表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第十七章 叫んだって嘆いたって戻れりゃしないんだ
225/391

天衣無縫

「お。帰ったか」


 相馬が淡々とした口調で言う。

 私は、英治の手を握った。


「な、なんだよ。急に」


「離さないで……」


「ああ、まあ、いいいけどさ」


「それにしても中学生時代が舞台だとはな。願望を抑えろよ」


「夢の中で願望を望んで悪い?」


 相馬の一言に、私は淡々とした口調で言う。


「行こう。最後の土地まで、そう遠くはない」


 そう言って、私は英治の手を離して歩き始めた。

 その後に、しゃがみこんでいた相馬と、英治が続く。


「お前がピンチだったらさ」


 英治が言う。


「俺が助けてやるよ。だから、安心しな」


「期待してるよ」


 私は苦笑する。

 その頬に、一筋流れるものがあった。

 涙だ。


「……大丈夫か?」


 不安げに相馬が訊く。


「大丈夫。それに、今度の相手は油断を許してくれる相手じゃなさそうだ」


 そう言って、私は天を仰ぐ。

 目の前には絶壁。空には、他でもない斎藤翠が浮かんでいた。

 天衣無縫、斎藤翠。

 それが、私達の前に立ちはだかる最後の敵のようだった。


「もうちょっとマシな敵が出るようにしろよ!」


 相馬が怒鳴る。


「私だって楽したいわ!」


 私はそう言い返す。

 巨大な火球が私達に降り注いだ。



第八話 完

次回『死闘』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ