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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第十一章 ゲートは出現した(第一部最終章)
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炎は闇の中で輝く

「急ぎましょう」


 古城跡地入り口に辿り着いた巴は、そう言って駆け出した。

 まるでギプスで足を固定していたのが嘘のようだ。

 無理をしているな。勇気はそんなことを思う。

 けど、今は無理をする局面なのだ。


 その足が止まり、銃声と鉄と鉄がぶつかりあう音が響き渡った。

 巴はいつの間にか両手にダガーナイフを装備している。

 銃弾を斬った。

 人間の常識を打ち破る行動に、勇気も、さつきも、驚愕するしかない。


「話が違ってきましたね」


 巴は言う。


「と言うと?」


 勇気は問う。嫌な予感を覚えながら。


「狙撃手が沢山います。再生したか……」


「一旦退きましょう」


「いえ。残念ながら、もはや、射程範囲内です」


 そんな馬鹿な。十数年の人生はこんなところで終わるのか?

 勉強は嫌いだったけど受験勉強はしたかった。恋人を作りたかった。結婚して子供を作りたかった。

 それも全部終わりなのか?

 勇気は、目を瞑った。


 車の走ってくる音がした。

 目を開けると、車が壁になって三人を守っていた。


「見せてあげる。一度は炎の魔女と呼ばれた私の力を!」


 降りてきたのは一人の戦士。

 彼女は手を振るう。

 すると、炎が巻き上がり、狙撃手達を一斉に蒸発させた。


 水月だ。


「水月さん!」


 勇気は思わず駆け寄る。


「私も戦える。補佐ぐらいならできる。命が危なそうだったら、逃げさせてもらうけどね」


「炎のバリアがあるだけで十分です」


 巴は一歩前に出て、そう言う。


「共に、石神を倒しましょう」


「ええ、そうね……きっとここが歴史の分岐点。最悪の未来は、ここから変えられる」


 水月は満足そうにそう言うと、歩き始めた。

 巴が寄り添うようにその横に立ち、勇気とさつきがその後を追う。


「なあ、この人、炎使いじゃ二番手なんだよな?」


 さつきが小声で勇気に聞いてくる。


「そうだよ」


「ならトップってどんな化物なんだ……」


 その時、トランシーバーにくしゃみの音が響き渡った。


「誰か、私の噂した?」


「してません!」


 楓の声に、さつきは元気良く返事をした。



第八話 完

次回『大輝の策、そして彼女の急襲』

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