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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第十一章 ゲートは出現した(第一部最終章)
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作戦開始

 場所は古城跡地。目的地は中央の草原。侵入経路は四ヶ所。

 私の持ったトランシーバーが音を立てる。


「銃を持った影みたいなのが待機してます。どの入口でも」


 偵察隊の報告だ。


「バリア能力者と範囲攻撃能力者は配置されてるわよね。どうとでもなるわ」


 と楓。


「で、進軍の太鼓はまだかい? 大将」


「ええ、いいでしょう。全軍急襲。中央を目指して敵を蹂躙して!」


 私達は駆け始めた。

 バリアは私が張る。

 大量の銃声がなり、カラスが飛んで行った。


 大輝が手をかざす。

 風の刃が荒れ狂い、敵を縦横無尽に蹂躙していった。


「弱体化したって聞いて心配してたけど」


 アラタが呆れたように言う。


「十分俺達には脅威だよなあ……」


 恭司が言葉を継ぐ。

 そして、言葉を続けた。


「このまま敵を撃破していく。スピードを緩めないで」


「了解」


「わかったわ」


「わかりました」


 四人は前進する。



+++



「あなたの欲しいものはなんですか?」


 男が特務隊の前に立って問う。


「あなた方の欲しいものをなんでも具現化してみせましょう。例えばそこのお嬢さん。あなたはこのバッグが欲しいはずだ」


 そう言った男の手には、バッグが握られている。

 彼はそれを、無造作に投げてみせた。

 女性がバッグを受け取る。戸惑いの表情で。


「じゃあ、俺が欲しいものをくれよ」


 そう、リーダー格の男が言う。


「はい、一体なんで?」


「お前の命だよ」


 そう言って、リーダー格の男は指先を前に向けた。

 そこからレーザーが発射されて、男は物言わぬ死体となった。


「何秒のロスだ?」


「一分二十秒」


 少女が答える。


「遅れをとることはなさそうだ」


 そう言って、特務隊は再び駆け始めた。



+++



「なんで……?」


 アラタは戸惑うように言っていた。

 四人の前に立ち塞がったのは、剣と黒一色のスーツとフルフェイスのヘルメットを装備した男。


「やるらしいじゃないか、アラタくん。俺のコピー体を倒したとはな」


「コピー体だと?」


「我らがボスのスキルはコピー。それが全ての発端」


「そうかい」


「君の攻撃パターンはコピー体から読み取っている。溜めがなければ使えない技。実に非効率的だ」


「フォルムチェンジ」


 アラタは呟くようにそう言っていた。

 白銀のスーツとフルフェイスのヘルメットがアラタを包む。


「さあ、決着をつけようじゃないか」


 黒一色の男が、剣を構える。

 アラタは彼に飛びかかった。

 その時現れた長剣。それは自分を主張するように自ら輝いていた。


 黒一色の男の剣が折れ、スーツが斬られる。そして、そのままアラタは相手の心の臓を突いていた。


「悪いけど今俺達はピンチなんだ。溜めなんかなくても十分光の力は使える」


「ぐ……」


 そう言って、男は地面に倒れ伏した。


「行きましょう。目的地は近い」


 そう言って、アラタは駆け始めた。



+++



「呆気ないわね」


 入り口の狙撃部隊を燃やし、楓は呟くように言った。


「ここからが本番だ」


 そう、相馬が言う。


「私達の目的はあくまでもソウルキャッチャーズの援護。無理に攻撃しようとはしないで」


「了解」


 三つの声が重なった。

 楓達は堀の上の橋を渡ると、茂みの多い道を歩いていった。


 その時、銃声が鳴った。

 狙撃部隊は全員燃やしたのに、何故?

 答えは簡単だ。一人、潜んでいた奴がいたのだ。

 そして、楓は地面に倒れた。


 相馬が反撃の一撃を放つ。


「ファイアブリッド!」


 敵は燃え尽きて、消えた。

 相馬の胸からは血が流れていた。

 彼が自分を庇って撃たれてくれたのだ。そうと察した楓だった。


「これで憂いはないな」


 相馬は脂汗を流しながら、ニヒルに微笑んで見せる。

 大量の血が流れていった。


「治療、早く!」


 楓の指示を受け、治療が開始された。

 少し、他の部隊よりは遅れを取りそうだった。



第五話 完

次回『無駄であろうとも』

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