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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第十七章 叫んだって嘆いたって戻れりゃしないんだ
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歪み

「遠くの町に行きたいなあ」


 というのが、節子の口癖だった。


「じゃあ県外の大学行くの?」


「そうなるかもねえ。髪の色も変えてイメチェンしてさ」


「節子は黒髪が似合う気がするけどな」


「まあね」


 否定しない。自信があるのだろう。敵わないな、と思う。


「じゃあ、今日はちょっと遠くまで行ってみる?」


「いいね。力が続く限り行こう」


 そして、私達は学校が終わると自転車に乗って走り始めた。

 いつもの景色。

 それが徐々に見知らぬ景色になって、歪んでいく。


 目をこする。

 視力がおかしくなったのだろうか。

 風景がはっきりと見えない。


 節子は平然と自転車を走らせていく。

 そして、ついに町は途絶えた。

 絶壁が私達の前に立ちふさがる。

 その上を、節子は平然と走っていく。


 私はブレーキを踏んで、落ちることを避けた。


「これは……?」


 戸惑いながら、呟く。日本にこんな危険な道路はないはずだ。


「なにしてるのー、おいでよー」


 節子の声がする。向かいについたようだ。


「ここがお前の限界。知識の果て」


 その声は、頭上からした。

 昨日の男が空から降りてきた。


「そろそろ思い出さないか? お前の真の目的を」


 焦れったげに、男は言う。近場の高校の制服を来ていた。

 その瞬間、私の脳裏に色々な情報が入り込んできた。


「そうか、私は、賢者の石を……」


「そう。それを求めて、俺達はソウルリンクをしている。まあ」


 そう言って、男は苦笑する。


「中学校時代の節子を見れたのは役得だったがね」


 もう節子の声はしない。


「一度、帰ろう。スタート地点からやり直そう」


 そう言って、男、相馬は空を飛んでいく。

 その後に、自転車で続いた。



第二話 完

次回『現実世界』

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