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【7/24】穢れた血だと追放された魔力無限の精霊魔術士【コミックス第4巻発売】  作者: 冬月光輝
第2章『精霊魔術士の伝説再び』

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北東の山脈

 討伐難易度★★★★★にして最高危険指定生物、沼地の帝王(カイザーヌメーバ)を討伐するために北東の山脈に辿り着いた私たち。

 国家を崩壊させる危険性のある魔物に挑むことになるんだけど、こちらの人数はたったの五人である。


 その五人とは“神眼使い”と呼ばれる私の師匠っぽい人で王立ギルドに誘ってくれたエルヴィン。  

 嫌味っぽいところもあるけど、年間報奨金(アニュアールリワード)が五億を超える“大賢者”レイス。

 最速の魔法士と呼ばれる程の天才で私の可愛い妹である“聖女”ティナ。

 魔王に恐れられたと言われるマファラ族の末裔で伝説の召喚魔術を使える“召喚士(サマナー)”ルーシー。 

 そして最近はちょっぴり出来ることが増えたけど、まだまだ基礎を勉強中のこの私――“精霊魔術士”、リアナ。


 ティナとルーシーには予め魔力増幅術(マナプラウス)を使って強化しておく。

 ティナは魔法の火力が増大して、ノータイムで強力な魔術を連射出来るようになり、ルーシーはいつでも四大精霊(エレメンタル)を召喚出来るようになった。

 今、気付いたけどエルヴィンって自分のサポートというより、私の能力に見合ったサポーターを選んだんだね……。



「リーダーは僕がやるけど……、文句はないだろ?」


「えー、エルヴィンがいい。優しいし」

「わたくしはリアナお姉様を推しますわ。お強くて、頼りになりますもの」

「え、えっと。二人とも、そんなストレートに言ったら――」

「割と、そういうところは姉妹で似てるんだよなー。遠慮しないでズバッと言っちゃうとことか」


 目的地に到着するとレイスがいきなりリーダーになるとか言ったから、エルヴィンの方が良いって本音を言っちゃった。

 ティナ、私がリーダーになったら間違いなくパーティーは崩壊するから……。

 なんか数回一緒に依頼をこなしてから、やたらと私のことを持ち上げるようになったなぁ。


 ――あれ? レイス、もしかして怒ってる?


「リアナくん。君の脳みそが小さいということは承知しているが、一つだけ教えてやる。エルヴィンは四位で僕は三位。序列的に僕が上なんだ。理解出来たかな? あと、ティナくんだっけ? 君は姉以上に頭が悪いことが分かった。以後、発言しないでもらいたい」


「リアナお姉様を差し置いて、リーダーになろうとはおこがましい。お姉様は誰よりも強く、能力的にもパーティーの中で最も重要な役割を担っています。それを考慮すれば誰を立てなくてはならないか自明の理かと」


 レイスが私とティナを軽くディスると、ティナはずいっと前に出て彼を睨みながら反論する。

 そんなに胸を張って私の役割が重要とか密かにプレッシャーかけるの止めてよ。

 マナプラウスがティナとルーシーの火力の要だと言いたいんだろうけど、何とか死なないように魔力タンク頑張るからさぁ。

 リーダーじゃなくても出来るよ。それは……。


「たかがAランクが出しゃばるな」

「たかがAランクですが、お姉様の力を拒否した貴方には負ける気がしませんわ」

「何だとっ! どうやら、仕置きが必要らしい」

「良いでしょう。前哨戦といきますか?」


 レイスとティナの魔力同士がぶつかって大気が軽く揺れる。

 このピリッとした空気……苦手だなぁ。ティナも頑固だし、レイスもプライドがあるから引けないし、どうしたら良いんだろう。


「まぁまぁ、落ち着けよ。……この中で一番仕事をこなして経験値が高いレイスは客観的に見てもリーダーに一番相応しい人材だ。キャリアが違うんだ」


「ふっ、エルヴィンくんもたまには良いことを言う」


「で、レイスがリーダーとして力を発揮するためには絶対にリアナの力を失うわけにはいかねぇ。こいつを最優先で守ることさえ許してくれれば、オレはレイスをリーダーとして推そう」


 エルヴィンはレイスがリーダーになることに賛成みたいだ。

 そりゃあ実績からしてレイスが一番なんだからそうなんだろうけど。

 でも、私を最優先で守るってそんなこと許されるの?


「リアナくんを最優先に守る? ……まぁ、良いだろう。それくらいは認めても」

「お姉様を雑に扱わないのでしたら、わたくしもリーダーには拘りませんわ」


 あれま。なんか、あっさりおさまった。エルヴィンって口が上手いなぁ。

 一触即発な空気だったけど、これなら大丈夫そう。

 依頼前の喧嘩とか勘弁してほしいもん。あー怖かった。


「レイスは適当に(おだ)てればチョロいから、覚えとけ」

「あはは、何となくそれは今ので分かったよ」


 エルヴィンは小声で私に耳打ちして笑う。

 煽てれば良かったのか。今度試してみようっと……。



 リーダーはレイスに決まったところで、私たちは北東の山脈に足を進める。

 なんか、凄く獣臭い。そして血なまぐさい……。

 それに、ズシンと響く足音の数が――

 

「さぁて、早速前座共があらわれたぞ」

「知ってのとおり、この山脈は危険指定生物と超危険指定生物の巣窟だからね」

「えっ!? そうなの!? 全然知らなかった」


 嘘でしょ。あの魔物の影の数は軽く五十体を超えてる……。

 あれ全部、危険指定生物か超危険指定生物なの!?

 

「流石はお姉様、地理など見ずとも何も怖くない。一切の危険を恐れぬその豪胆さ恐れ入ります」

「ティナさん、リアナさんのリアクションのニュアンスは……ちょっと違うと思います。ボクと同じで何も知らなかっただけじゃないでしょうか? うう、足がガクガクする……」


 ルーシー、正解だよ。最高危険指定生物がいるとしか前情報が無かったから単純に初耳なだけだよ。

 勤勉なティナはエルトナ王国全土の地理の特性とかきっと暗記してるんだろうけど。

 迫りくる魔物の正体は討伐難易度★★★の危険指定生物サイクロプスや討伐難易度★★★★のギガントサイクロプスたちだった。

 サイクロプスは三メートル以上ある一つ目の巨人。ギガントサイクロプスはその倍の大きさはある。

 どれもこれも、強力な魔物だ……。


「まぁ、雑魚に手間取っていられない。足を引っ張らないでくれ給えよ」


「「――っ!?」」


最上級獄炎魔術(エクストリームフレア)ッ!!」


 周りの温度が急上昇するほどの強烈な閃熱がレイスの両手から放出され――十体以上のサイクロプスたちを丸ごと飲み込み絶命させる。

 これが、年間報奨金(アニューアルリワード)第三位、大賢者レイスの実力か――。

 

「どうした? 敵はまだまだいるぞ。ボサッとするな」


「中々、おやりになりますわね。しかし、お姉様はこのくらいじゃ全くビビりませんことよ」


 いや、ビックリしてるし、口開いてるよ……。


「リアナさん、ぼ、ボクたちも頑張りましょう」


 ルーシーは逞しくなったなぁ。そうだね……、私も頑張らなきゃ。


「普段から特訓してるから実感ねーけど、一緒に戦うのは初めてだな。何か嬉しいよ。リアナをスカウトして、今が一番」


 エルヴィン、私もちょっと嬉しいかな。

 ようやく、エルヴィンの役に立てるし……。


精霊強化術(マナブースト)ッ!」


 私は今までで一番スムーズに高圧縮された魔力を身に纏い……戦闘を開始した――。

戦闘シーンは読みやすさに拘ろうと頑張っていますが、悪戦苦闘してのたうち回っています。

次回も楽しんで頂けるように頑張ります!


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