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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第十七章 叫んだって嘆いたって戻れりゃしないんだ
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天衣無縫対最強

 最強、天衣無縫、いずれも翠の異名である。

 最初は悪事を行う超越者へのけん制としてつけられた異名だったが、ソウルイーターとの戦い、石神事件、島津事件を解決に導き容れ物に中身が満たされたような安定感がある。


「はじめまして、は変かな」


 そう言って、翠は偽物に挨拶をする。

 偽物は返事をしない。ただ、火球を放った。

 翠は炎の障壁を作ってそれを受け止める。


「戦いで話そうってか。悪くない」


 そう言って、翠は宙に浮いた。

 そして、飛んでいく。

 偽物も空を飛ぶ。

 光剣が二本、ぶつかりあった。


「速すぎて援護はできないな」


 いつの間にか新しい銃を構えた相馬が、ぼやくように言う。


「その銃、どうしたの?」


「夢の中だからな。念じたら出てきた」


「なるほどね」


 翠と偽物は空中で光剣を合わせては物凄い速度で飛んでいく。

 たまに、炎や氷が飛び交うが、それは互いに致命傷を与えない。


「翠! 一瞬でいい! 相手の動きを止めて!」


「簡単に言いますけどね!」


 翠は不服げに言い返す。

 そして、その時がやってきた。

 二人の光剣がぶつかり合い、押しあった。


 銃声が鳴ったのは同時だった。

 相馬の放ったアイスブリットが、敵を氷漬けにする。

 そして、偽物は地面に落下した。

 炎で氷が溶ける。しかし、遅い。

 翠の光剣が、相手の額に突き刺さっていた。


「これで、ラストですかね」


 そう言って、翠は降りてくる。


「これ以上強い敵なんて想像つかないわよ」


 私は、ぼやくように言っていた。

 翠は、照れくさげに苦笑した。



+++



 病室は騒然としていた。

 イヤリングが光り輝いている。

 その横で、葵が画用紙に鉛筆を走らせる。

 描いているのは、草原と遠くに広がるビル街。


 封印は解かれた。

 イヤリングの記憶を読み取り、葵はその発掘地を描写していく。

 真千子は眠たげに欠伸をして横になった。



第十話 完



次回、第十七章大団円。

『叫んだって嘆いたって戻れりゃしないんだ』

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