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【7/24】穢れた血だと追放された魔力無限の精霊魔術士【コミックス第4巻発売】  作者: 冬月光輝
第2章『精霊魔術士の伝説再び』

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精霊魔術士と剣聖シオン

「えっ? どーして、アタシがこの店をやってるかって?」


 レイスの奢ってもらった祝勝会以降、私はシオンの店に通うようになった。

 シオンは煙草を箱から取り出して、さっと指先で撫でる。すると何故か分からないけどそれにボッと火がついた。

 そして、彼、いや彼女は美味そうに煙草を吹かし始めた。


「煙草吸っていいかしら? プハー」


「……もう吸ってるじゃん」


 このやり取りは何回目になるだろうか。

 シオンはヘビースモーカーである。何で煙草を吸ったのかと聞くと、昔……好きだった人がその銘柄の煙草を吸っていて、その人の煙草に火をつける口実が欲しかったという可愛らしい?エピソードが聞けた。


「そもそも、昔から自分のお店を持つことが夢だったのよ。だから、今は冒険者ギルド員の方が副業って感じで。陛下が許してくれれば、いつだって王立ギルドの方を辞めちゃっても良いんだけど。アタシも陛下には恩があるからねぇ」


 どうやら、シオンにとっては王立ギルド員であることよりも、酒場のマスターであることの方が重要なようだ。

 彼女はいつ辞めても良いと思っているけど、陛下がシオンという強大な戦力を失いたくないのだとか。


「最初のSランクにして、最強のSランク。その剣は文字通り全てを斬り落とす……“万物切断”の使い手、剣聖・シオン。エルトナ王国で最強の男だと……あの後色々と調べまして伝説の数々を知りましたわ」


「ティナ、シオンは女の子だよ~」


「やだー、リアナちゃん、女の子だなんて。ありがと~~。そうよね、女というのはいつだって蕾で有りたいものなの! 花を咲かせるのは、愛する人と――」


 ティナは祝勝会の後、シオンのことを調べたみたいだ。

 私たちの前だと面白いオネエさんな彼女も、いざ仕事となると中々エゲツない力を発揮するらしい。

 シオンは剣聖と呼ばれる程の剣士だ。何故、剣士になったのかというと、初恋の人が剣士だったからとかいうエピソードを二時間くらい聞かされた。

 その力は理屈を超えているとのことで、彼女の代名詞“万物切断”は文字通り何でも斬ることが出来る反則みたいな力なのだそうだ。


『シオンの剣だけは見通すことは出来ても真似は出来ない。いや、正確には真似した瞬間、腕が砕ける。あいつは物理を超えた力を持ってるんだ』


 あらゆる武術や流派をマスターしているエルヴィンすらお手上げだというシオンの絶技。

 正直言って全っ然理解してないけど、凄いということはわかった。


「でも、あの日……シオンも戦ってたんだね。沼地の帝王(カイザーヌメーバ)と」


「まさか、二体出現していたとは思っても見ませんでしたわ」


「最近、この国での最高危険指定生物の出現率が上がってるのよ~~。十年前と比べて、二十倍から三十倍くらいかしら。だから、アタシも忙しくて」


 私たち五人で大苦戦した沼地の帝王(カイザーヌメーバ)をシオンはたった一人で、しかも私たちよりも早く討伐したのだそうだ。

 それもニュースとして新聞で報道されているのだが、私たちの方が扱いが大きい。

 何故なら、シオンは既にこれくらい当たり前のようにやってのける絶対的な英雄として認知されているからである。

 

 そんな彼女だからこそ引退だけは許されないのだ。


「そ、そんなに上がっているのですか? 最高危険指定生物の出現度……」


「まーね。アタシとアリシアちゃんで大体片付けちゃってるから、あまり問題視されてないけど。良くないことの前兆だと思ってるわ。あなたたちも出来るだけ腕を磨きなさい。生き残るために」


 急に真面目な顔になって、シオンは最高危険指定生物の出現率の増加が悪いことの前兆だと口にする。

 あんな沼地の帝王(カイザーヌメーバ)みたいな化物とまた戦うことになるなんて、考えるだけで身震いしてしまうよ――。


「特に、リアナちゃんには期待しているわ。エルヴィンがアタシを引退させてやるって、嬉しそうに飲んでたから――」


 

 ◆ ◆ ◆



「あーあ、そんなに期待されるとプレッシャーがすごいよ……」


「お姉様の能力はそれだけの可能性を秘めているってことですわ。ティナも頼りにしております」


 まぁ、確かにティナの助けにはなっているし、あのヌメヌメをぶっ飛ばしたり、出来る事は増えた。

 期待してもらえるなんて、ちょっと前には考えられなかったことだし、応えられるために頑張らなきゃね……。



「そういえば、エルヴィン様は今日も戻りませんの?」


「うん。国境沿いの仕事を幾つかまとめて引き受けたから、ついでに宮廷鑑定士としてスカウトの仕事もするんだってさ」


「あー、そういえば、あの方。そんな仕事もされてましたわね」


 エルヴィンはここ三日くらい王都に帰ってきていない。

 私をスカウトしたときみたいに、宮廷鑑定士の仕事も一緒にしているからだ。

 今度はどんな人材を見つけてくるんだろうか。そろそろ家を出る準備とかした方がいいのかな……。


「おおっ! 我が最愛の娘たち! 久しいな!!」


「「――っ!?」」


 えっ? 目と耳がおかしくなったのかな……。

 エルヴィンの屋敷の前に私たちの父親が居るんだけど。

 しかも、何か目をキラキラさせてるし。

 この前……、決別宣言(さよなら)したんだけどな――。

シオンが実際に活躍するシーンはまたいずれ。

ついに父娘の再会です!


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