表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【7/24】穢れた血だと追放された魔力無限の精霊魔術士【コミックス第4巻発売】  作者: 冬月光輝
第2章『精霊魔術士の伝説再び』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/81

沼地の帝王

「ミギニャアアアアアアアッッッッ!!」


「散れっ!! アレに急所を貫かれると助からないぞ!!」


「「――っ!?」」


 沼地の帝王(カイザーヌメーバ)は自らの巨体から灰色の水鉄砲を無数に打ち出して、辺り一面を溶かし沼に変えていく。

 私は身体能力の弱いティナを抱えて、エルヴィンはルーシーを抱え、水鉄砲の弾幕を躱しまくる。


「エルヴィン、あのさ。ここに来る前に沼地の帝王(カイザーヌメーバ)ってあんなに大きいって言ってなかったよね?」


「ああ、ブルリン皇国に現れたのはあの半分くらいのサイズだったはずだ」


「て、ことは……?」


「神眼で戦闘能力を測定してるが、かなりヤバいな。最高危険指定生物の中でも上位クラスなのは確実か……」


 沼地の帝王(カイザーヌメーバ)から距離を取り、冷静に戦力を分析するエルヴィン。

 彼の神眼は弱点をも見通すことが出来るから、何らかの対策を考えてくれるとありがたい。

 レイスは治癒魔術を使っていて、素早く動くことは出来ないだろうし、前線に復帰するのは直ぐには無理だろう。


「あの体は液体と固体の中間みてぇな構造をしている。普通にぶん殴っても、斬りつけても再生するから生半可な物理攻撃は意味がない。魔法で攻撃するか――」


「「――っ!?」」


「螺旋の一閃ッ!!」


 圧巻の一言だった。

 ヌメヌメの液状ボディは物理的な通常攻撃に強いと説明をしたあと、エルヴィンは空中高くジャンプして槍で一突き。

 その瞬間に槍からまるで竜巻が飛び出たのかと思う程の螺旋状の突風が吹き出して、沼地の帝王(カイザーヌメーバ)の腹部を吹き飛ばした。

 

 それで腹部には穴が空いたんだけど――


「だ、駄目ですわ。すぐに再生してしまいます」


 ニュルっと体が元通り再生する沼地の帝王(カイザーヌメーバ)

 元に戻るんだったら、どんなに攻撃しても意味がないんじゃ……。


「でも、よく見てください。穴が空いた分、体積が若干少なくなったような気がします――」

「はっ――、た、確かに。ということは、エルヴィン様が仰せになりたいことは――」

「どうやら、オレが何を言いたいのか気付いたみたいだな」


 ルーシーの言葉にティナがハッとしてエルヴィンはそんな二人に声をかける。

 二人とも頷いてるってことは、エルヴィンの意図が分かったんだね。

 あはは、それなら良かった。良かったとは思うけど……。

 

「ご、ごめん。エルヴィン、何が言いたいのか私にも分かるように教えて!」


「「…………」」


 私が言葉を発すると辺りがシーンと静まり返る。

 心なしか沼地の帝王(カイザーヌメーバ)も静かになった気がした。攻撃が偶然なのか止んだからである。

 うわぁ……、引いてるよ。私が話を理解出来ないことにきっと引いてるんだ……。



炎の精霊(サラマンダー)召喚ッ! 沼地の帝王(カイザーヌメーバ)の水分を蒸発させて下さい!」

「マスターがそう言わはるんやったら、仕方ありまへんなぁ。あのごっいのを黙らせてやりますわ」 


 燃えるようなオレンジ色の髪の毛で、真っ赤な鎧を身に着けた糸目の優男は――辛い食べ物を食べたリアクションみたいに口から火を吹き出す。

 その炎の勢いはいつかのアブソリュートドラゴンを遥かに超えるほどで、沼地の帝王(カイザーヌメーバ)の足元は若干だが干からびてきた。


最上級閃光魔術エクストリームフラッシュ

 

 更にティナは巨大な魔法陣を頭上に展開させて――破邪の力があるという巨大な閃光を照射した。

 これもティナの使える術の中で最大級の魔術である。

 普段は一発撃つと魔力が切れるらしいけど――


魔力増幅(マナプラウス)……!」


 私はティナに魔力を譲渡し強化する。これを随時執り行うことで、ティナは最上級の魔術だろうが無数に発動することが出来るのだ。


「お姉様、ありがとうございます。これで、狙いはお分かりでしょう」

「えへへ、ご、ごめん……」

沼地の帝王(カイザーヌメーバ)の体の部分をちょっとずつ削ってるのさ。再生はしてるけど全部引き剥がしたら、いつかは無くなるだろ?」


 あー、そういうことか。確かに沼地の帝王(カイザーヌメーバ)、どんどん小型化している。

 今はもう、半分くらいの大きさなんじゃないかな。


 これは、このままイケそうかな? あと半分を削れば――


「そういうことなら、僕も逆襲させてもらう。おい! リアナくん……、僕に魔力を分けてくれ……!」


「レイス……」

「へぇ、ようやく認めたってことか? リアナのことを」


 何と、あのレイスが私に魔力を分けて欲しいと口にした。

 正直言ってめちゃめちゃ驚いてる。プライドがもの凄く高い人だと思ってたから。


「……人の手を借りるのは屈辱だ。だが、足を引っ張ったまま終わるのは万死に値する。それと比べたら、頭を下げるくらい容易いよ。非礼を詫び――」

魔力増幅術(マナプラウス)!」

「――っ!? な、何のつもりかな?」


 私はレイスの手を握り、魔力を譲渡して強化する。

 彼は眼鏡の中の目を見開いて私を見た。


「そういうのよりさ。美味しいご飯を一緒に食べに行く方が私はいいかな?」


「ふっ……、行きつけの店で祝勝会を開く。君たちの欠席は認めないからそのつもりでいろ」


 青髪を靡かせながら、クイッと眼鏡を上げるレイスは両手に魔力を集中させて――


最上級獄炎魔術(エクストリームフレア)ッ!!」


 レイスはサイクロプスたちを飲み込んだのとは比べ物にならないくらい――炎の精霊(サラマンダー)の炎をも超える規模の火力を見せつける。

 よし、このまま火力で押し切ろう……。


 ――あれ? 私って、さっきから魔力を渡すことしかやってないような……。

沼地の帝王戦は次回で終了。

ようやく、リアナが活躍します。チート主人公のつもりなんですけど、他の作品と比べたら地味ですまないってなってます。


もしも、少しでも【面白かった】【続きが気になる】という方は

↓にある広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援いただけると嬉しいです!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 魔力電池も大事な戦力!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ