ソウルイーターの急襲
「スピード勝負になる、か。なるほどな。その通りだ」
大輝は山の裾から神社を見下ろしてそう言う。
神社は今、厳戒態勢を敷かれていた。
警官があちこちをうろついている。
その中で、一番手薄な場所は何処か。
考えていると、笑えてきた。
これがソウルイーター皆城大輝か?
被害を極力減らそうだなんてことに気を使って。
馬鹿らしいにも程がある。
自分も随分彼らに感化されたらしい。
一瞬、仲間達の姿が脳裏に浮かぶ。
それが、大輝の心を惑わせた。
両親の姿が脳裏に浮かぶ。
やることは決まっている。
なにがあっても両親を蘇らせる。それが、大輝が選んだ選択。
大輝は山の裾から飛び降りた。
周囲の警官がとっさに銃を抜く。
「それは効かねえよ」
大輝は、赤い目を輝かせて微笑んだ。
雨に濡れて、その瞳からは、涙が流れているようにも見えただろう。
巨大な腕が何本も地上に出現する。
今日はソウルキャッチャーがいないから本数を気にする必要はない。
そして、腕は周囲にいる警官を襲い始めた。
その隙に、岩を持ち上げて印を書く。そして、爆破能力を使って岩を破壊し、その上にあった岩を雪崩のように転がして封じた。
まずは、一つ。
残り四つだ。
第九話 完
次回『俺に譲れよ』




