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あなたと生きて  作者: 口羽龍
第4章 中学校(上)
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19

 それからの事、浩一は休日になると博美の家の周りを歩いていた。博美がとても気になるからだ。このままでは博美の身に何かがありそうで不安だ。


「どう?」


 見回りをしているのは浩一だけではない。千沙と理沙もしている。2人も博美が気になってしょうがない。同級生の理沙は特に気にしている。


「全くわからんわ」


 と、博美の家からある声が聞こえた。何やら怒っている声がして、その後、博美が泣いている声が聞こえる。明らかに何かをされている声だ。


「あっ、この声や!」


 浩一と一緒にいた近田はその声に聞き覚えがあった。これは再婚した夫の声だ。何回かあった事があるので、知っている。


「ほんま?」

「うん」


 浩一もその怒号を聞いていた。何かされているようだ。これは早く家に入って、その理由を探らないと。


「一体何やろ。気になるわ」

「入ってみよや」


 浩一と近田は博美の家に向かった。その理由を探るためだ。博美の両親はその事を全く知らない。


「ごめんくださーい!」


 その声で、博美の両親はハッとなった。また苦情をもらいそうで不安だな。自分たちが息子を虐待しているのは、誰にも秘密にしようと思っていたのに。まさかバレるとは。


「はーい!」


 近田の声とともに、怒号が消えた。


「止んだわ」


 博美の父は玄関を開けた。そこには浩一と近田がいる。どうしたんだろうか?


「最近、家の中で音がするんですけど、何かあるんですか?」

「いや、何もないで」


 だが、博美の父は何も知らないような表情だ。明らかにおかしい。これは博美の父の声だ。よくわかっている。なのに、どうして何もないと言うんだろう。


「そうですか・・・」


 そこに、博美の母がやって来た。博美の母は怖い表情だ。


「どないしたん?」

「博美くんの顔のアザが気になりまして」


 浩一は気になっていた。その理由を知りたかった。ひょっとして、両親が虐待をしているんじゃないかと思った。


「そう、ですか・・・」


 近田はあきらめようと思った。だが、とても気になる。あきらめきれない。


「ど、どうしたんですか?」


 博美の母は戸惑っている。わかってしまったのでは?


「いや、本当に何もないて・・・」


 博美の母は何もないと言っている。だが、明らかに怪しい。嘘をついているように見える。


「そうですか・・・。ありがとうございました」

「いえいえ」


 2人はため息をついた。やっぱりわからなかった。わかりたかったのに。どうすればその理由がわかるんだろうか? 博美に聞くしかないんだろうか?


「やっぱりわからんかった」

「そっか・・・」


 近田はため息をついた。どうすればいいんだろう。毎日そうだ。何とか博美が真実を話してくれないと進まない。


「博美くんを問い詰めてみよや」


 浩一の意見に、近田は納得した。そうすれば、何か真実を言ってくれるんじゃないかな?


「そやね」


 浩一は再び玄関に向かった。とりあえず、今日のお昼、お好み焼き屋に誘おう。そして、一緒に食べよう。そうすれば、何か重要な事を言ってくれるかもしれないな。


 浩一は玄関をノックした。すると、博美がやって来た。また浩一だ。今度は何だろう。どうしてまた来たんだろうか? やはり自分が気になるから、またやって来たんだろうか?


「博美くん、来週日曜日の昼、お好み焼き食べん?」

「えっ、どないしたん?」


 それを聞いて、博美は驚き、戸惑っている。どうして誘うんだろうか? 先輩の誘いには断れない。行くしかないな。


「ええから」


 結局、浩一はその理由を話そうとしない。でも、何か重要な事のように見える。行かなければ。


「わ、わかったて・・・」

「俺の家の前で待っとるからな」

「うん」


 浩一は去っていった。どうしてお好み焼きに誘ったんだろうか? 2人でお好み焼きを食べたいと思ったんだろうか? それとも、部活に関する何か重要な話だろうか?




 来週日曜日の11時30分ぐらい、浩一は博美を待っていた。今日は一緒にお好み焼き屋に行く予定だ。その中で、博美が何をされているのか、聞く予定だ。


「もうすぐやな・・・」


 と、そこに博美がやって来た。博美は服がボロボロだ。どうしてこんなにボロボロなんだろうか? もっとまともな服はなかったんだろうか? こんなボロボロな物ばかりしかないんだろうか?


「あっ、博美くん!」


 浩一は手を振った。すると、博美は手を振り返した。


「坂井先輩・・・」


 2人は待ち合わせ場所で一緒になった。これからお好み焼き屋に行こう。


「行こか?」

「うん」


 2人はお好み焼き屋に向かった。

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