表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第十一章 ゲートは出現した(第一部最終章)
153/391

届かぬ拳

 地蔵を持ち上げている男と、私は、顔を合わせた。

 顔面に残る傷跡。しかし、顔立ちは若返っている。

 石神だ。


「石神さん、よね」


「いかにも」


 石神は重々しく答える。


「残念ながら私はあなたの敵だわ」


「いいや、君は敵ではないよ」


 その一言に、私は戸惑う。

 石神は微笑んで、言葉を続けた。


「敵にもならないということさ」


「言ってくれるじゃない」


 私は腕を鉄化させて、相手に殴りかかった。

 不可視のバリアがそれを阻んだ。


「私のバリアはいかなる攻撃をも防ぐ」


 その次の瞬間、石神は私の視界から消えていた。

 ワープ能力。

 危機を感じて、空へと飛ぶ。


 その眼前に、石神が現れた。

 その手には、銃が握られている。


 銃声が鳴った。

 しかし、それは私に接近するにつれて勢いを失い、落下していった。

 私とて、銃対策のスキルはある。


「なるほど、なるほど」


 石神は面白がるように言う。

 そして次の瞬間、彼は私の背後から蹴りを放っていた。


 私は吹き飛んで、地面に叩きつけられる。


「……楓さんなら、どうにかしろって言うんだろうなあ」


「久々に私の出番じゃない?」


 浮遊霊、歩美の声がする。


(ダメ元でやってみる)


「任せて」


 私は立ち上がり、石神を見る。

 彼は地蔵があった位置に紋章を描きつつあった。


「邪魔をしないなら放置をしておこう。邪魔をするなら……後はわかるね」


 石神は嘲笑するように言う。

 私は、スキルを解き、歩美に力を委ねた。


 石神の腕が、空へ高々と突き上げられる。

 そしてそのまま、捻じれ始めた。


 銃声が鳴った。

 石神がもう片方の手で、銃を放ったのだ。

 それは、見事に私の心臓を貫いていた。


 血を吐いて座り込む。

 気分の悪さに堪え、治療スキルを使う。

 みるみるうちに、傷は癒えた。

 しかし、石神は何処かに行ってしまっていた。


 対抗策が見つからない現状、気が重いが、楓に連絡しなければならないだろう。

 電話を終えると、大輝がやって来た。


「やあ、元最恐」


 からかいの言葉は、沈んでいた。


「気配を感じてやって来ました。けど、手遅れだったみたいですね」


「ねえ。ここの印、破れる?」


 そう言って、私は地蔵をずらす。

 大輝は難しい表情になった。


「複雑な呪法です。魂を使ってロックもかけてある。一流の術師でも、苦戦するでしょうね」


「そっかあ」


 私は溜め息を吐く。


「始まったわけだ。最終決戦が」


 大輝が、息を呑むのが伝わってきた。

 平和な日常は終わり、悪夢のような戦場が再び私達を呼び寄せていた。



第二話 完




次回『作戦会議』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ