昨日宰相今日JK明日悪役令嬢 ワールドデータ その3
【東部諸侯】
タリルカンド辺境伯家を中心とし、王国東部開拓を任された諸侯。
東部は乾燥地帯や高地が多く、土地そのものは決して豊かではなかったが、極東大帝国と繋がる交易路の存在によって古くから栄えていた。
極東大帝国からの品を仕入れ、それを売った金で食料をはじめとした生活物資を入手する事で生計を立てていたが、近年の不作傾向によって徐々に苦しくなってきている。
辺境地域に遊牧生活を営んでいる東方騎馬民族とは激しく争っているが、彼らも交易の民なので全部を潰すという事ができずに苦慮している。
東部諸侯の経済的苦境はそのまま東方騎馬民族の略奪の活性化に繋がり、タリルカンド辺境伯率いる東部諸侯軍が辺境伯の戦死をはじめとした大損害の果てに撃退した後に王都での政変が勃発し、王国崩壊時に無力化する原因となった。
『ロード・オブ・ザ・キング』の主人公エリオスはこのタリルカンド辺境伯家の末弟という設定でスタートする。
統合王国最大の武力を有し、タリルカンド騎兵隊は対東方騎馬民族の切り札でもある為に吟遊詩人に謳われるほど存在が知られている。
東方騎馬民族を相手にする為に、騎兵も重騎兵だけでなく弓騎兵や魔法騎兵などがあり、東方騎馬民族の魔法騎兵は呪い師と呼ばれている。
東方騎馬民族の対処に手を焼いた東部諸侯は都市の城郭化で対処し、その究極の形で悲願でもあったのが統合王国全周囲を囲む大長城計画だった。
だが、その計画に着手してすぐに王国そのものが崩壊した為に一部しか作られなかったが、その一部を拠点としてエリオスが王国復興軍を起こしたのだからその意義はあったのだろう。
【東部要衝タリルカンド】
東部諸侯の旗頭タリルカンド辺境伯家が治める大都市。
極東大帝国との交易路の中継地点にあり、東部諸侯と東部辺境の境目の都市である。
人口は周辺都市を含めて三十万ほどで、この都市にはない物はないとまで言われる市場が名物である。
また、この都市は統合王国最大級の奴隷市場でも有名で、東方騎馬民族がらみの奴隷はこの都市を通じて西部や南部に送られる。
現在統合王国上流階級において流行している高級娼婦『華姫』はここの出身が一番格が高く、最盛期には城が買える値段が華姫の為に支払われたという。
その繁栄ぶりから、過去何度も東方騎馬民族の略奪目標になり、それに対抗する形で統合王国辺境部において最大級の軍事力を持つ。
その為に、王国中央から常に警戒され、政治的にはあまり動くことができない位置に追い込まれている。
統合王国崩壊時、北方蛮族と東方騎馬民族の挟撃によって東部諸侯軍がすり潰されると、この街は東方騎馬民族によって徹底的に略奪された。
街の炎は一週間燃え続け、住民は死体か奴隷かのどちらかを選ばされて滅ぶことになる。
オークラム復興軍が力をつけてくると、このタリルカンド復興が政治課題にあがる。
タリルカンドの滅亡で極東大帝国との交易路そのものが打撃を受け、略奪した東方騎馬民族自身が窮乏化したからに他ならない。
宰相エリー・ヘインワーズは、タリルカンドの復興の条件に南方魔族が占領している南部穀倉地帯への略奪を依頼。
東方騎馬民族と南方魔族の共倒れを狙った策は図に当たり、魔族大公サイモンがこの戦いで命を落とすと、オークラム復興軍に対抗できる勢力はなくなっていた。
南方魔族と東方騎馬民族はこの戦いの後に内紛に突入。南部の奪還とタリルカンド復興を持って、オークラム統合王国は再興を宣言し長い戦乱にひとまずの終止符が打たれる事になった。
なお、復興されたタリルカンドの奴隷市場の奥で、宰相が華姫として色に狂っていたという噂があったが噂の域を出ていない。
【南部諸侯】
シボラ伯家を中心とし、王国南部開拓を任された諸侯。
シボラ伯家は元々は辺境伯だったのだが、先の王位継承争いの敗北で粛清され伯爵家に落とされた経緯がある。
統合王国最大の穀倉地帯を有し、世界樹の加護が機能していた時は最も権勢のあった諸侯だった。
だが、世界樹の加護が呪いに変わったあたりからその権勢に陰りが見え、先の王位継承争いで王兄ダミアン殿下を担いだ為に徹底的に弱体化させられた。
その弱った南部諸侯に手を差し出したのが、領地を持たない商人層からなる法院貴族で、ヘインワーズ家当主がシボラ伯息女ゼラニウムと結婚した事で南部諸侯家から久々の侯爵が出る事になる。
シボラ伯息女ロベリアが側室として王宮にあがり、第三王子カルロスを生んだことでその復権が順調に進むと見られていたが、それを許すベルタ公ではなかった。
世界樹の花嫁争いの果てにヘインワーズ家は反乱未遂の罪で滅ぼされたが、それは南部諸侯が王室および統合王国に見切りをつけるきっかけになったのである。
統合王国崩壊時に、南部諸侯は積極的に統合王国を助ける事はせずに南方魔族の支配下に自然に入る。
崩壊時に世界樹が枯れて焼かれた事で世界樹の呪いから開放された南部諸侯家は力を取り戻し、魔族大公サイモンの統治の下でその復権を果たす事になった。
現在の南部の経済を回しているのは人身売買であり、余剰人口を南方魔族の繁殖奴隷として輸出する事で南方魔族の優れたマジックアイテムを入手してそれを売る事で成り立っている。
その為、その供給が追いつかずに余剰人口の多い北部からも人を集めており、この人身売買と西方新大陸から来る穀物を国内に運ぶ商人達が成り上がって法院貴族になり、ヘインワーズ家もそんな家の一つである。
南部は自然豊かで王国中央の近くは穀倉地帯が広がり、南に行けば行くほど暖かくなり南方魔族領の密林地帯との間には広大な湿地帯が広がっている。
その為、南部諸侯ではこの湿地帯で稲作が行われ、その収穫でなんとか食えているという背景がある。
南方魔族領に近いために、南部諸侯の兵には低級魔族が組み込まれている事が多い。
ゴブリンやオーク、コボルトを使い、湿地帯にはリザードマン族が生活しているので、彼らを傭兵として雇う事もある。
【交易都市シボラ】
シボラ辺境伯家が統治としていた南部要衝。
南部穀倉地帯の穀物の集積地で、ここから王国各地に穀物が運ばれていった。
世界樹の呪いによる不作が常態化すると、南方魔族に奴隷を売る人身売買で栄えた。
先の王位継承争いでシボラ辺境伯家をはじめとした南部諸侯が粛清されると、反王国感情が芽吹き統合王国崩壊の遠因となる。
それを遅まきながら知った王国中央はヘインワーズ家をはじめとした商人達法院貴族にその復興を任せ、交易都市としては全盛期を迎える事になる。
だが、それもヘインワーズ家が粛清された事で台無しになり、南部諸侯期待の星だったカルロス王子が王位についた時にその怨念が爆発。
王国崩壊後も王国復興ではなく南方魔族領として組み込まれたのもそれだけ魔族が食い込んでいたのと、王国中央への怨嗟が深かったからに他ならない。
魔族大公サイモンはこの街を拠点として南部諸侯を統治しており、彼の死後も彼を慕う人は多く復興した統合王国の反乱の温床となっている。
【神聖都市サルマン】
女神イーノが世界に別れを告げた地で女神神殿の聖地で女神神殿の本拠地となっている。
この都市そのものが神殿であり、古代魔術文明の遺跡も数多くこの地に残されている。
絵梨の召還を行ったゲートがある遺跡があり、絵梨の召還が大賢者モーフィアス・女神神殿・ヘインワーズ家・南部諸侯の連立政策だった事が分かる。
女神神殿は王国崩壊時にもその権威と勢力を守り通し、魔族もこの聖地には敬意を払って踏み込むことはしなかった。
その政策を実行していたのが魔族大公サイモンであり、彼の南部諸侯を知り尽くした統治によって南部はそこそこの繁栄を取り戻す事になる。
この結果、女神神殿と復興したオークラム統合王国の間はギクシャクしており、先の未来における宗教改革の遠因にも繋がっている。




