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ソウルキャッチャーズ~私は一般人でいたいのだ~  作者: 熊出
第七章 うん、また連れてってよ、アラタの旅へ
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女子会

「というわけで、最近ストレス太りなのです」


 そう言ったのは、大きなかき氷を食べていく響だ。かき氷の上には、イチゴシロップにアイスと練乳までついている。

 翠は紅茶、楓はコーヒー、水月は不参加だ。


「アラタくんの実力なら大丈夫だとは思うんだけどね」


 翠が言う。


「まあ、確かにアラタは強いですけど」


 響は頬杖をつきながらそう言う。


「また女の子連れて冒険してたりしてねー」


 楓がからかうように言う。


「うーん、可能性はあるんだけど。その場合どうしてくれようか……」


 響は剣呑な表情になる。


「流石にそんなわけないよー。男が旅をしてたらたまたま偶然女の子と一緒になったなんて。女の子だって学校とか部活とかバイトとかあるんだから」


「そうですかねえ……」


「ちょっと電話かけてみれば?」


「そうですね、かけてみます」


 響は少し緊張しながら、電話帳のアラタの名前をタップした。

 コール音が鳴り響く。

 しばらくして、アラタが電話に出た。

 思わず、響の胸は弾んだ。


「もしもし? アラタ?」


「ああ、俺だ」


「夜襲があったって言ったけど大丈夫?」


「なんか変なのに狙われてるみたいなんだよな。けど、大丈夫。上手くいくよ」


「そう……」


 表情が綻ぶ。

 やはり彼は私のパートナーだ。そう思う。


「アラター、誰かと電話してんのー?」


「うわ、ちょっと待て。お前黙ってろ」


 響は、自分の表情が硬直しているのを感じていた。


「アラタ……それ、誰?」


「いやな、たまたま旅で一緒になったガキで、二人で島津剣術道場ってとこを目指してるんだ」


「ガキってなんだよガキって。ガキっていうアラタのがよっぽどガキだもんね」


「随分親しそうねえ」


「いや、響、誤解するな」


「邪魔になりそうだから切るね。バイバイ」


「いや、ちょっと待って」


 響は通話を切った。


「女と一緒でした」


「アラタの奴ってそーいうとこあるよな。結婚後は要注意だ」


 楓がコーヒーを飲みつつ言う。


「正直、今回の件と女の子の件で結婚はどうかなあって思ってるところです」


「あー……」


 翠はうまい言葉が見つからないのだろう。気まずげな表情をしている。


「まあ、無事帰ってきてくれるといいね」


 響はしばらく無表情でいたが、そのうち微笑んだ。


「そうですね、それが一番です」



+++



 コインランドリーの洗濯機に着替えを投げ込む。


「一緒に洗ったほうが金銭的には浮くぞ?」


 隣の洗濯機を利用しているさつきに言う。


「私も年頃なんですよ。男の子に下着とか見られたくないっての」


「ガキの下着なんて見てもなんもおもろくないだろ」


「思春期の女の子をあんまり怒らせるべきじゃないと思うよ」


「うい」


 二人して、コインランドリーを出る。

 近場に、デパートがあった。


「なんか久々にマクド食いたいな。行くかマクド」


「いいねえ。ハンバーガーなら百円だしね」


「行くかぁ、マクド」


 そうして、二人は餌に釣られる魚のようにデパートに歩いていったのだった。

 島津剣術道場まで、後僅か。



第八話 完

次回『さつきの葛藤』

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