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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第十五章 偶像症候群/RPGなんて懲り懲りだ
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ドリームチケット

 ドリームチケットを枕の下において目を閉じる。

 そう言えば知人に不眠症の人がいたな、なんてことを考える。

 あの人はこんな気分なのかもしれない。

 中々寝付けない。


 しかし、気がつくと、僕の意識は闇の中へと落ちていった。


「はい! はい! はい! はい!」


 集団のコール音。

 熱気。

 振られる数百のペンライト。


 そして、聞こえる歌声。

 僕は寝間着で、ライブ会場の席にぽつんと座っていた。


 舞台の上では三人の少女が歌っている。

 その透明感のある歌声と、それぞれの音域を上手く活かしたハーモニーは、とても心地良い。


「お前さん、ドリームチケット初心者かい?」


 そう、隣の席の男に声をかけられた。


「初心者っていうか、今日が初めてです」


「そりゃー寝間着でも仕方ねえな。ほら、ペンライトやるよ。一緒に盛り上がろうぜ!」


 そう言われて、ペンライトを渡される。

 戸惑いは、徐々に薄れ、熱狂へと変わっていった。


 夜の夢の中、人々は一体感を味わい、それは叫びとなる。

 汗をかいてペンライトを振った。

 あっという間に時間は過ぎていった。


「じゃあ、今日もクライマックスはこの人です。チーコ、おいでー!」


 熱狂の声が上がる。

 そして現れた人物を見て、僕は顎が外れるんじゃないかと思うほど口を開いた。

 可愛いステージ衣装に身を包んだ真千子が、他の歌手達とハイタッチしていた。

 学校みたいに赤フレームの眼鏡もしていないし、髪もアップにしていない。けど、あれは真千子だ。


 そして、真千子はセンターに立って歌い始める。


 熱狂は最高潮に達する中、僕は学校とは別人の彼女を見て呆然としているしかなかった。




第二話 完




次回『超能力者は君だけじゃないんだよ』

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