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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第十三章 悪魔との契約
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武豊の戦力増強策

 アジトに戻った先生は焦燥していた。

 腹部に怪我を負ったシンシアを抱えつつ飛んで、逃げてきたところだ。

 敵は五芒星の調査に必死だろう。

 残された時間は、限られている。


 先生はシンシアの腹部に手を置いている。

 手からは暖かな光が放たれ、傷の治癒が進んでいる。


「任務に失敗しました」


 エレンは神妙な表情で階段を降りていった。


「いいや、君達は囮という役割を立派にこなした。目標の完遂はすぐそこだ。セレナは?」


「私の逃走を手伝って、敵に捕まりました……」


「そうか。惜しい子をなくした」


 エレンは、心中がざわめくのを感じた。

 警察に薬を提供すればセレナは生きられるのだ。

 しかし、先生はそれをしない。


 まるで、自分達を道具として扱っているかのように。


「本国から、彼を呼ぼうと思う」


「彼、ですか」


 思い当たる節があり、エレンは眉根をよせる。


「そう嫌な顔をするな。彼も君達の仲間だ」


「その仲間を、彼は癇癪で五人も殺しています」


「しかし、腕は立つ。精神安定剤も飲ませた上で、本国から出てきてもらおうと思う。さて」


 そう言って、先生は手を組む。


「警察の五芒星の調査までに一週間。援軍が来るまで数日。術式の完成に一ヶ月。ゲートを開くのに半日」


 先生の目に、鋭い光が走った。


「決戦まで時間は着実に動いている」


 エレンは、息を呑んだ。

 そして同時に、自分達はただの道具ではないかという疑念を深めたのだった。



第六話 完

次回『呑気な術師、不安な周囲』

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