最強は覇者を志す②
善悪の塔60Fのボスを狩ること、約1378回……漸く、漸く欲しかった”イリュージョン トニトゥールス”の魔法書を手に入れた。システムログをSSに収め、アイテムボックスを開き、魔法書をSSに収めた。
はぁ~嬉しい! これで善悪の塔60Fから61Fに移行できる。
晴れ晴れとした気分で、帰還の護符を使い【 プラークシテアー 】に移動した。さっそく魔法を覚えるため【 ヘラ 】へ移動する。街中を縫うように歩き、教官の元を訪れ話しかければウィンドウが開き、魔法を覚えると言う項目を探しタップする。
ウィンドウが切り替わり【 イリュージョン トニトゥールス を覚えますか? Yes ・ No 】と表示されると、迷わずyesを選びタップした。
雷を纏うようなエフェクトが、私のアバターを足から頭へ移動するよう取り巻くとパンと弾け、それと同時にシステムログに、おめでとうございます――の文字が見え無事魔法を覚えられた。
魔法を覚え満足すると、教官を後に宿屋へと戻った。
宿屋の部屋へ入ると、ティタと黒からジト目で見つめられた……。
ん? 何かしたかな? そんなことを考え、善悪で会話スルーを発動したことを思い出す。
[[ren] ボス中だった]
[[黒龍] お前、忘れてたろ?]
[[ティタ] スキル書……]
[[ren] あ]
[[ティタ] 忘れてたな……]
[[大次郎先生] 二人共、renに頼りすぎw]
[[宗乃助] ダブル アタックがあれば……買うでござるよ]
[[宮様] まぁ、頼りたくなる気持ちはわかるけど]
[[さゆたん] わたくちも魔法書欲しいのあるでしゅ]
[[キヨシ] 俺もだぁ~]
[[†元親†] バリアーくれー!]
[[白聖] お前ら……つか、チカお前バリアーぐらい買えよ!]
[[ren] 倉庫キャラ見るから、魔法書名前plz]
場の空気が痛々しい……これ以上、何か要求されては面倒なことになると考えた私は、全員の欲しい魔法書の名前を聞き出し、SSを撮影して別キャラに移動した。
魔法書やスキル書をアイテムボックス内に保管しているサブキャラである、倉庫十三号機でログインした私はさっそく、SSを見ながら倉庫の前で作業をはじめた。
宗乃助の言っていたスキル書はさっき、60Fでゲットしたやつを渡すとして、他のメンバーの魔法書を探す。
黒が……ディフェンス 無いな。
ティタは……ダブル スラッシュのみか。
大次郎先生は……サイレント スピア、バウンティング アタック。
宮ネェが……キャンセル。
これは2冊あるから、チカの分も一緒で、ついでにバリアも持って行こう……。
さゆたん……ブリザード、フレアー バースト。
キヨシ……フレアー バーストか……1冊しかないから、他の奴は……? 無いな。
仕方ないので、さゆたんにはブリザードで我慢して貰おう。
こんな感じで、みんなの魔法書スキル書を探し終え個人倉庫に突っ込むとメインキャラに戻った。
renに戻り、倉庫へと移動して持ってきたものを取り出す。そのまま宿屋へ戻りアイテムを渡した。
キヨシに関しては……全財産だと言う10000ゼルで仕方なく手を打ってあげた。
そんなことをしている間に、大分時間が経っていたようでトーナメント戦の開始1時間半前となった。
一度ログアウトして食事などを済ませると伝え、ログアウトする。
食事など必要なことを済ませ。公式の詳細を読み直し確認してログインする。
武器や防具の耐久を鍛冶屋で戻し、必要な消耗品などを用意して開始をトーナメント戦参加用のNPCの前で待った。
暇な時間を潰すため、取引所を開き武器、防具そして魔法書を見終わり、スキル書を開けば……なんと珍しいことに、二刀のスキル書が売っていた。
その名もソウトウオオナミとなっている。即座に購入ボタンを押し購入する。
スキル書もまた教官で覚えるため急いで教官の元まで走り、ソウトウオオナミを覚えた。
教官から少し離れた位置で、誰もいないことを確認し二刀を取り出しスキルを使用してみる。
この瞬間が、一番ワクワクする。
二刀を其々の手で抜刀した状態で握り、左手の刀が上下に三度斜めに切り込みを入れる感じで右へと移動し動き引き戻す際、一閃のように一の字を描くと右の刀が斜め上からに大きく振りぬかれると同時に両手に持った二本の刀が大きく右へ上へと振りぬかれた。
うーん。大技だけど……技使ったあとに硬直が5秒付くのが痛い……これは封印かな。
使用感とその後のデバフを確認して、二本とも納刀する。
画面上にある時計で時間を確認すれば、開始まで残り7分となっていた。
「やばっ」
ヘイストⅡ(+25)とカリエンテを入れ走ってNPCまで戻る。
NPCの周囲を囲むようにプレイヤーがごった返している。その一角、周囲のプレイヤーが遠巻きに囲んだ一団がいる。
有名な人かな? などと考えどんな名前の人たちだろうと興味津々で覗き込めば……クラメンだった。目立つのは嫌だなとそっと周囲に溶け込み存在感を消す努力をしつつメンバーに見つからないよう、少し離れた死角へと移動を開始した私の肩と腕をガシっと掴む手が三本――。
嫌な予感を覚えつつ、視線だけで振り返ってみれば周囲のプレイヤーから興味津々で見つめられ、掴んだ腕の主たちと目が合った。
「よぉ~。マスターどこいくんだぁ?」
「チッ」
「ren。俺らおいてどこいくのー?」
「ワスレモノトリニ」
「ほお~ん」
「……」
ゲスな笑いを浮かべた黒。無害な小動物のような表情をしつつ首を傾げるティタ。爽やかな笑みを浮かべてる癖に疑うような声音を出すシロが、それぞれ私の腕や肩を掴み引き摺るようにして、他のメンバーの元へと連れて行く。
嫌がらせするほど、善悪の塔のボスやりたかったのか……。バフ入れて走らなきゃ良かった……。
もし時間を遡り戻れるのであれば、ボスを叩かず待つと言う選択をしたことだろう。
自身の行動に激しく後悔するも、既に遅く。三人と私を避けるように周囲に居たプレイヤーたちがサーっと道を開けた。
[[ren] はぁ……]
[[†元親†] おー! renバリア覚えたぜ!]
[[さゆたん] おかでしゅ]
[[ティタ] おかえりーwww]
[[ゼン] おかえりなさい。緊張する~]
[[黒龍] おかーww]
[[宮様] あんたたち……renが嫌がるの判っててやったわね?]
[[白聖] おけーりw]
[[キヨシ] ひゃっはー。後60秒だぜー!]
[[宗乃助] 惨いでござる]
[[大次郎先生] 後でカリエンテするなら、三人だけで!]
[[ヒガキ] おかえりなさい]
[[黒龍] カリエンテされる意味がわかんねーwwww]
絶対、狩場でカリエンテとトニトゥールス、ダブル召還してやる。と内心思いつつ時計を確認する。残り20秒となったところでシステムログに【 トーナメント戦の登録受付を開始します。 】の文字が表示された。
今日は全員が、職別の個人戦に出場する。まずは、NPCへと話しかけ出場する職別をタップする。
マッチングを開始しますと言う文字が現れ、現在の待ち人数と言う数字が表示された――。
ワクワクしながら待った。
マッチング開始から数分が経過し、周囲にいるメンバーやプレイヤーたちは次々、マッチングされたのか消えていく。
そんな状況の中、私はただ棒立ちしている。
[[黒龍] なんでグランゼスなんだよっ!]
[[ren] ドラマス居ないっぽいんだけど]
[[ティタ] うわー。こいつゲスい]
[[キヨシ] あ……二次職なら俺かてるぅ~]
[[大次郎先生] うーん。動きが雑だなぁ~]
[[宮様] あら、勝てたわ]
[[†元親†] うぇ~い♪]
[[宗乃助] まぁ、この程度なら余裕でござるな]
[[白聖] ren……どんまいwwwww]
黒が消え、ティタが消え、宮ネェ、キヨシ、さゆたん……と次々消えて行きクラチャでは実に楽しそうなチャットが表示されている。
なのに、未だ呼ばれない! マッチング中と言うウィンドウに表示されたカウントの数字が1から動かない。
自分だけ楽しめないことにイラつきを覚え、マッチング中のウィンドウにあるキャンセルを押し、職不問、場所ランダムで登録をし直せば、マッチング中とウィンドウが切り替わるよりも早く、視界がブラックアウトした――。
足を運んで頂きありがとうございます。
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