4階層、ボス討伐完了
20180226 更新1回目
「面倒な――」
飛び掛かってきたモンスターは、見たことがないタイプだ。
巨大な蟻のモンスター。
正直すごく気持ち悪いが、そんなこと気にしている暇はない。
想定外の襲撃ではあるが十分に対応できる。
「――風刃!」
強烈な風の刃が蟻のモンスターを襲い、その身体を真っ二つに切り裂いた。
スキルレベル5まで上げていることもあり、4階層の雑魚くらいであれば一撃で屠れるようだ。
「********!」
俺の注意が一瞬モンスターに向いている隙に、ミノタウロスは攻撃を繰り出す。
ただ腕を上げ敵を殴り付けるだけの、技術などは一切ない一撃あるが、圧倒的なフィジカルから繰り出されたそれは目で捉え切ることは出来ても、身体の反応が追いつかない。
(……この際、仕方ない)
俺は両腕を上げミノタウロスの攻撃に備えた。
攻撃を受けるのと同時に、衝撃を逸らす為に後方に下がる。
物理防御を使うことで発生した魔法の壁が簡単に突破された。
バン――ゴギッ!
(っ……)
右腕が骨が折れるような鈍い音が耳に響く。
このレベルでも、ボスモンスターの攻撃を受ければ致命的なダメージは避けられないか。
人間とモンスターでは身体能力があまりにも違う。
個人の能力がどれだけ上がろうと、油断すれば死ぬことは十分にあり得るか。
(……それがわかっただけでも、十分な成果だな)
傷は魔法で治せる。
まぁ……それも、この戦いで生き残れればの話だが。
「――*********!」
ミノタウロスの咆哮がダンジョン全体に響く。
そして態勢を下げ、ロケットスタートでもするかのように地面を蹴った。
腹に穴が開いてるってのに、随分と元気が有り余ってやがるな。
「俺も長々とお前と遊んでやるつもりはない」
向かってくるミノタウロス目掛けて俺も疾駆する。
同時に自分に対して、炎属性耐性を使用した。
そして、
「――フレアバースト」
現状、俺が使える最高火力の魔法。
狙うはこの化物の顔面。
「――*********!」
「喰らえっ!」
突進してくるミノタウロス目掛けて、俺は左手の中にある炎の爆弾をぶち込んだ。
――ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
爆音がダンジョン内に響く。
フレアバーストによる炎の爆発が、ミノタウロスだけではなく俺の身体を包み込む。
「っ~~~~~!!!???」
くっそ熱い。
想像以上に自分へのダメージがキツかった。
炎属性耐性がなければ、全身大火傷になっていたんじゃないだろうか。
だが、全力のフレアバーストは、ミノタウロスの身体を吹き飛ばし焼き尽くした。
頭部を失ったミノタウロスは地面に倒れ伏せ、ゆっくりと光の粒子に姿を変えて消滅していく。
『4階層のボスが討伐されました』
早速、通知が入った。
『あなたのレベルが31に上がりました』
ボス討伐により、1レベルアップ。
オリジナルスキルを使っていれば、もう少しレベルも上げられた気がする。
だが、スキルなしで今の自分がどの程度ボスと渡り合えるのかは十分理解できた。
(……なんとかなったな)
レベル30で4階層のボスをなんとか……という感じか。
だが、もっと上手い戦い方は出来たはずだ。
この結果は、俺の戦闘経験の浅さも問題なのだろう。
(……ボスクラスとの戦闘経験はもっと必要か)
いざとなれば一匹狼があるとはいえ、その力にだけ頼っているわけにもいかないだろう。
「――治癒」
魔法を使い、とりあえず全身の傷を治療する。
とりあえず右腕の骨折を治しておきたいのだが……少し時間がかかるか?
その間に俺は周囲の様子を確認する。
「おらあああっ!」
野島が中心となり、雑魚モンスターを殲滅していた。
勇希、三枝、此花は魔法やスキルでサポート。
敵の隙を見て、前に出て攻撃を加えるという戦法を取っていた。
(……好戦的な野島がいてくれると、雑魚との戦闘は楽でいいな)
勇希や三枝が後方で戦えるのも大きい。
さらに此花はオリジナルスキルの保有者だ。
ここで失うわけにもいかない。
そう考えると、彼女たちを守らせる意味合いも含め、野島はもう少し鍛え上げてもいいかもしれない。
(……よし、痛みもかなり引いてきた)
とりあえず右腕は動くようになった。
これなら、今回探索をする分には問題ないだろう。
しかし魔法レベルは上がっても、大怪我を治すとなるとそれなりに時間がかかるな。
一瞬で治ってくれれば戦闘面もかなり楽になるのだが……。
(……それは都合がよすぎるか)
今後、さらに魔法のレベルが上がれば効果も大きくなるだろうから、回復魔法系は優先的に獲得していきたいな。
「よし、俺もサポートに入るか」
そして、勇希たちの戦闘のサポートに入り、雑魚モンスターとの戦闘を終わらせた。
この戦いで野島は2レベルアップ、勇希、三枝、此花は1レベルアップすることになった。
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