Episode-72 『ランクインと大事な話・超清純派女優の場合②』
「「お願い?」」
百合神様の口から出た思いがけない言葉に私と紗凪ちゃんの声が重なる。
というか、それ以前に紗凪ちゃん凄いな。私ってば完全に大事な話の中身はその百合の箱庭ベスト5にランクインってだけかと思ってたもん。
だってそれだけでも十分以上に凄いよね。
それって私と紗凪ちゃんの仲が公的に認められたと言っても過言じゃなくない! 私のカンが正しかったらその百合の箱庭(恐らく私たちがいるこの空間の名称)にいるのは100人50組。つまり私たちのラブラブ度は少なくとも50組中5位以内に入っているってことでしょ! しかもしかも、トップ5ってことは1位の可能性もあるってことでしょ!!
キャー、いつの間にやら公認ベストカップルになってるんですけど~♪
とまぁ、そんな風に内心は狂喜乱舞になっている私だが当然ながら表にそれは出さない。少々口元がにやけるくらいだ。
そのため百合神様も紗凪ちゃんも私の心の底での歓喜には気づかずに話を進め始める。
「ああ、お願いだ。つまりこれから私が言うことは、お前たちに拒否権が存在する」
「もし拒否ったらそれでお前は諦めるんかいな?」
「そうだ、お前たちの意思に反して強制した結果もし状況が悪化することがあれば本末転倒だからな」
「…それほどに無茶な事なんですか?」
「いや、そうでもない。簡単とは言い難いかもしれんが無茶というほどでもないと私は思う、お前たちは二人とも人見知りという訳ではなさそうだしな」
「?」
どういうこと?
人見知りという訳じゃない――それは裏を返せば人見知りであればやりにくいお願い。この二人しかいない空間で?
「で、結局のところどんなお願いやねん。それがわからんと答えようがないわ」
そんな考え込む私とは対照的に紗凪ちゃんが百合神様に直球の質問をぶつける。
その問いに、
「まぁ、そう急くな。順を追って説明する」
と百合神様が一拍置くように片手を軽く上げる。
そして続けて、
「では、音木紗凪。集められたペアにベスト5があるならば必然的に存在するものは何だと思う?」
そう紗凪ちゃんに向かい質問を返す。
それに対して紗凪ちゃんは「んー」と数秒考える素振りを見せると、「あー」と何かを思いついた様にポンと手を叩く。
百合神様の質問からするにたぶんあれだよね。
「ずばり――入賞祝いの景品やな」
「虹白夜。集められたペアにベスト5があるならば必然的に存在するものは何だと思う?」
「…えー」
が、紗凪ちゃんの答えは百合神様の期待していたものではなかったようで、ノータイムで同じ質問が私にとんでくる。まー、私の予想とも確かに違ったけどね…。
ちなみにドヤ顔での答えを無視された紗凪ちゃんは横で「無視すんなや! おい、お前やそこの仮面!」とご立腹だ。可愛い…!
で、まぁその百合神様の質問の答えだけど――というか、これって少しよろしくない流れじゃない?
私の予想が正しいならちょいとめんどくさいことになりそうな予感。
頭にその答えを想像して嫌な予感が過ぎる。が、黙っているわけにもいかないので、
「ベスト5があるっていうなら、その対極。――つまりワースト5があるっていうことですか?」
外れててくんないかな~、という私の願望は百合神様の満足げな「うむっ」という頷きで砕け去った。
隣では紗凪ちゃんが「あっ、なるほど~」と感心した様な声を上げてくれる。それ自体は嬉しくて可愛い…けど、あー困った。
ワースト5の存在、私たちが人見知りではいけないお願い。この二点で百合神様の言いたいことを私は何となく察してしまっていた。
「つまり、私のお願いというのはそのワースト5に関わることだ。――単刀直入に言おう、お前たちにはそのワースト5のペアのうち1組の仲を取り持つのに協力してもらいたいのだ」
はい、きたー…、予想通りの展開。
そして何故私がその展開を芳しく思っていないかというと…だって、それって私と紗凪ちゃんのこのサンクチュアリに女の子とはいえど余所者が入ってくるってことでしょ。
うーん、それに全く抵抗を感じないと言えば嘘になる。まぁ、期間とか条件とか相手にもよるんだけど…。それに紗凪ちゃんはどう思ってるんだろ?
そんな私の内心の葛藤を余所に百合神様が「テレビの後ろの壁を見るといい」と言って、指をパチンと鳴らす。
そしてそこに映し出されたのは、
『特殊ミッション型イベント――関係改善&強化・二泊三日宿泊学習』
そんなでかでかとした文字だった。
うーむっ、期間は二泊三日か。
思ったより短いけど…、あー、うーん…、どうするべきかな~!




