第二位VS第三位
さて、2回戦の第二試合が始まった。
どうも、トーナメント表に偏りがあったみたいで、またもやエルトナ王立ギルド同士のぶつかり合い。
しかもSランカー同士――アリシアとレイスの試合だ。
王立ギルドの年間報奨金第二位と第三位の戦いに観客の注目も自然と集まっている。
あの二人って、普段から仲悪いからな~。殺し合いに発展しなきゃ良いんだけど……。
『これより、神捧聖戦の儀、二回戦第2試合! エルトナ王立ギルド所属! アリシア・マーセルシュタインVSエルトナ王立ギルド所属! レイス・ライゼンクライツの試合を開始します!』
そして、アリシアとレイスの試合が始まった。
うわー、レイスの周りからどこから飛び出しているのか分からない花びらがいつもよりも大量に噴き出してるよ。
アリシアは腕を組んで微動だにしていないな。あのレイスが臨戦態勢なのに、余裕なんだ……。
「リアナお姉様はアリシア様とお仕事されたこともあるのですよね? どうなのですか? レイス様は規格外と言っても差し支えない程の魔法の使い手ですが……」
ティナが私にアリシアの実力について聞いてきた。
そういえば、この子はアリシアが戦っているのってバルバトスとの戦いのときチラッとしか見てなかったか。
そうだなぁ……。レイスが規格外なら――。
「アリシアは人外かな。さっきの魔族のヘルマイヤーも凄かったけど、あの人の実力も人間の限界の遥かに上だよ」
「人外……ですか」
人の領域を遥かに上回るハーフエルフの基本性能。
アリシアがあんな態度なのは自信過剰だからじゃない。
周りの人間たちが単純に自分と比べて実力があまりにも低いからだ。
その証拠にシオンにだけは彼女は敬意を払っている。
「嬉しいよ。早々に君と戦えて。このくだらないトーナメントに参加した甲斐があったよ」
「あ、そう。悪いけど……あんたじゃ、あたしに傷一つ負わせることは無理よ。棄権した方が賢いんじゃない?」
両手に魔力を集中させて、殺気を撒き散らしているレイスを煽るアリシア。
しかし、その瞬間に戦いは始まった――。
「属性の四重奏!!」
レイスの得意技――四つの魔法陣を展開させて、土属性、水属性、炎属性、風属性の中級魔術を同時に発動させる。
彼自身の魔力が高いから中級魔法も最上級クラスの威力を誇っており、とんでもない火力を誇っていた。
「ふわぁ……、無属性魔法……!」
四つの系統の魔法がアリシアを襲うが、彼女はあくび混じりに白い光の玉を指から四つ放つと、それらは全部消えてしまった。
あの白い光球はなんだろう? どこかで見た気がするけど……。
「アリシア様、圧縮した魔力の塊を放ちましたね。まるでお姉様のマナブラストみたいに……」
ティナはアリシアの放った光の玉について解説する。
へぇ〜、魔力を圧縮した玉か。確かに私の切り札の超精霊魔力砲によく似た感じだなぁ。
てか、ティナってエルヴィンみたいに神眼がある訳じゃないのに、よく見てるよね。
「どうしたの? その程度で終わりなのかしら?」
「ふっ……、君にこの程度の技が効くなんて思っていないよ。油断し過ぎたな、アリシア……周りを見てみろよ」
「えっ? な、何!? この花びら!? ――っ!?」
レイスは自分の魔法が効かなかったのに余裕の表情だ。
あれ? いつの間にアリシアの周りに大量の赤い花びらが舞っていたんだ?
――その瞬間、全ての花びらは発光して大爆発を起こす。
いやいや、このトーナメントって殺すのは厳禁なんでしょ? レイス、絶対にこんなのやり過ぎだって。
爆炎は遥かに上空まで舞い上がり、爆発音のせいで耳の奥までキーンと痛くなった。
「ったく、あたしの服を汚すなんて、あんた覚悟は出来てるんでしょうね」
「埃が付着しただけか。まぁいい。想定の範囲内だ」
人外の魔剣士と規格外の大賢者の戦いは始まったばかりだ――。
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