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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第十六章 園部勇気は恋との上手な付き合い方を知りたい(第三部最終章)
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園部勇気は援護を図る

 斎藤翠はトイレで三度胃の中のものを吐いた。

 三度目は、セレナが心配そうにタオルを持って見ていた。


 ありがたくタオルを受け取り、口元をふく。


「また、悪い夢、見たの?」


 セレナが不安げに言う。以前感じたような圧倒的な魔力は感じない。その代わり、表情が柔らかくなったように思う。


「ちょっとね。私は二人、剣で手にかけている。どっちも悪党だ。生きててもろくなことはしなかっただろう。わかってはいる。理屈ではわかってはいるんだけど……手にこびりついた感触は消えてはくれない」


「お母さんは優しすぎるね」


 セレナは苦笑交じりに言う。


「私なんて二人を吹っ飛ばしたけど気にしてないもん」


「それは、あなたが命令で動いていたからだわ」


 翠は、セレナの頭を撫でる。


「人を傷つけることだけはやめなさい。悪く言うのもやめなさい。害をなせば害は形を変えて返ってくる。それが私の短い人生経験で得た教訓」


「難しい話だけど、わかったことにしとく」


「いずれ、わかるわ」


 そう言って、翠は苦笑した。



+++




 アラタと黒い霧の女の戦いは、アラタが優勢な状態で進んだ。

 相手は既に、腕と足に重症をおっている。

 響が警察を呼んでいるし、囲まれるのはすぐだろう。


「驚いたな。在野に人材というのは転がっているものらしい」


 アラタは感心したように言う。


「敵を褒めるか」


「ああ。お前が味方になってくれれば、俺達の仕事も随分楽になるだろう」


 女は黙り込む。


「来ないか? 一緒に」


 そう言って、アラタは手を差し出す。


「それがあなたの甘さよ、アラタ」


 そう言った次の瞬間、霧がアラタの視界を奪った。

 大振りで振り下ろされた刀を、アラタは引いて躱す。


「二人がかりで行くぞ、勇気!」


「はい!」


 そう言って構えた私だが、その時には敵の姿はなくなっていた。


「……消えちゃいましたね」


「ワープスキル持ちか。ますます厄介だな」


 アラタはそう言って、溜息を吐いた。



第四話 完

次回『園部勇気は他校に入り込む』

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