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クイーン・オブ・魔法少女 〜いや俺、男なんですが!?〜  作者: 赤金武蔵
第4章 異国の魔法少女

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123/126

第123話 ブチ切れ

「――あれ……? ここは……」



 視界が元に戻ると大草原は影も形もなくなり、打ちっぱなしのコンクリート壁に囲まれた部屋だった。

 出入口は一ヶ所のみ。それ以外は簡易的なベッドだけで、冷たい白色LEDが光っているだった。



「ここ、ワタシが任務の時に寝泊まりするprivate roomデス」

「それにしては、随分と寂しいですね」



 個室なら、もっと可愛くデコレーションすればいいのに。

 ……って、何を考えてるんだ。集中しろ、集中。

 顔を何度か叩き、コメットの後に続いて部屋を出る。外は長い廊下が続き、等間隔に並んでいる扉が左右に伸びていた。



「ホラー映画に出て来そう」

「ワタシも最初は怖かったデス。さあ、こっちデスヨ」



 誰もいないことを確認して、コメットが廊下を走る。

 人の気配はない。完全に無人みたいだ。

 けど、ここまで来てはたと思った。まだコメットの所属している組織のことを聞いていなかった。



「ライス。今更ですけど、あなたどこの組織に所属しているんですか? 魔法少女協会?」

「そう言えば、伝えていなかったデスネ」



 コメットが指先に光りを灯し、空中に煌びやかな文字を書いた。



「Magical Girl Association - Secret Division…日本語訳すると、魔法少女協会の暗部デス」

「暗部?」



 聞きなれない言葉に、ついオウム返しで聞いてしまう。



「普通のmagic girlは魔物と戦うことをメインに行っていマス。でも暗部の人間は魔物以外に、危険思想のmagic girlと戦うんデス。大きな力を持って、心が悪に染まるのはよくあることナノデ」



 確かに、そうなのかもしれない。魔法少女の力は、人類では太刀打ちできないほど強力だ。制御する組織があったとしてもおかしくない。

 コメットの案内で、無人の廊下を走る。

 何回かの角を曲がり、階段を上に登ると、はたと気付く。



「いつも、こんなに人が少ないんですか?」

「確かに……いつもはもっと賑わっていマス」



 ということは……。

 思考がとある答えに行き着こうとした、その時。階段が開け、唐突な眩しさが目を焼いた。

 直後、背筋を駆け抜ける甘い痺れ。これは──



「ライス!」

「ッ!」



 俺の意図を察し、コメットが前面に魔法陣を展開する。四方から迫る炎、氷、雷、風の魔法を防ぎ切り、視界が晴れた。



「やっぱりか」

「Jesus…」



 体育館ほどの広さの空間に、数十人の魔法少女たち。さっきまで気配すら感じなかったのに……さすが、暗部の人間ってわけか。

 痺れるような敵意を向けてくる魔法少女たちの中心に、1人だけ異質な存在感を持つ奴がいる。

 間違いない……あいつが、コメットのボスだ。

 フルフェイスのマスクだから、性別はわからない。けど魔法少女たちを従えてるなら、十中八九女だろう。



『──初めまして、ツグミ。日本の魔法少女よ』



 ボイスチェンジャーか。正体を明かしたくないみたいだな。



「初めまして。……ボイスチェンジャーに、言語翻訳の魔法石まで使うなんて、徹底していますね」

『無礼は承知しているが、命を狙われる身なのでね。このままで許せ』



 ……随分と上からだな。自分の力に自信があるのか、周りの魔法少女たちを信じているのか。何にせよ、ここからは喧嘩だ。誰が来ようと、何が飛び出そうと、全力で叩きのめす。

 全身からオーラを滾らせると、敵魔法少女たちも殺気を漲らせる。

 が、仮面野郎が手を挙げた。同時に少女たちから殺気が消える。



『落ち着け。まずは話しをしようじゃないか』

「話し……? 私としては、一刻も早くその顔面に拳をぶち込みたいんですが」

『……何をそんなに怒っている?』



 本当にわからない、とでも言うように肩を竦める。人の気持ちがわかる大人になりましょうって、親に言われなかったのか。



「理由は四つ。一つ、私のことをこそこそ嗅ぎ回ってきたこと」

『我々暗部は、魔法少女の力を悪用する者が出ないよう監視する任務がある。調査は当たり前のことだ』



 さも、当然のことのように言うな。



「二つ、ライスの……コメットの良心を利用したこと」

『私の部下だ。公私混同せず、忠実に命令をこなす、優秀な子だよ』



 仮面野郎の言葉に、コメットが顔を伏せた。

 思わず、コメットの手を取り、強く握る。大丈夫、俺だけは味方だ、と言うように。



「三つ、自分は高みの見物を決め込み、私の力をコメットで試したこと」

『どの程度の実力か確認しなければならんからな。コメットの力であれば、可能と判断した』



 ……ああ、そうか。あくまで自分の言動を正当化しようってのかい。



『して、四つ目は?』

「ん? あぁ。総じて、あんたが気に食わねぇ。──ぶっ飛ばす!!」

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