Episode-32 『暇な時間・関西弁JKの場合』
あれからちょいとばかし運動場に設置されたパネルをいじくって色々と見て回った後に、少し二人で話し合って一端個人の時間を設けるって話になった――訳やけども。
「んー、暇やなぁ」
メインルームに置かれとるソファに無造作寝っころがりながらうちは一人呟いていた。
一端は部屋に戻ったんやけど、結局やることなくて戻ってきてもうた。そして、夜さんはもちろん自分の部屋の中。
まあ、ここでうちが夜さんの部屋にお邪魔するのも文字通りお邪魔になるだけやし止めといた方がええやろな。
「うーん、それにしても暇や」
学校無いとこんな感じに暇なんやなぁ。
休みの日は暇なときは気が向いたら店の手伝いしとるし、そこまでうちって暇を持て余すときないんよなぁ。常になんかしとるというか。まあ、それは落ち着きがないともとれるんやけど…。
考えてもしゃあないか、なんかないかな~。
視界をグルンと回し、何か目に付くものはないかと探る。
「テレビもなー、ちょい気になるけどそこそこビックイベントな気がするし夜さんと一緒に試した方がええ気がするんよなぁ」
一番に目に付くには目の前のテレビ。
しかし、ここに来てからいろんなイベントは大体夜さんと一緒にやってきた。なら、最初にテレビつけるんも一緒の方がええよな。
――うん、しゃーない。
そして、結局やることがいまいち見つからなかったうちは、最終手段に出ることにした。
「百合神~!」
ソファに寝そべり、天井に向かってそう名前を呼ぶ。
すると、待つこと数秒――
「…なんだ?」
と若干めんどくさそうな声と共に壁の側面にモニターがパッと開く。
モニターの向こうには相変わらずのお面姿の百合神が椅子に座っとる。
「いや、暇やねん。ちょっとダベろうや」
「何を言っているんだ貴様は…。何故私が貴様と話に興じなければならん」
「だから言うたやろ、暇やって。運動場帰りで夜さんもプライベートルームで小休止中やねん」
「なら、貴様もそうすればよかろう」
「いやなぁ、うちあんま部屋でボケーッとしとるん得意やないねん」
うちの言葉に「それは得意不得意の問題なのか?」と百合神が首を傾げる。
なんか、こういうとこはこいつ人間チックなんよな。
ん? ちゅーか、ひまひま言うてて思うてんけどこいつは普段なにしてるんやろか?
「なあ、お前うちらと話してへんときってなにしとるん?」
思ったままにそう尋ねる。
すると、百合神は焦ったように「なにっ…!?」と声のトーンが一段階上がる。
これはあれやな。この前うちらを夕方に起こした理由聞いた時とおんなじやな。
相変わらずわっかりやすいわ~。
「おまえ、やっぱ何か隠しとるやろ。ええ機会やし、教えろや」
「ぶっ、無礼だぞ! 私は別に隠してなど――」
「ほんまか?」
「うっ…」
一歩踏み込み、そう念押しすると百合神の言葉が濁る。
うーん、やっぱこいつどっかぬけとるんよな。正直ばればれや。
すると百合神ももう誤魔化すのを無理と悟ったのか、はぁーっと諦めた様に息を吐く。
「わかったわかった。まったく本当にやかましい小娘だまったく…。確かに私は貴様らに伝えていないことがある。それは認めよう」
「急にあっさりやな」
「まあ、ほとんど気づかれかけてはいたのはわかっていたからな。諦めもまた美徳だ。まあ、お前の様な趣を理解できなそうな小娘にはわからんだろうが…」
「うっさいわ。なんかよーわからんけど、その憐れむみたいな声やめぇや」
なぁんかこいつ、うちのこと下に見とる節があるんよな。
そらまあ、神と人やったら神が上で人が下なんやろけど…、うーんどうも納得いかへん。
「で、その秘密は教えてくれるんかいな?」
「悪いが、それは無理だ。だが、それを知ろうが知るまいがお前たちの生活に影響が出ることはないし、お前たちに害をもたらす類の秘密ではないとだけ言っておこう」
「ほーん」
どうやら、それが話せる限界らしい。
ま、しゃーない。神にもいろいろあるって思うことにしよか。それに害が無いって言葉が聞けただけで十分やしな。こいつ、アホやけど嘘はつかへんやろし。
「じゃあ、それで今日のところは納得したるわ」
「…前から言おうと思っていたが、お前は何故神である私と話しているというのに若干偉そうなのだ?」
「偉そうなのはおまえも一緒やろ」
「私はいいのだ、神だから。ではそろそろ失礼する、神は忙しいんだ」
そんなよ―わからん理論の言葉を残してモニターがパッと消える。
神だからて…、それを言うたらしまいやろ。
そんな風に呆れていると、
「あっ、メインルームにいたんだね」
そんな言葉と共に夜さんが自身のプライベートルームから顔を出した。
うん、まぁ暇つぶしにはなったわな。




