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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
冒瀆王女と戦争

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273.金色の王は熟孝した。


18days ago


「ッどういうことだ…⁈」

コペランディ王国がチャイネンシス王国への侵略を宣言してからたった四日だった。再び我が国にコペランディ王国から二人の使者が訪れたのは。

四日前と全く同じ二人。奴らはチャイネンシス王国に訪れ、そして言い放ったことは侵略を九日早めるという話だった。

衛兵から報せを聞いた私がすぐにチャイネンシス王国の城まで赴けば、既にコペランディ王国の使者達はヨアンの元…謁見の間まで歩を進めていた。

「おや、これはこれは」とまるで私を待ち兼ねていたかのような反応とその笑みに、酷く…不快を覚えた。


その上で、あの宣告だ。


使者は当然悪びれる様子もなく、サーシス王国の国王である私と、そしてチャイネンシス王国の国王であるヨアンへと話を続けた。


「ですから、期限を九日早めると言いました。別に対して変わらないでしょう?どちらにせよ、貴方達に選ぶ権利などないのですから。」

「ッふざけるな‼︎其方の都合で我が国を侵略すると言っておきながらっ…」

「我が国?何を言っているのです。我々が狙うはチャイネンシス王国のみ。…サーシス王国には関係のない話でしょう。」


まぁ多少騒がしくするのでご挨拶に、と今し方もヨアン国王に貴方をこの場へ呼ぶようにと望んだところでしたが。と敢えてこちらの神経を逆撫でするような物言いが続く。

その口振りに身を更に乗り出せば、ヨアンが私の行く手を片手で塞ぎ、止める。

…だが、今のは侮辱以外の何物でもない。我が国はハナズオ連合王国、それをよりによって「関係のない」などと。


「こうしてお伝えにわざわざ足を運んできただけ有り難いと思って頂きたい。…では、来たる日、我々はチャイネンシス王国に侵攻致します。精々死人を増やしたくなければ民を避難させ、調印の準備を整えておくことです。」

一言でそう言い捨てると、使者達は再び踵を返す。「見送りは結構ですよ」と言われたが、使者二人が残らず我が国を去ったか確認させるために衛兵をつけて送らせた。


「…残り十八日、か。セドリックが間に合うかはギリギリかな。」

「ッなにを悠長なことを言っているヨアン!セドリックがフリージアに到着するのは良くても八日後‼︎片道が王族の馬車でも十日のこの地に援軍が間に合うものか!」


同盟の交渉だけでも三日はかかる!と私が使者から受け取った書状を握り潰しながら声を荒げれば、ヨアンはまるで自分のことではないように苦笑した。


「言っただろう?ランス。僕らチャイネンシス王国は既に降伏の覚悟は出来ていると。」

ヨアンの言葉に私は言葉に詰まる。…そう、ヨアンは既に奴らから侵攻を告げられた時から降伏の意思を固めていた。チャイネンシス王国の民が我々に被害を及ばせたくないと望み、大人しくコペランディ王国の植民地になるつもりだと私とセドリックにも告げていた。


そこで国を飛び出したのが、我が弟セドリックだった。


私とヨアン宛の書き置きには、フリージア王国に援軍を求めに行く。同盟交渉さえ済めばすぐに帰還する、と残されていた。……馬鹿者め。

例えどれほど力ある大国であろうと、…何年も前から我が国との同盟を望んでくれていようとも、そこで素直に我らに力を貸してくれる筈もない。

何故なら我々はずっとその同盟の打診を拒み続けていたのだから。更には相手の背後にいるのはラジヤ帝国。

どれ程の力を持つ大国であろうとも、…いや大国だからこそ我らのような閉ざされた国の為にわざわざラジヤを敵に回すような真似を避けぬ訳がない。我が国の事情を話し、助けを求めたところで突き返されるのは目に見えている。

私はセドリックの置き手紙を確認してすぐ、使者にセドリックを追わせて連れ戻そうとした。

…だが、それをヨアンが止めた。


『セドリックのことを信じてみよう。もし駄目だったらその時はそれで良い。これから植民地になるチャイネンシス王国が恐れる恥などありはしないから。』


そう言うヨアンに頼まれた、仕方なくセドリックを連れ戻さずにそのまま帰りを待つことになった。アイツがヨアンの、…俺達の為に動かずにはいられなかったことも理解はしている。だが、あまりにも無謀過ぎる。ヨアンがそれを理解していない訳がないというのに。


「でも、まだ大丈夫だよ。確か隣国のアネモネ王国からなら船もあるし、何よりフリージア王国には特殊能力者という存在がいるらしい。もしかしたら移動手段に特化した存在もいるかもしれないよ?」

「そのような不確定要素ばかりでどうする。」


私が眉間を押さえつけ唸るように疑問に返す。だが、ヨアンはいつもの調子でニコリと笑うばかりだ。

そのまま私の言葉を聞かなかったかのように「取り敢えず、期日が早まったことだけでも書状で今から伝えようか。」と提案し出した。


「今から書状を使者に持たせれば、セドリックがフリージア王国との同盟交渉を終えた頃に間に合うかもしれない。運が良ければセドリックが大勢の援軍を連れて帰ってくるかもしれないよ。」

「何故そこまで気楽なんだお前は!」

そんな都合の良いことがある訳ないだろう、と返すがやはりヨアンは全く動じない。

コペランディ王国が侵攻を初めて告げにきた時はあれほど気落ちしていたというのに。「これも日々の信仰のお陰かな」とはぐらかされ、今度こそ本気で睨みつける。


「……本当はね。…君達が、そうして僕達のことを想って動いてくれているお陰だ。」

…抑えられた声色で、ヨアンが囁くように答えた。金色の瞳が細かく寂しく揺れ、それに反して口元は笑んだままだった。


「我らはハナズオ連合王国。…自国を想うことは当然だ。」

当然のことを私が言えば、ヨアンは頭を傾けながら再び笑んだ。


「セドリックも、きっとそのつもりで頑張ってくれてるのだと思うよ。君の弟だから。」

「アイツは向こう見ずにもほどがある!」

私の発言に、またヨアンがクスクスと楽しそうに笑う。昔からヨアンは時々私よりもセドリックを甘やかす節がある。

「まぁ、不安なのはわかるよ。セドリックのことだから、下手したらいつもの調子でフリージアの王女殿下に何か無礼な振る舞いをしている可能性も」


「むしろその心配しかない。」


ヨアンの言葉を途中で打ち消せば、心から可笑しそうにヨアンが腹を抱えて笑う。笑い事ではない、それで同盟解消どころか国同士の諍いになれば今度こそハナズオ連合王国は草木一本残らないだろう。


セドリックは今まで教養やマナーを全く学んでこなかった。

己の容姿に過剰なまでの自信を持ってしまったからなだけではなく、城の人間や民までもがセドリックのあの振る舞いを喜び燥ぐせいか…本人自身が一生そのままで良いと思っている節がある。

私がどれほど叱責してもヨアンが窘めても全く改善の素振りすら見せない。


私が溜息を吐き、書状の準備の為にサーシス王国へ戻ると告げればヨアンは気楽な様子で手を振った。


「ランス、君も少し休んだ方が良いよ。そんなに悩ませてばかりではセドリックが帰ってくるまで保たないよ。」

「この程度は大したことではない。私はコペランディ王国の侵攻を防ぐ為の準備で忙しい。お前こそちゃんと寝ろ。」

僕は毎日寝てるよ、と穏やかな口調で返すヨアンに頭が痛くなる。自国の危機だというのに何故ああも穏やかなのか。


…「諦めがついた」と。ヨアンはそう言っていた。

コペランディ王国の侵攻を告げられ、チャイネンシス王国の民が嘆き、怯えたのはたった一日だけだった。

チャイネンシス王国は信仰深い。そして今回の信仰も全ては神の課す試練だと。そう判断したチャイネンシス王国の民は、己が迫り来る運命を驚く程に容易く受け入れた。それどころか、コペランディ王国によってサーシス王国の民までもが巻き添えを受けるのではないかとそればかりを危惧し始めたほどだ。


「…文化が違おうが変わらん。どちらも同じ国だというのに。」


思わずひとり言が口から零れた。…やはり少し疲れているらしい。国に戻って書状を出したら少し休むとしよう。

無意識に気がつけば、衣服越しに胸元にかけていたペンダントを掴んでいた。八年前にヨアンが俺とセドリックに贈ってくれた品だ。俺とセドリックにとって、…掛け替えのない証でもある。

慣れたチャイネンシス王国の城内を歩み、外に出れば丁度衛兵が馬車を準備しているところだった。仕方なくその場で腕を組み、今後のことに考えを巡らす。

ヨアンやチャイネンシス王国が覚悟ができていようとも、黙って見過ごす訳にはいかん。もし本当に敵う可能性が無く、ただコペランディ王国との諍いを産むだけならば確かに我々も何もせずに動かぬべきだろう。もし勝ち目も無しにサーシス王国が争い、敗れ、その結果チャイネンシス王国が植民地どころか属州にされれば、その長い歴史や文化までも失ってしまう。


…だが、コペランディ王国の植民地となり、奴隷生産国にされれば必ず何かしら綻びが生じる。

単に自国の民が定期的に犠牲になるだけではない。その信仰すら必ず脅かされる。

チャイネンシス王国の信仰が揺らげば、いつかはその国としての在り方すらをも瓦解するだろう。

セドリックが帰ってくるのは早くても十日以上は後だ。コペランディ王国の侵攻は十八日後。その間に私ができルこトはマズッ…………⁈













「ア…ア、ア、アッ…アアアアアアァァアアアアアアァァァアッ⁈‼︎」












「ハハッ。」


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― 新着の感想 ―
[良い点] まあ都合の良すぎる乱心よなあ 影にいるよなあそりゃ
[一言] サブタイの熟孝→熟考じゃないでしょうか? 誤字報告だとサブタイは報告できないのでこちらに書かせて頂きました。
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