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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第十七章 叫んだって嘆いたって戻れりゃしないんだ
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死闘

 相馬が英治を掴んで空を飛ぶ。

 私は火球を作って相手の火球にぶつけた、

 二つの力は拮抗していたか私のほうが上だったか分からないが、相殺して消えた。


 次の瞬間、敵の姿が消えた。

 真横から光の剣が突き出される。

 ワープからの不意打ち。

 私は前に転がって避ける。


 氷の刃が自分の意志を持ったように周囲を旋回し始めた。

 その時、銃声がした。

 相馬の銃が、翠の胸を射抜いたのだ。

 回復をしようと、翠は胸に手を当てる。


 それを、氷で包んだ。


「やったか?」


 相馬が言う。


「……いや、駄目だ」


 私はぼやくように言うと、低空に降りてきた相馬の手を掴んで宙へと浮いた。

 氷の中では癒しの光が輝いている。

 そして次の瞬間、炎が巻き上がり、氷を完全に溶かしていた。


「私達の攻撃が……全部、無駄に」


「なんでバイトで噛みちぎらなかった?」


「なんで頭を狙わなかったの?」


 私と相馬は訊ね合う。


「やり辛いな」


 相馬はぼやくように言った。


「まったくね」


 私も同意する。

 相手はただの容れ物だ。

 斎藤翠を模倣する人形。

 しかし、その外見が私達に躊躇いを抱かせる。


「必死にやろう。俺達が生き残るにはそれしかない」


「生け捕りは諦めるわ」


 私は、ぼやくように言っていた。

 そして、私は再び大地に降りる。


 炎の嵐が巻き起こった。

 それを、氷の壁で防ぐ。そしてそのまま氷を伸ばして、相手を包み込んだ。


「相馬! 頭を!」


 相馬が銃を構える。

 その銃身が、溶けた。

 相馬は慌てて銃を捨てる。


 そして、氷が割れていく。

 光の剣が、私に向かって投じられた。

 それは、私の脇腹を的確に射抜いていた。


「……そうか。鬼の力に、ドラゴンの力」


 私は絶望の篭った声で言う。

 相馬は攻撃手段を失い、私の攻撃も届かない。

 どうすればいい?

 ずるい手段を考えるのは得意だろう?

 自分に問いかける。


 しかし、プランが思い浮かばない。

 翠は、手をかざし、火球を浮かべ始めた。

 痛みで集中力が練れない。

 ここまでなのか。

 そう思った時のことだった。


「諦めないでください」


 その言葉は、聞き慣れた声で発せられた。

 翠が火球を放つ。

 それを、本物の翠が炎の障壁で受け止めていた。


「事情は葵くんから聞きました。緊急事態ということで私もソウルリンクで楓さんの夢に入らせてもらいました」


 安堵で体に入っていた力が抜ける。

 そう、彼女こそが正義のヒーロー。

 天衣無縫、斎藤翠。


 そして、二人の斎藤翠の戦いが始まろうとしていた。



第九話 完

次回『天衣無縫対最強』

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