エターナルランドオンライン
エターナルランドオンライン
新しく開始するVRMMORPGだ
僕はβテスト版から参加して居る。
当然製品版も参加予定だ。
今は2XXX年
ヘッドギアによるバーチャルゲームも普通となって居る。
このゲームの特徴はゲームの開始時にAIによる相棒をボーナスポイントを使って作ることができる所だ。
コミュ障な人が増えて居る昨今、一人でも十分楽しむことができる。
その事からボッチオンラインとか揶揄されて居るが、元来コミュ障な自分はそんなこと気にならない。
僕の名前は暁緋伊朗16歳の高校二年生だ。
昔からヒーローと呼ばれていた。
実際は小柄な体格で幼い容姿、中学生に見間違えられるならまだマシ。下手すると小学生にも間違えられたし、女の子に間違えられた事もある。
成績は普通で平凡な能力しか持っていない僕はいつも名前の様なヒーローに憧れていた。
その日学校から帰った僕は宅配ボックスを確認する。
上京して一人暮らしでマンションに住んでいる僕は配達されたソフトを持って自分の部屋に行く。
部屋は1LDK、それなりに綺麗にしているつもりだ。
いつ友達とか来るかわからないし……
未だそんな機会は無いけれども……
部屋に入った僕は少しパンを齧りお手洗いを済ませる。
長丁場になるので準備を整えるのだ。
ソフトのパッケージを開けてメモリーをハードに挿す。
そしてヘッドギアを被った。
実はこのゲーム開始は明日正午からとなって居る。
その時間からオンラインに繋げられるのだ。
そして通常はダウンロード販売だ。
朝9時からダウンロード出来る。
しかし僕はβテスト特典でソフトをメモリーで貰えて、接続も前日から出来る。
ゲーム開始が正午からなのは変わらないがキャラクター製作を先んじて出来るのだ。
実はこのゲーム、ボーナスポイントが重要なのだけど初期ボーナスポイントはドラムを回すシステムになって居る。
それはβテストと同じなのだが、βテストではドラムが2列で最高値が99だったが製品版では3列になると言う情報を僕は手に入れていた。
僕はヘッドギアを触って電源を入れるとVRの世界に入る。
目の前には設定用のモニターが有った。
キャラクター自体はβテストから引き継ぐつもりでOKボタンを押す。
高身長でちょっとマッチョの男ぽいキャラだ。
やっぱり自分に無いものを求めるよね。
実際の僕の身長は142センチ。
このキャラは182センチに剪定してある。
β版でこの視点を味わったけど、これはあれだ、体育祭の騎馬戦で上に乗った時の感覚だ。
あの時僕は馬をやりたいって言って、男子が面白がってOK出したけど女子の猛反対にあって却下されたんだっけ。
そしてボーナスポイントを表示すると確かに3列になって居る。
確認すると100の位のドラムは0と1の様だ。
と言うことは199が最高か?
ドラムを回してみると100の位はずっと0が続く。
かと思うと、一瞬1が見えた。
僕は動体視力だけは自信があるんだ。
情報通り1の確率はかなり低い様だ。
この情報と言うのはβテストの時に一緒に参加していた運営のお姉さんに聞いた。
そして運営のお姉さんはもっと重要な情報も教えてくれた。
その情報に従って僕はドラムをひたすら回しては止めるを繰り返す。
そして、100回を超えた辺りでもう一度ドラムを確認する。
「やっぱり、1が増えてる。情報通りだ。」
情報によると回し続ければ最終的に1と0が一対一まで行くらしい。
僕はそのままドラムをひたすら回し続ける。
500回を超えた辺りで本当に一対一の確率になった。
ボーナスポイントはゲーム内でも手に入るのだが最初の相棒の素体は最初にしか選べない。
AIキャラは後からでも手に入るけど1から作るのは最初だけだ。
キャラはまず素体をポイントで手に入れてポイントで自分や相棒を強化する。
素体は標準のものは1ポイントで手に入るので実は始めるだけならそんなにポイントは必要ない。
だけど僕が狙って居るのは翼の生えた天使の素体だ。
それは情報をくれた運営のお姉さんがアバターとして使ってたんだよね。
公式発表にあった素体はちょっと違ったけど多分本番では使われてる筈。
あんな素敵なアバターを使わないことはあり得ないよ。
0と1が一対一になったので100の位は1が出る様になったけど10の位がなかなか良い目が出ない。
僕はひたすら回し続ける。
回した回数が1000を超えた位で僕はあることに気がついた。
100の位になんか有る。
集中して目を凝らす。
すると、100の位に2の数字があることに気がついた。
汚れじゃ無い、確かに2だ。
そこから僕はまたドラムを回し続ける。
すると2の数がだんだん増えていく。
2が出てくる確率も上がってきたがそんな事気にもしないでドラムを回す。
時間も忘れて、ただひたすらドラムを回す。
100の位の数字がだんだん増えてくる。
3が4になり5、6、7、8、9。
もう既に何時間回したことか?
途中まではしていたカウントも忘れてる。
ただ数字が増えるのは1000回区切りの様なので大まかには分かる。
僕は疲れるどころかどんどん集中していく。
そして多分一万回目なんだと思う。
その時が来た。
999
僕はドラムを止めて確定ボタンを押す。
そして達成感に満たされた。
が、そこで思い返す。
でも天使の素体って公式によると150ポイントだったよな?
ここまで必要なかったんじゃ?
まぁ多いに越したことないか。
気を取り直して素体選択画面に移行する。
部屋の様子が変わり素体がフルサイズで前方に現れる。
最初は初期素体1ポイントだ。
必要無いので次を表示する。
獣人族やモンスターなどポイントを消費する素体が出るがこれもパス。
そして天使の素体が表示される。
しかし、僕の望んでいた素体じゃ無い。
あのお姉さんのアバターはもっと美しくて神々しかった。
あれ、公式の発表だと天使が1番高ポイントだった筈だけど……次があるな。
もしかしたらオリジナルのものがあるのかな?
僕は何の気無しに次を表示させた。
すると、そこに現れたのは運営のお姉さんだった。
いや、その素体だった。
えっと、何の素体?
僕は表示を見るとそこには女神と書かれていた。
そしてそこにこう表示されている。
[この素体にしますか?
Y/N]
僕は迷わずYをタッチした。
するとボーナスポイントがどんどん減っていく。
あれ、この素体の必要ポイントって何ポイントだろう?
ポイントは減り続け遂に0になる。
えっこの素体の必要ポイントって999なの?
そう思った瞬間目の前の風景の映像が切り替わり僕は始まりの街の入り口に居た。
隣には女神のお姉さんが優しく微笑んでいた。
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