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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第十七章 叫んだって嘆いたって戻れりゃしないんだ
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立ちはだかる障害

 絶壁まで、私達は再び辿り着いた。

 英治は絶壁の上を平然と歩いていき、向かいへと歩いていく。


 私は相馬に手を引かれて、空を飛んだ。


「飛行スキルか。いいなあ」


「まあ、便利だよ」


 相馬はぼやくように言う。


「調子が狂う。あいつが俺を知らない状態なんて不可思議だ」


 相馬は小声で言う。

 私は苦笑するしかない。


 そして、私達は、絶壁の向こうに辿り着いた。

 そこに、彼は立っていた。

 石神勇人。

 異世界への移動を夢見、ゲートを開こうとして、翠に阻まれた男。


 氷が周囲に走った。

 英治が炎のスキルを盾にしてそれを阻む。

 私は空中から、氷のスキルを放った。

 石神が氷漬けになる。


 次の瞬間、石神はその場からいなくなっていた。

 ワープ能力だ。


 相馬が銃を取り出して真横に放つ。


「トルネードブリッド」


 弾が回転し、相手の肉を貫いていく。

 石神は徐々に落下していく。

 しかし、手から輝く治癒の光が傷を癒やしていた。


「動きが鈍くなれば十分だ」


 そう言って、私は手をかざした。

 氷の歯が現れて、石神を噛み砕いた。

 石神の姿が消えていく。


 そして、絶壁が消えた。

 イヤリングの防壁を一つ超えたのだ。


「やるなあ」


 英治が感心したように言う。


「どってことないよ」


 私は平然とした表情で、英治の横に立つ。


「いきなりレベルアップしすぎじゃね? 俺じゃ届かないな」


「そんなことないよ」


 私は、胸が苦しくなるのを感じた。


「君は私に、並び立っていた」


「楓……?」


 英治は戸惑うような表情になる。

 私は、英治を抱きしめたいような気持ちを抱えて、その場に立っていた。

 全ては思い出だ。

 私の感傷だ。

 節子と英治がいるこの時代が舞台になったのも、私の感傷だったのだろう。

 私は滲んだ涙を拭い、前へ向かって歩き始めた。



第四話 完



次回『嫌な予感』

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