表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【7/24】穢れた血だと追放された魔力無限の精霊魔術士【コミックス第4巻発売】  作者: 冬月光輝
第3章『精霊魔術士と仲間たち』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/81

自慢の妹

 母が亡くなって、バルバトスからは鼻つまみ者扱いされていた私だが、どうにかやって来れたのは妹のティナが庇ってくれていたからだ。

 エルロンガーデンがパワースポットとして名を馳せて来た頃、ティナの魔法士としての才能が目覚めた。

 誰よりも早く術式を発現させることから最速の魔法士と呼ばれるようになり、若くしてギルドの主力メンバーの一人として活躍するようになる。


 ティナは私の自慢の妹だ。魔法の天才で聖女になる為の素養も持ち合わせている。

 バルバトスはエルロン家の誇りだと言っていたが、私もそれには同意するよ。今日だってシオンから修行を受けた成果を見せて、とんでもない成長ぶりを見せてくれたし。


 だから、嫌だよ。ティナと戦うなんて……。


 ――本気で戦ってもらえますか?


 移動の前に妹が口にしたセリフ。

 なんで、そんなこと言うの? 私と戦いたいなんて一回も言ったことないじゃん。

 ティナの気持ちが分からない。この手で妹を攻撃出来るわけないじゃないか……。


「あらあら、随分とナーバスになっているじゃない。リアナちゃん、次の試合はティナちゃんと戦うんでしょ? そんな精神状態で大丈夫なの?」


 闘技場が壊れたので、予備の闘技場へと移動する中……激闘を終えたシオンが私に話しかけてきた。

 そうだ。ティナを特訓したシオンなら彼女の気持ちを知っているかもしれない。


「ねぇ、シオン。ティナ、なんだけどさ。何で私と本気で戦いたいって言い出したのかな? 何か知ってる?」


「ティナちゃんが本気でリアナちゃんと? んー、そうねぇ。アタシが聞いたのは、ティナちゃんがずっとリアナちゃんに特別な力があるって何となく感じていたことくらいかな」


「私の力を? ティナが?」


 どうやら、私に精霊魔術の素養みたいなものがあることをティナは何となく感じていたそうだ。

 そういえば、私が居なくなって直ぐに魔力が落ちたのに気が付いたみたいなことを言っていたかもしれない。


「負い目もあるみたいよ。リアナちゃんの力について、ちゃんと知っていたらあなたは追い出される事もなかっただろうって。そして、憧れているのよ。強くていつも前向きなあなたに」


「そ、そんなの、気にしなくていいのに。……それに、それが私と戦いたい理由となんで関係するのさ」


「あーら、憧れの人とヤりたいって思うことないのぉ? 意外と初心な子ねぇ。アタシなんて、年中ヤりまくりたいのに」


「……何言ってるのか全然分からないよ」


 ティナは私がエルロンガーデンから追い出された事を気にしているみたいだ。

 後半は何を言っているのか全然分からないけど、あの子はこんな私でもちょっとは敬意を抱いているらしい。


「要するにあなたの強さを肌で感じたいし、あなたに成長した自分を肌で感じてもらいたいの。愛の証ってやつね」


「相談する人を間違ったかな……?」


 言い直されても意味が分からないし、ティナへの理解は一向に深まらない。

 何となく、ぼんやり分かったのは……どうやら私は姉として妹と戦わなくてはならないってことだ。


 あの子の憧れとやらがどの程度なのかは知らないけど、私はティナを失望させてはならないって思えてしまったから――本気で戦わなきゃ駄目だよね……。



 ◆ ◆ ◆



「リアナお姉様、覚悟を決めてくれたのですね」


 もう一つの闘技場に着いた私とティナはすぐに試合をするということで、控室という所に案内された。

 今、この部屋で私は妹と二人きりだ。


「ティナに私はさ……、お姉ちゃんらしいことしてあげられなかったから。もしも、本気で戦うことで、ちょっとでも『らしく』見えるなら――私は戦うよ。全力で」


「ありがとうございます。お優しいお姉様はもしかしたら、わたくしと戦えないと仰るかもしれないと思っていました。でも……お姉様が拳を握る理由もまた、優しさからですのね。汲んで頂いたこと感謝しますわ」


 実際のところ、まだ納得出来ていない。

 やっぱり、ティナがどんなに望んだとしても握った拳をぶつけるなんてしたくないから。

 

 でも、この子にだけは失望して欲しくなかった。

 私は妹にずっと守られてきて、家を追い出されても、この子は私を追いかけてくれて……、感謝してもしきれないから。


「出番です。お二人ともリングに上がってください」


 その時はすぐにやって来た。

 私はこれから本気で妹と戦わなきゃならない。

 今までで、一番拳が重い戦いだ――。

もしも、ほんの少しでも【面白かった】【続きが気になる】と思って頂けましたら

↓にある広告下の【☆☆☆☆☆】→【★★★★★】をタップまたはクリックして現時点での【評価】をしていただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ