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Episode-39 『テレビを見よう・超清純派女優の場合』


 横に座り、プンスカという擬音が聞こえてくる様にテレビの中の百合神様に怒る紗凪ちゃん。

 言うまでもなく怒った紗凪ちゃんも可愛い。


 そして、ここで新たな発見。

 紗凪ちゃんは一定以上お馬鹿扱いされるのを嫌がるらしい。恐らくだが、高校二年生時点の勉強は不得手だが流石に中学生の勉強はできるという自尊心の線引きがあるのだろう。

 ふむ、女心は複雑である。


 私からすれば、例え紗凪ちゃんが全国模試一位だろうと定期テストで全科目赤点だろうとどっちも魅力的な紗凪ちゃんだ。

 前者には前者の後者には後者の良さがある。たまたま紗凪ちゃんは後者だっただけなのだ。

 だからこそ、私はこの状況を利用…いや、それだとなんかあまり良い言い方じゃないな。…うーん、そう! この状況を逆手にとったのだ。


「大丈夫だよ、紗凪ちゃん。私はわかってるから。紗凪ちゃんはちょっぴり勉強が苦手なだけで、別に全然できないってわけじゃないもんね」


 まるで自分は何があっても紗凪ちゃんの味方だよと言わんばかりの言葉と表情で紗凪ちゃんを諭す。ちなみに嘘は言っていない。

 あえて付け加えるなら「例えそうだったとしても、私は紗凪ちゃんを世界で一番大好きだよ」が最後に付くが、そんなことを今言ってもしょうがないのでそれは胸の内に秘めることにする。


「そなんですよ! さすがに全然ってわけやないんです! うちは笑えないレベルやのーて笑えるレベルのアホなんです! さっすが夜さんはわかってくれてますね~」


「もちろんだよ♪」


「ですよね~。ったく、それに対してこのお面ときたら」


 すると、そんな私のフォローを喜んでくれたのか紗凪ちゃんの機嫌が若干上向きになり始めた。

 まあ本気でキレていたわけではないのは私も百合神様もわかっていたのだが、小さな怒りが霧散して何よりだ。

 

 …いや、待って。何か上手くいきすぎている気がしないでもない。ハッ、もしや百合神様は紗凪ちゃんをわざと怒らせてそれを私にフォローさせることで紗凪ちゃんの中の私の好感度を更にアップさせようという狙い!?

 そ、そうに違いない! 百合を司っている百合神様ならそれくらい狙ってできそうだ。それに初日の電話で私の紗凪ちゃんに対する想いは伝わっているのだ。つまりさっきのは私に対する援護射撃!!

 さ、さすが百合神様! ありがたや~。


 ナイスアシスト。好感度アップです♪


 言葉にすることはできないため、何とか紗凪ちゃんにばれない様にウインクで感謝の意を伝える。

 届けー、この思い!!

 まあ、無理でしょうけど!!


「ところで百合神様。そのテレビについてそろそろご説明をしていただいてもよろしいですか?」


 と、感謝の気持ちを念じても伝わらないだろうし実際に形にしてみることにした。

 なんか百合神様はこのテレビに結構熱を持ってるみたいだったしね。

 すると私のその予想は正解だったようで、キラリとお面の奥の百合神様の瞳が輝いたかと思うと、


「ッ!! そうかそうか! 知りたいか! よし、心して聞くがいいぞ!」


 といきなりテンションの上昇と共にそう切り出した。

 あー、やっぱり説明したかったんですね~。

 横にいる紗凪ちゃんは「別にええけどなぁ…」とめんどくさそうにしている。でもここは聞こう、いや聞いてあげよう紗凪ちゃん。じゃないとちょっと気の毒だ。


「まあ概要は先程説明したと通りだ。そして、貴様らが先程使用したリモコン。それにはボタンが一つしかついていなかったな」


「せやな。電源つける一個しかなかったわ」


 百合神様の言葉に紗凪ちゃんが相槌を打つ。

 なんやかんやで百合神様の会話に乗ってあげる紗凪ちゃんはやはり優しい子だ。

 

「そうそれはリモコンと言うよりも電源をつけるスイッチだ。それ以上でもそれ以下でもない。ならチャンネルはどう変えるんだ、そう思ったはずだ?」


「なんで一人で進めとんねん。…いや思ったけどやな」


「それは簡単だ。そのワンハンドレッドチャンネルには現段階の人間科学を遥かに超えた人工知能が搭載されているのだ。それ、何か見たいジャンルを言ってみろ」


「ジャンル? えー、夜さんなんかありますか?」


「うーん、動物とか?」


 少し悩んでそう答える。

 すると、テレビの画面が変化し唐突にアフリカの大自然を舞台にした動物ドキュメンタリーっぽい番組が始まったのだ。


「うわっ!」

「おお!」


 その画面の変化に私と紗凪ちゃんが思わず声を上げる。

 

「フッフッフッ、驚いたか」


 そして、百合神様の声だけがメインルームへと届く。


「このワンハンドレッドチャンネルは、先程言った様に百のジャンルを網羅している。動物、スポーツ、バラエティ、映画、ドラマ、アニメ、etc…。まあ詳しくはテレビの横に置いてある冊子を見るがいい。そして、そのジャンルを選択した時の声の感情を搭載した人工知能が読み取り、最適な番組を即時生成し放映するのだ!」


 自信満々と言った風にワンハンドレッドチャンネルの全貌を話す百合神様。

 …うん、運動場でわかっていたことだが百合神様の力は人智をとんでもない高さで飛び越えてる。

 確かにとんでもない代物だ。

 

 そして、私は思った。

 私たちが住んでいるこの場所ってもっと探せばオーパーツっぽいものががそこらじゅうに転がってそうだなぁ…と。

 まあ神の建造物なんだから、当然っちゃ当然なんだけどね。


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