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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第十一章 ゲートは出現した(第一部最終章)
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世界は形を変えていく

 私は真っ直ぐ前を見ていた。

 石神は炎をどんどん巨大化させているらしい。その熱はこちらまで伝わってくる。

 そして、彼はそれに熱中しすぎた。

 背後への注意が疎かになっていた。


 恭司が私達の前に立って撫壁を展開させる。


「いいわ、恭司。大丈夫」


「しかし、大丈夫って……」


「全て、無駄です」


 澄んだ声が、周囲に響き渡った。

 炎は消え、石神は地面へと落下した。


「少し肝を冷やしたわ。スキルキャンセラー」


「あなたにもそういう時があるんですね。ソウルキャッチャー」


 巴が、ぎこちない歩き方で近づいてきた。

 ゲートが消える。

 石神の夢が潰えていく。


 勇気が、日本刀を投じた。

 それを受け取って、私は刀を鞘から抜いた。

 石神に近づいていく。


 石神は、全てを受け入れているように微笑んでいた。


「異世界に、行ったことがある」


 そう、呟くように石神は言った。


「水汲みをしているような少女がいた。手伝ったら、親にもひどく感謝されてね。また、行きたいと思った」


「そう」


「けど、この世界で少女に声をかけたら、不審人物扱いされたよ」


 私は黙り込む。


「誰が、こんな世界にした……? 世界は形を変えていく。その中で、どうして人は人を信じられなくなった? 世界は、世界はどう変わっていく?」


「どうでしょうね。けど、この先のことは」


 日本刀が走る。それは、石神の首を断っていた。


「あなたには関係のないことだわ」


 戦いは終わった。

 石神の壮大な野望は終わりを見せたのだった。

 石神の体から光が蛍のように舞い飛んでいく。

 それは彼に捕らえられていた魂の数々。

 その中でもうっすらと消える光は幕のようになり、月明かりを受け止めるフィルターとなった。

 多分、石神にコピーされた魂が消滅していっているのだろう。


「綺麗……」


 勇気が呟く。

 やっと、終わったのだという実感があった。



第十話 完

次回第十一章大団円『これからもたまに思い出すだろう』

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