるなあ」
「ちょっとした喜劇だよ」
そう言って、彼女は歩き始める。
「この土地も離れて久しい。どっか酒飲めるとこへ行こう」
彼女の言うことも尤もだと思ったので、私も歩き始めた。
「それにね、変わったのはお互い様」
彼女は拗ねたように言う。
「若すぎ。実際に待ち合わせ場所で会うまで本人と思わなかった」
実際肉体年齢を若くしてるのでなにも言えない。
辿り着いたのは、対面で刺し身を食べる料亭。
「そっか。剛は死んだか」
そう言って、恵梨香は考え込むような表情になる。
「長生きはしないだろうと思ってたけどね」
「それにしても、早すぎるわ」
「自殺だったの?」
「それもあるけど、決定打は心臓麻痺」
「……わかんないもんだね。あんな健康優良児が」
「ほんとねえ」
私がとどめを刺したのだ。そんな言葉を、飲み込む。
「覚えてる? 小学生の頃、何度もあなた達を二人っきりにさせて遊んだの」
「困ったよ。おかげで剛とは仲良くなったけどさ。間が保たないこともしばしばあって」
「今は違う彼氏がいるんだっけ」
「同窓会にすら行かせてくれない心配症の彼氏だよ」
苦笑交じりに言う。
「それでも、彼氏は彼氏だ」
そう言って、恵梨香は酒を一口飲む。
「大事にすることだね」
「大事にはしてるよ。感謝してる面もあるし」
「いいことだ」
その日は、二人のそれまでの時間を話せる範囲で話した。
警察に協力していることも話した。
そして、ある程度酔ったところで、解散となった。
恭司が車で迎えにきて、二人で乗りこむ。
恭司は恵梨香をホテルに返すと、車を自宅に向けた。
「あー、セレナの様子見たいな」
恭司は無言で行き先を変える。
良い彼氏ではあるのだ。そう思い、苦笑する。
第二話 完
次回『金色の戦士』




