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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第十三章 悪魔との契約
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災いの地

「これは、日本そのものがそういう傾向がある国なんだがね」


 壮年の男が、椅子にもたれかかって言った。

 女性が、眼鏡の位置を整えながら言う。


「はい」


「あの土地は、昔から霊的なトラブルが何度も起こった地なんだよ」


「なぜ改善しようとしないので?」


「五芒星は引かせただろう?」


「まあ、そうですけどね」


「だから、半分霊的な存在である超越者はあの地に集まるのさ。運命か偶然か必然かはわからないところだけどね」


「今回もその一環だと」


「ああ、そういうことだ」


「他の土地から援軍を送ることはしないので?」


「あの地の戦力で勝てない敵なら、そもそもこちらの負けさ。それ以降……魔物の徘徊する世界を見据えて、戦力は温存しなければならない。中途半端な実力者を送れば敵に取り込まれる恐れもある」


「信頼してらっしゃるんですね」


「正直、特務隊だけで武豊は処理できると思うよ。正面衝突してないだろ、彼ら」


「特務隊に出動の知らせが遅れたのと、最近勢力を伸ばしている楓派の活躍のせいですね」


「自分の下に人が集まる。それも宿星というものさ。彼女は、世が世なら傑物になっていたかもしれない」


「平和な世界でなによりです」


「最悪のケースになれば僕が直接出る。まあ……そうなった時は」


 壮年の男は、立ち上がって窓際に立った。


「血の雨だろうがね」


 そう言って、煙草の箱を取り出す。


「ここ禁煙ですって何度言えばわかるんですかね」


 女性が呆れたように言う。


「煙草そのものをやめません? 高いでしょ、今」


「昔の倍近い額だねえ。けど知ってるかい? 煙草を吸わなくても吸ってても癌になる時はなるんだ。善人でも悪人でも罪を起こす時は起こしてしまうように」


「武豊は善人だと……?」


「純粋すぎるのさ」


 そう言って、壮年の男は部屋を出ていった。

 その背中には、見るだけで相手を畏怖させるような迫力があった。



第十話 完

短いエピローグとともに第十三部は完結となります。

次回第十三章完結『任せろ。私は正義のヒーローだからね』

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