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【7/24】穢れた血だと追放された魔力無限の精霊魔術士【コミックス第4巻発売】  作者: 冬月光輝
第4章『精霊魔術士と神門を開く者』

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武力行使

 完璧に意識を摘み取ったと思ったのに。

 討伐難易度★★★★の超危険指定生物でも気絶させた蹴り技を腹に受けても眼帯狼男は立ち上がった。

 やっぱり、魔物じゃないからって手を無意識に抜いていたのかな。


「兄者、あの高名なエルトナ王宮ギルドのSランカーの力といえどこの程度」

「うむ。大陸最強と言われど、所詮は冒険者ギルドの一つに過ぎん。アムルスター殿下の研究成果の結晶である我らには敵わんよ」

「蹴飛ばされたり、斬られたりしたのにめちゃ自信満々じゃん」


 とはいえ、あいつら吹っ飛ばされたし、蹴られたし、で今のところ良いところがない。

 こんなのでティナが大苦戦したジルノーガをやっつけたのはちょっと信じられないな。

 そういえば、エルヴィンはよく力を出し惜しむタイプの人間がいるって言ってた。何か、実はこんな裏技持っていました、とか、隠していた力を解放します、とかそんな感じ。

 神眼を持つエルヴィンからすると、最初から知っていたって話になるんだけど。


「シオン、あいつら隠し技とか持ってるかも。気を付けないと」

「隠し技ねぇ。それでアタシを興奮させてもらえれば嬉しいんだけどぉ」

「忠告して損した!?」

 

 よく考えたら、シオンだもんね。この人が苦戦するっていうイメージがないや。

 どう考えても両腕が使えない私のほうが大ピンチだし。

 ああ、こういうことになるからエルヴィンは精霊憑依(エレメンタルコネクト)を使うなと忠告していたんだね。

 

「我らも本気でいかせてもらうぞ。燃やすのは我が命!」

「降臨せよ! 神の力!」


 ピカっと狼男たちの瞳が黄金に輝き。上空に巨大な魔法陣が展開され、そこからズドンと金色の光が二人に向かって降下する。

 するとどうだろう。狼男たちの背中には金色の翅が生えて、全身も神々しく輝く。まるで、天使みたいに。


「ふふふ、驚いたようだな。この獣化天使(アニエル)形態こそが我らの強さの真骨頂よ!」

神々との契約(エンゲージメント)によって得たこの力。すべては我が主、アルムスター殿下のために!」


 何か、すごく説明してくれているけど全然分からないや。

 ともかく、とってもパワーアップしたってことだよね。


「この朽ちない翼は! 神々の金属と言われたあのオリハルコンにも匹敵する硬度を誇り!」

「ジルノーガの外道強化術(エビルブースト)をも容易く貫くのだ! 神の力を得た我らの戦闘能力は!」

「先程の五倍以上!」

「つまり! お前たちに待っているのは――」


「あ、あれ? どうしたの? いきなり黙っちゃったけど……。あっ!? 倒れた……」


 金ピカの翅は輝きを失って消え去り、二人の狼男たちはその場に倒れた。

 これはどういうこと? 見た感じ、外傷はないみたいだけど。

 あれだけ自信満々に話していて、ジルノーガの厄介極まりない外道強化術(エビルブースト)すら、貫くと豪語していたのに……。


「アタシの万物切断はあなたたちと神々の契約すら切り裂くことが出来るのよ。って、聞いてないか」


「えっと、どういうこと?」


「神々からの力の受け渡しでパワーアップしたのなら、それを断ち切れば無効に出来るわ。どうやら、生命を燃やして契約を結んでいたみたいだったから、ショックが大きかったみたいね」


 何それ、怖い。

 私の力も精霊たちから力を得ているらしいけど、もしかしてシオンってそれすら断ち切れるんじゃないの?

 改めて、私はこの人の規格外っぷりを認識した。


「じゃあ、こいつらが異様に打たれ強いのも、神様から力を受け取っていたからってこと?」


「ううん。それは単純に強化された身体が頑丈なだけだと思うわ。リヴァリタは生物系や薬学系の研究が盛んなのは知っているでしょう? あなたのお父様が飲んでいた怪しげな薬とか」


「ええーっと、うん。なんか、ティナがそんなことを言っていたような……」

 

「ちょっと目が泳いでるわよ」


 そういえばティナがバルバトスとの戦いのあとにリヴァリタの研究施設がどうとか、そんな話をしていた気がする。

 私は体中が痛くて、痛くて、それどころじゃなかったから覚えていなかったけど。


「あいつらみたいな獣人や、バルバトスみたいな薬で魔力を上げた人間をつくる研究をしているのは分かったけど、なんでこの国にちょっかいを出すんだろう?」


「このエルトナ王国が急速に領地を拡大させて、王宮ギルドに人材が集まっているのも、近隣諸国にとっては面白くない事態なのよ」


「えっ? そうなの?」


「そりゃぁ、そうよ。いつ、自分たちの国が攻め込まれて占領されるのか戦々恐々としなきゃならないんだから」


 あー、そういうことか。エルトナも周りの国と不可侵の条約を結んでいるから、そんな心配はされていないと思っていた。

 思ったよりも国際的な情勢は良くないんだな。


「まぁ、とりあえずはリヴァリタが今度こそエルトナに喧嘩を売ったというのは判明したわね。急ぎましょう。あなたの大事な人も狙われているかもしれないわ。エルヴィンちゃんとティナちゃん、二人は王宮ギルドの主力だもん」

 

「あー、そうだった! ティナが狙われたら危ない! 助けに行かなきゃ!」


 エルヴィンはともかくティナやルーシーが獣化騎士(ティーアリッター)とかいう野蛮なやつに襲われていたら大変だ。

 私とシオンは先にエルヴィンたちが向かったであろう、神捧聖戦の儀に出場する選手たちの宿舎へと足を進めた。

 みんな無事だと良いんだけど……。

 

あらすじにも書いてありますが、今作の発売日が決まりました!

ツギクルブックス様より、10/8に発売予定です!

表紙のイラストも活動報告に載せているので、是非ともご覧になってください!


また、コミカライズも準備中です!

コミカライズがまた楽しみなんですよ〜。早く見てもらいたいぐらい、完成度が高い躍動感溢れる漫画なんで……!

こちらの続報はまたいずれ……!


※最後に大切なお願いがあります※


新連載を開始しました!


『妹が神童だと呼ばれていた聖女、「無駄な努力」だと言われ追放される〜「努力は才能を凌駕する」と隣国の宮廷ギルドで証明したので、もう戻りません』


https://book1.adouzi.eu.org/n8262hb/


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