任せろ。私は正義のヒーローだからね
「おーい、誰だよブロックここに置いたやつ」
「へっへー俺だよー」
「セレナか。らしいっちゃらしいけど」
「私もブロック置こうかな」
「閉じ込められるからやめてくれ……」
エレーナの房から賑やかな声が聞こえてくる。
翠、さつき、セレナ、エレーナが遊んでいるのだ。
「いいんですかね、房でこんなことさせて」
「いいんじゃない。彼女達は、本来ならば普通の学生だったんだから」
看守と私は、そう会話する。
「大丈夫なんでしょうか? もし、選ばれし子供達が暴走したら」
「薬は飲んでる。大丈夫さ」
「いや、そういう意味ではなく……」
「じゃあ、どういう意味?」
看守は口籠る。
私は微笑んだ。
「明日は死地かもしれないんだ。ちょっとでも楽しい時間をって思うさ」
「そういうものですか」
「そういうもんです」
「私は安全な位置にいるからわからないところです」
「そう変わらないよ。看守業だって一手間違えれば後から悔いるような怪我するでしょう?」
「ええ、まあ。前任者はそれは酷いものでした」
「一緒さ。私達は、戦っている。そして、彼女達も平和を大事に思っている」
看守は黙り込む。
「全部終わらせないといけないね」
「期待していますよ。ソウルキャッチャー殿」
「ん、任せろ。私は正義のヒーローだからね」
少女達の賑やかな笑い声は響き続ける。
私は、それを聞いて微笑んでいた。
嬉しかった。日常を取り戻しつつある彼女達が。
そして、それを守らねばと、心から思った。
第十三章 完
今週の更新はここまでです。




