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【7/24】穢れた血だと追放された魔力無限の精霊魔術士【コミックス第4巻発売】  作者: 冬月光輝
第2章『精霊魔術士の伝説再び』

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バカと天才

「うわぁ……、中まで丸焦げになってる……。アリシアの炎系魔法って凄いね」


「炎系じゃないわ。これはあたしのオリジナル、雷系統の魔法よ」


「か、雷……? 雷って、空から落ちてくるアレだよね?」


「ええ、あたしだけが使える新たな系統の魔術。全てを穿つ、無敵の力なの」


 ヒュドラの身体があまりにも損傷していたから、アリシアに種明かししてもらうと、雷系統という知らない言葉が出てきた。

 

 魔法の系統って、地水火風の四属性に加えて光と闇の二属性の合計六系統のはずなんだけど、アリシアは七つ目の系統を開発したとか物凄いことを当然のような顔をして話す。


「へぇ~~、アリシアって、凄いんだなぁ。尊敬するよ」


「フフン。ようやくあたしの凄さに気付いたの? まぁいいわ。さっさと魔力の補給をしなさい。雷系統の魔術はあたしじゃないと使えないくらい魔力の消費が激しいのよ」


「うん、わかった。魔力増幅術(マナプラウス)……!」


 アリシアの小さな手を握り私は魔力を譲渡した。

 彼女は私の魔力増幅術(マナプラウス)をとても気に入ってくれている。

 魔力の強化と補給を際限なく行うことが出来ると知ると、自分の唯一の弱点が消えると喜んでいた。

 しかし、この人の魔力ってやっぱり他の人よりもずっと多いな……。すぐに満タンにならないもん。


「無限の魔力を分け与える力、一度体験すると不思議なものね。初めて仲間にしたいと思える人間に出会えたわ。あんた、あたしだけとこれから組みなさいよ。弱っちいのと群れてもあんたの力は活かしきれないわ」


「うーん。ティナとかエルヴィンとかと仕事するのも楽しいから、それはいいかな」


 アリシアは私に専属でペアを組みたいというようなことを言い出したが、それは断っておいた。 

 色んな人と仕事する方が楽しいしね。特に妹のティナと一緒に冒険者ギルドの仕事をするのは夢だったし……。


「あ、そう。じゃあいいわ」


「引き下がるの早っ!」


「当たり前よ。何であたしが人間に媚びなきゃいけないの?」


 あっさりと私への誘いを諦めたアリシア。

 どうも、彼女は人間って種族を侮ってるっぽいなー。

 何か昔にあったのだろうか……。




「ねぇ、そういえばさ。もうジャイアントヒュドラの幼体は五体倒したのに、どうしてそんなに警戒してるの?」


 魔力増幅術(マナプラウス)で直ぐに魔力を回復させたり、周囲を注意深く観察したり、依頼を達成したというのに警戒を怠らない。 

 まだ、何も終わっていないような……。そんな感じが見受けられた。


「リアナはバカなの? 何で警戒を解かないのか本当に分からない?」


「バカなのは否定はしないよ。えへへ、全然分からない」


 あー、またバカって言われた。

 イライラさせて、ごめんね。でも本当に分からないんだ。

 こういうところが、駄目なのは分かってるけれど。


「はぁ……、仕方ない子ね。ジャイアントヒュドラの幼体に注射器が刺されていたでしょ? 少なくとも、あの怪物に注射が出来るくらいの手練があたしたちを妨害しようとしてたってわけ」


「うんうん。普通の人はアレに注射なんかしないよね」


「そこまでの仕込みをするような奴よ。依頼達成して気を抜いている瞬間に何か仕掛けて来ないとも限らないでしょう?」


 あー、なるほど。

 そこまで大仰なことやっておいて、確かにこのまま引き下がれないかも。

 妨害工作してる奴って王立ギルドの評判下げる事が目的とか、ギルド員のことを直接脅すのが目的とか言われていたけど、私たちに何か攻撃してくるとかあるのかな……。




 ◆ ◆ ◆



「……何も無かったね。あはは」


「う、うるさいわね! このアリシア・マーセルシュタインに直接攻撃してくるような命知らずは居ないって、あたしだって思ってたわよ!」


「そもそも、ここで私たちを襲っても依頼達成したっていう事実は変わらないもんね」


「わ、分かってるわよ! そんなこと!」


 ドヤ顔で誰かが襲ってくるかもしれないと警戒していたアリシアだったけど、結局何事もなく王都に着いてしまった。

 

 よく考えたら、あの馬鹿でかいジャイアントヒュドラを二体も一気に葬るようなアリシアに喧嘩を売る意味が分からないよね……。


 まー、良かったよ。魔物相手にするより、人間の相手の方がずっと面倒だし。

 今回も超高難易度依頼だったけど、アリシアのおかげで無事に終わって――


「リアナ・アル・エルロンですね? あなたとあなたの妹に諜報員の疑いがかかっています。事情聴取を執り行いたいので、ご同行願えませんか?」


「えっ? えっ? ちょ、諜報員……?」


「現在、王立ギルド員を狙った妨害工作の容疑者として、あなたの父親であるバルバトス・エルロンが上がっているのです。そして、彼の娘であるあなた方二人にも、その片棒を担いだという疑いが――」


 ど、どういうこと? 父が妨害工作の容疑者だから、娘の私たちにも疑いって――。

 私だけじゃなくてティナまでも? どうしよう。せっかく頑張って依頼を達成したのに捕まっちゃった――。

捕まっちゃったと呑気なリアナです。

ここから、父親との因縁にも完全決着のストーリーが始まります。


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