7人目
「――やっぱり、本気のお姉様には敵いませんでしたね。テレポートを連発しても避けられないなんて……」
場外に落ちてしまったティナは私の手を握り、闘技場の上に戻る。
回避不能の暴風は私を中心にドーム状に暴風を放ち続ける。
目に見える範囲すべてが攻撃範囲となるので、ティナはどこにテレポートで逃げても、暴風による一撃を受けてしまう。
だって無差別に風が吹き荒れているだけだもん。間違っても味方が近くにいるときに使っちゃダメな技である。
「しかし、精霊憑依は身体に負担がかかるので、使用禁止されていたのでは?」
「平気だよ、平気。これくらいなら、一日寝れば、大丈夫だから。多分……」
バルバトスと戦ったときよりも、自分の体を自分の魔力で守る練習もして、負担がかからないようにしたし、足がふらつくけど全身が火傷したみたいな痛みもない。
訓練の成果なのか、エレメンタルコネクトも短時間なら大丈夫っぽい。
「大丈夫じゃねーよ。バカ……」
「痛っ!」
観客席に戻るとエルヴィンが大丈夫じゃないと腕を握った。
その瞬間、針で刺されたような痛みを感じる。
「リアナお姉様に何をされるのですか!?」
「おっと、別に暴力を振るった訳じゃないぞ。軽く握っただけだ。リアナの腕が、それだけ傷付いているんだ。強すぎる無限の魔力は使い方を誤ると反動が大きいって何回教えれば、覚えるんだよ?」
「うう、ごめんなさい」
呆れ顔のエルヴィンから苦言を呈されて、私は素直に謝る。
危ないから、自分のレベルに見合わない技は使うなと日頃から彼は私に忠告していたし……。
それを完全に無視したんだから、エルヴィンが怒るのは当然だ。
「だが、妹を殴らずに勝つにはあれしかないか。……それがお前さんらしさといえば、らしさだな」
「えへへ……、まぁね。やっぱり、ティナは殴れないよ……。でも、失望もされたくなかったからさ」
「お姉様……」
まー、でも後悔はしていない。
あのとき、エレメンタルコネクトを使ったのは最善の選択だ。
わがままを通しただけだけど、私にも曲げられないことがあるから。
「妹ちゃん、リアナの腕に治癒魔法をかけてやってくれ」
「任せてくださいまし! 治癒魔法!」
ティナは私にヒールを使ってくれた。
魔力による体内のダメージは治癒魔法が効きにくいけど、温かな光によって痛みは鈍化する。
「そんで、リアナは今日一日、絶対に腕を動かすな」
「えーーっ!? ご飯食べられないじゃん」
「わたくしがアーンして食べさせて差し上げますわ」
「なんで嬉しそうなの……?」
ニコニコと微笑みながらいつもどおりの調子に戻ったティナ。
良かった。ティナが元気になって……。
ちょっと前まで落ち込んでいたから心配だったんだよね。
多分、あのジルノーガをやっつけて自信を取り戻したからだと思う。
今までも十分強かったティナだけど、今はめちゃめちゃ強くなってるもんなー。
リングアウト負けとかのルールがなかったら、エレメンタルコネクト使っても意味がなかったし……。
「おー、そうそう。言い忘れていた。妹ちゃん、大会終わったらSランクに昇格な。陛下が十分に力を示してもらったって言ってたぞ」
「「――っ!?」」
エルヴィンの言葉にびっくりした私たちは黙って顔を見合わせる。
てか、なんでそんな大事なことを言い忘れるのさ。
そりゃそうだよね。ティナの強さでSランクに認められない訳がない。
「わ、わたくしがSランク……ですの?」
「ああ、エルトナ王立ギルド7人目のSランカーはお前さんだ。よく頑張ったな。正直、オレは感心してるぞ。こんな短期間でシオンから修行を受けたとはいえ、急成長したんだからな」
ティナは震える声で確認して、エルヴィンは彼女の言葉を肯定する。
これで、私たちは姉妹揃ってSランクギルド員になれたってことか。
なんだか、自分のことよりも嬉しいな……。
「お姉様! わたくし、やりました!」
「おめでとう! ティナ!」
「おっと、腕は動かすんじゃないぞ」
私を抱きしめるティナを抱き返そうとしたら、エルヴィンが止めに入る。
この大会があって、初めて良かったと思えた――。
もしも、ほんの少しでも【面白かった】【続きが気になる】と思って頂けましたら
↓にある広告下の【☆☆☆☆☆】→【★★★★★】をタップまたはクリックして現時点での【評価】をしていただけると嬉しいです!




