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【7/24】穢れた血だと追放された魔力無限の精霊魔術士【コミックス第4巻発売】  作者: 冬月光輝
第4章『精霊魔術士と神門を開く者』

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最速の聖女

 ベアードを倒したのもつかの間、レイス曰くこちらに五人も向かってきているらしい。

 一人を倒すのに、Sランカーの2位と3位が二人がかりだったのに。今度は数の有利さえ無くなるんだよ。

 今度こそやばいじゃん……! どうすれはいいんだ。


「アムルスター様のもとには行かせん!」

「我ら、アムルスター様から!」

「最も信頼された!」

「四天王!」

「僕は違うけども!」


「「…………」」


 四天王と名乗る、幹部っぽい人が四人とそうではない人が一人こちらに来た。  

 タヌキ、キツネ、ネコ、コアラ、そしてネズミみたいな見た目の獣人……。四天王でないと告白したのはネズミみたいな見た目で確かに強そうには見えない。


 むしろ、全員が迫力に欠ける気がする。ベアードとかライオンみたいな見た目の門番の方が強そうと言える。

 全員、黄金の翼をはためかせているので切り札は使っているんだろう。戦闘力が五倍になるってやつ。


 でも、何か緊張感がないんだよ。やっぱり見た目って大事――。


「スキあり!」

「――っ!?」


 なんてこと思っていたら、キツネ男の翼で殴られて吹き飛ばされてしまった。

 咄嗟に膝でガードしたけど痺れる……。エルヴィンに鍛えて貰ってなかったら腹に一撃食らっていたな。  


 ここに来る前にエルヴィンに言われて、極力マナブーストの状態を維持するようにしているから致命的なダメージを受ける心配は殆どなくなったけど、腹に受けたらかなり痛かったと思う。


「ほう、この獣化騎士(ティーアリッター)最速のこの私、フォックスの一撃を防御するとは中々やるな。小娘……!」


「名前が雑ッ!」


 よく考えてみたら、さっきの熊男のベアードといい、キツネ男のフォックスといい、そのまんまのネーミングだ。

 

「アムルスター様のネーミングセンスを馬鹿にするなーーーっ!」


真・精霊強化術(マナバースト)! うらぁっ!」


「ぬぐっ! 私の天使の翼を弾いた、だと……!?」


 マナバーストで身体能力を極限まで上げて、天使の翼とやらを弾く。

 びっくりしているな。この人たち、自分と同等以上の相手と戦う訓練していないのかな……。

 私は教えられている。スキを少しでも見せたら……。


「うらうらうらうらうららららららら! うらぁっ!」


「がふぅぅぅぅっ!」


「「フォックス!!」」


 フォックスのがら空きになった腹を思いきり蹴る。

 前に戦ったときはマナバースト使って蹴飛ばしても立ち上がってきたから念入りに同じところを集中的に蹴ってみた。

 とはいえ、戦闘力が五倍に上がるという獣化天使(アニエル)形態。これで倒せるほど、弱くないだろう。


「おのれ! こんな攻撃でこの私が――。あれ……?」


 案の定、立ち上がったフォックスだったが、両手両足に光の鎖が巻き付いて倒れてしまう。

 いつの間にあんな鎖が? そして、なんだろう。凄いプレッシャーを感じる……。


「あなた、お姉様を殴り飛ばしましたわね……」

「ひぃっ!? き、貴様は誰だ!? こんな貧弱な鎖など……! あがっ!? ぐぐぐぐぐ……」


 鎖の数は次々と増えていき、翼を、首を、身体中を締め上げる。

 術式の発動スピードが誰よりも速い、ティナだからこそ出来る芸当にフォックスは面食らっているみたいだ。


「ぬううううううっ! こんなものぉぉぉぉぉぉぉっ!」

「甘いですわ。馬鹿力で鎖を千切っても無駄ですの」


 バリンッという音を立てて鎖は千切れるんだけど、それ以上のスピードで次から次へと鎖が精製されてフォックスは結局動けずじまい。

 苦悶の表情を浮かべながら地べたを這って焦りの表情を浮かべていた。


「レイス様! アリシア様……! 今です!」

「へぇ、少しはやるようになったじゃないか。弱体の四重奏(カルテット)!」

「ったく、あたしに指図するなんて良い度胸じゃない。でも、“様付け”に免じて許してあげる」

「あぎゃああああっ!!」


 そんなフォックスはあっさりとアリシアの雷属性の魔法剣で気を失ってしまう。

 うへぇ……。マナプラウスで魔力が強化されたティナって、昨日戦ったときより遥かに強いや。

 この状態の彼女に私、勝てる自信がないよ。


「フォックスがやられた、だと」

「焦るな! あいつは四天王の中でも最弱……」

「最速でもあったが、速いだけが取り柄の男よ」

「やったー! もしかして、僕って今日から四天王?」


「「…………」」


 この人たちって自分たちがピンチって思わない系なのかな……。

 今のティナの魔法捌きを見て、その評価なら絶対に――。


「「「「う、動けない!?」」」」


「わたくしの出力を甘く見てもらっては困りますわ。四人同時に拘束など造作もありませんの」


 そう。ティナの本気はもっと速い。

 生まれ持った天賦の才能。術の発動速度をシオンとの特訓で更に磨いて国王陛下にSランカーとして認められた彼女の実力はレイスやアリシアに肉薄していた。


「姉が強化して妹が仕留める。ふっ、エルロン姉妹か。スカウトしたエルヴィンのやつのドヤ顔も想像できて不愉快だが認めてやろう」

「妹の方も人間にしては使えるじゃない。あくまでも人間基準だけど……」


 気付いたらアリシアとレイスが残った四人を仕留めていた。

 さっき、二人のコンビネーションが凄いと思ったばかりだけど……。


「ティナがあの二人のコンビネーションに加わって更に力が跳ね上がったよね。このパーティーって力を合わせると本当にとんでもない力を発揮できたんだ」


「お姉様、一つ忘れておりますわ。このパーティーがどこまでも強くなれるのはリアナお姉様のおかげですの」


「えっ? ははは、私のおかげなわけないじゃん。蹴飛ばしてもフォックスは全然、元気だったし」


「いいえ、わたくしたちの力の根幹はお姉様の魔力ですわ。このパーティーの心の拠り所はどう考えてもお姉様に決まっております」


 まったく、ティナったらいつも私のことを持ち上げてくれるんだから。優しいなぁ。

 でも、私の精霊魔術師としての力が少しでも役立っているなら嬉しい。だって、こんなに素晴らしいパーティーに貢献出来ているなんて、誇らしいじゃないか。

今回はティナの活躍回でしたねー。

そんな彼女は書籍版の挿絵でも、もちろん登場!

笑顔が眩しくてとっても可愛らしいシーンとなっていますので是非ともご覧になってほしいです。

更に、さらに!

書籍版限定の番外編では!

ティナがどうしてリアナをここまで慕っているのか、その理由が描かれています!

まだ幼い姉妹のちょっと不思議なエピソードもご覧になって頂けると嬉しいです。


↓↓に書かれている発売日をポチッとしてご予約など貰えれば大変作者が喜びます!

何卒、何卒……、よろしくお願いいたします……!

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