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付き合っている幼馴染の彼女が他の男とキスをしているのを目撃した。俺はそんな幼馴染を棄ててから...だったのだが  作者:
第一章

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6、詩織の涙

俺達はデートの様な。

そんな感じの甘いひと時を過ごしてから地下街を出た。

そしてエレベーターに乗ろうとした時。

背後から「っ」と声がした。

俺達は背後を見る。

そこに...佐藤満里奈が居た。


「お姉ちゃん...」

「...何をしているの?」


満里奈はそう聞いてくる。

そして少しだけ困惑しつつ俺達を見る。

俺はそんな満里奈を見てから詩織を見て「まあ所謂、買い物ってやつだ」と説明する。

満里奈は「...そう」とだけ返事をしてからエレベーターを見てから階段で上がろうとする。

すると詩織が「待って」と話した。


「...どうして...」

「どうしてっていうのは」

「なんで有紀さんと別れたの?」

「!!!」


凍り付く満里奈。

それから「なんでも良いでしょう」と歩き出してから去ってしまう。

俺はそんな満里奈を見送りながら詩織を見る。

詩織は「?」を浮かべて顔を顰めていた。



それから俺は詩織と別れてから玄関を開ける。

そして中に入ってから鞄を置いた。

カチカチと時計の音がする中で俺は天井を見上げる。

気分が晴れない。

こういう時はテレビでも流すか。

思いながら俺はテレビのスイッチを入れてから服を着替える。

そうしていると満里奈からメッセージが入った。

は?満里奈?


(あの事、話さないで)


そう書かれていた。

ただそれだけ書かれており俺になんとも言えない感情がある事が伺える。

だが。


(そういう訳にはいかない。そのうちはバレるぞ)

(その時で良いから)

(お前な。自らの過ちを悔い改めろ。隠すばっかりかよ)

(私はミスを犯したっていうのは知っている)

(じゃあ悔い改めろ。そして話せ)

(私の思いも汲み取って)

(断る)


それから俺は(お前は最大のミスを犯した)と書いた。

そして送信してから(許さない)と書いた。

それも送信すると(分かった。きちんと話す)と書かれた。


(ゴメン)


メッセージはそこで止まる。

そして話したと思われるが数分経った。

するとインターフォンが鳴った。

ん?


「...!...詩織...」

「...有紀さん」


悲しそうに涙を浮かべていた。

話を聞いたのだろうか。

そう思いながら俺はドアを開けると詩織は俯いて立っていた。

「私、あの家に居たくないです」と呟いた。


「...満里奈から聞いたのか」

「何でですか。なんで過ちを犯したんですか。...お父さんがやっていたのに」

「分かる。だから俺も激高した」

「ありえないです。お姉ちゃんだけは信じていました」

「...」

「もう帰りたくない!!!」


詩織は顔を覆った。

それから「汚らわしいです。あの男みたいに」と言いながら号泣し始める。

そんな詩織を優しく抱きしめてから「取りあえず入れ」と言いながら招き入れる。

着の身着のまま飛び出した様な詩織は号泣しながらソファに腰かけた。


「お姉ちゃんだけはしないって思いました」

「...」

「裏切られました。2回目です。家族に裏切られたのは」

「一度目は父親。そして二度目は満里奈だったな」

「私は許さない。浮気だけはこの世でお金の裏切り以上に許さない」

「...」


「家族が壊れていく」と詩織はまた号泣する。

俺は何も言えず「落ち着け。一先ずは...ココア飲むか」と聞いた。

詩織は「はい」とだけ返事をしてからまた泣き始める。

そんな涙を流す姿を見ながら俺は手元のマグカップを2つ取ってココアを入れ始める。

なんとも言えない感情だった。



「お姉ちゃんはもう許さない。父親も許しません」

「...」

「姉妹の縁を切ります」

「切ったとして...どうする」

「帰らない」

「...」


俺は唇を噛んでから悔やむ詩織を見る。

詩織は「...私、この世の裏切りで最も嫌いです。...浮気だけは」と強く言う。

俺は頷きながら「親父がそうだったからな」と詩織を抱きしめた。


「...お姉ちゃんはしないって思いました」

「だろうな」

「もう話したくないです」

「ああ。...気持ちは分かる。気持ち悪いよな」

「同じ感じで洗濯をしたくないです」

「...ああ」


「トイレも不衛生です。そして一緒に入浴もしたくない」と怒る詩織。

俺は「...」となりながら詩織を見る。

詩織の涙を拭った。

それから詩織の頭を撫でる。


「...詩織」

「はい」

「...今日はどうする。寝る場所とか」

「昔みたいに泊めて下さい」

「無茶苦茶だが...そうだな。そうするしかないよな」

「とにかく帰りたくないです」

「...ああ。気持ちを落ち着かせてくれ」

「はい」


そして包帯を触る詩織。

俺はそんな姿を見ながらまた抱きしめた。

それから「お風呂に入って来たらどうだ」と言う。

詩織は自らの服装を見る。


「お洋服貸して下さい」

「え?え?!...待ってくれ。それで良いのか?俺の服だぞ」

「良いです。戻りたくないです」


俺は「...」と考えてから「分かった」と返事をした。

それから詩織の母親に連絡してから許可を貰い。

詩織に服を貸した。

俺の家族にも連絡をして許可を貰った。



俺の服を着てから出て来た詩織。

その姿はまるで...彼シャツの様な感じのだぼだぼ姿だった。

し、詩織が俺の服を着ている。

困ったな。


「...えへ。有紀さんの香りがします」

「変な感じに聞こえるから止めろ」

「え?ですかね?」


詩織の太ももが...。

出ているのがなまめかしい。

泊めてやるとは言ったものの。

これは...結構パンチが効いているな。

あまり見ない様にしよう。


「あ、そうだ。有紀さん」

「...?...どうした」

「改めて今日、泊めてくれてありがとうございます」

「...気にすんな。非常事態だしな」

「それでお願いがあります」

「...?」

「私と一緒に寝て下さい」


今何つった。

俺は「...は!?」となりながら詩織を見る。

詩織は「...お願いします」と俺を潤んだ目で見てくる。

駄目だろ。

年頃の男女があくまで一緒って。


「いや。待ってくれ。流石にそれは...」

「今日はイライラして1人じゃ寝れません」

「...分かった。取りあえず...うん。分かった」


こんな可愛らしい子と...2人で寝る...。

親が「駄目」と言いそうなので...考えるか。

さてどうしたものか。

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