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Episode-PLUS6 『しりとり・出番少なめの一組の場合』


 ルーム19:テーマ『自分の好きなもの好きなこと』


「なるほど。これでお互いの好きなものを知って、それが更に仲良くなる一因になれば的な感じかな。付き合いたて・・・・・・の私達にはもってこいの企画だね」


「つっ、付き…!? えっと、はっ、はい!」


「あははっ、相変わらず春貴ちゃんは恋人とか付き合うという言葉に毎回照れちゃうねぇ~。うふふ~、愛いやつよ~」


「すっ、すみません…」


「謝らなくていいって。前も言ったけど、私も人とお付き合いとか初めてだしさ。二人でゆっくり勉強していこっ♪ この百合神ミニゲームとやらはきっとその力になってくれるはずさ!」


「でっ、ですね…! ――あっ、でも」


「ん?」


「私はすでにここに来る前の一年間で高佐さんの好きなものはほとんど把握してしまっているのですが…」


「――! たしかに! まっ、まさか春貴ちゃんの私への溢れんばかりの愛がこんな形で反作用するなんて…!」


「あっ、でも私のリサーチ不足でまだ知らないこともあるかもしれませんし、むしろそれを知れたらより高佐さんの魅力を知ることができるかと」


「おおっ、いいねぇ! ポジティブシンキング! じゃあ私はあえて春貴ちゃんが知らないと思う様な好きな物事を意識して答えるとしますかね、ついでに知ってたか知らなかったかの判定もよろしくね」


「はっ、はい。高佐さん!」


「あとそれ!」


「はい?」


「いやだからね、高佐さんじゃなくて悠菜さんって呼ん欲しいなぁ~って」


「あっ、ん~…。それはですね…」


「だって夢の中では悠菜さんって呼んでたじゃない」


「ええっ、初耳なんですけどっ!?」


「あれ? そうだって? 春貴ちゃんが寝言で『悠菜さん大好きですぅ~』って言ってたのを聞いて最初に違和感を覚えたから、その後の正体発覚に繋がったんだよ」


「……………」


「――よし、じゃあ始めよっか。そうすれば顔を真っ赤に染める程の恥ずかしい感情も忘れるはずさ!」


「いや、その衝撃事実の発覚は地味に尾を引く気がします…」


「…はい、切り替え切り替え! 発覚させた私が言うのも変な感じだけど、忘れよう! うん、忘れよう! ゆでだこみたいになっちゃってるから!」


「どっ、努力します…。す~は~、す~は~…」


「じゃあ、開始! 『り』、りんご。知ってた?」


「はい、知ってます。高佐さんの好きなフルーツトップ3はいちご、りんご、マンゴーです」


「全部正解、流石は春貴ちゃん。高佐悠菜博士だね」


「いやぁ~、そんなことは~…♪」


「じゃあ次。春貴ちゃん、『ご』だよ」


「はい。『ご』、御朱印集め」


「おっ、渋いねぇ。私もこの一年で真央に付き合って何回か行ったよ」


「はい、知ってます。というか私も高佐さんがやっていることを知って、その影響で始めましたし」


「なぬっ!? 何気ない私の行動がそこまで影響を与えていたとは!?」


「えへへ~」


「よし、次は『め』ね。メイド喫茶、これはどうだ!」


「はい、知ってます。最初は友人の柏木さんに誘われて行くことになり、初回以降も二回同行。ここに呼ばれる一か月前にはついに一人での入店を経験しています」


「さっ、流石は春貴ちゃん…! この一年で私の事を全て把握したと言うだけはあるね」


「あっ、ありがとうございます! じゃあ私のターンですね。『さ』、桜」


「あ~、いいよね。桜、私も意外と毎年しっかり花見をしているんだよねぇ。実は私の実家の近くに隠れた名所があるんだぁ」


「はい、知ってます。そこで小学校六年生の頃から毎年三人でお花見をしているんですよね。ちなみに高佐さんの好きな植物トップ3は桜、向日葵、アサガオです」


「ぐぬぬっ、私が答えるターンじゃないのに容赦なく知識を披露してくるとは…!? そして全部あってるし!」


「ふっふっふっ、私は高佐さんに関しての事柄ならば何でも知っている自信があります♪」


「――くっ、一分前が嘘のような自信に満ち溢れた顔をしおって! だが、このままでは終わらせない!

絶対に春貴ちゃんが知らない私のことを教えてあげる!」


「はい、楽しみです♪」


「『ら』、ランニング。知ってる?」


「はい、知ってます。最初は運動不足を懸念して初めた取り組みでしたが、今では習慣づき週に最低二回は走っていますよね。大変健康的で、素晴らしい事だと思います」


「当然の様に知られていたっ!?」


「私ですね。『ぐ』、ぐみ。こちらも高佐さんが好きなお菓子だから私も好きになりました。ちなみに高佐さんの好きなお菓子トップ3はせんべい、グミ、チョコレートです。更にちなみに先程の好きな果物トップ3には入っていませんでしたが、高佐さんが一番好きなグミの味は意外にもオレンジです」


「そして私がリアクションをとる前に先読みで豆知識を披露された!? そして全部あってる!!」


「どうです? 負けを認めますか? 高佐さん」


「い~や、認めない。この勝負は心が折れるまでは負けじゃない、意地の勝負よ。もう正直しりとりはおまけ、絶対に春貴ちゃんが知らないことを教えてあげるんだから!」


 ~~三十分後~~


「『い』、イルカ。これも私が好きな理由は同上です。ちなみに高佐さんは海洋生物の中では断トツでイルカが好きで、二年前の仲良し三人組の小旅行ではそれに合わせる形でイルカと触れ合える水族館にも行っています」


「そのと~り…。やばい、どっちの手順でも補足説明を聞かされ続けて流石に心が折れそうだ。…というか、春貴ちゃんってもしかしなくても私よりも私の事に詳しくない」


「ほっ、ホントですかっ!?」


「まったくもう、なんで嬉しそうなのよ~…。――で、ここで一つ気になったことがあるんだけどさ…聞いていい」


「もちろん、何でも聞いてください」


「春貴ちゃんの好きなもの好きな事ってさ、聞いた限りじゃ全部私の影響受けてるじゃない?」


「そうですね」


「なんで?」


「――ああ。それは単純ですよ、高佐さんに会う前の私には好きなものをつくる余裕なんてそもそもありませんでしたからね」


「………そっか」


「? 深く聞かないんですね」


「気にはなるけど、自分から聞こうとは思わない。いつか春貴ちゃんが話したくなったらその時に聞かせてよ」


「――――はい♪ ありがとうございます」


「ハハッ、お礼を言われるようなことじゃないよ。あっ、でもついでにもう一個聞きたいんだけどさ」


「なんでしょう?」


「私に出会う以前に好きだったものって何かある?」 


「………以前、ですか」


「もちろん無いなら無いでいいんだけどね。それはそれで春貴ちゃんの好きは全て私が担ってるみたいでなんか光栄だし。――でも、もし何かあるなら教えて欲しいな」


「……………姉、ですかね」


「お姉ちゃん?」


「はい。何でもできて、それでいて優しくて私の事もずっと気にかけてくれた一番上の姉です。好き、と言う表現は少し誤りではあるかもしれませんが、私は彼女を心底慕い憧れていました」


「へぇ~、素敵なお姉さんなんだね」


「はい、自慢の姉です」


「そっかぁ~、春貴ちゃんお姉ちゃんいたんだぁ。……………むぅ~~~~~~~~」


「? どうしました?」


「いやさぁ、今回よ~くわかったんだけどさ。春貴ちゃんは私の事なんでも知ってるのに、私は春貴ちゃんの事ほとんど知らないなぁ~って」


「そんなの関係ありませんよ。私が高佐さんの事を知っているのだって、私が勝手に――」


「いやいや、そう言う問題じゃない。お付き合いしているのにお互いに関する知識が偏っている。これは由々しき事態だよ、春貴ちゃん」


「う~ん? そうですか?」


「そうなの! という訳で、決めた! これからは私に会う前の事とかのセンチメンタルな場合を除いて、もっとも~っとグイグイ春貴ちゃんに踏み込んでいくことにする! 覚悟してよね、春貴ちゃん!」


「えっ、ええ~~っ!?」


「よし、これが決まっただけで十二分にこのしりとりは価値があったと言えるね。――って、そうだ。まだ終わってないや。どっちの手番だっけ?」


「えっ、えー…っと。高佐さんですね、イルカだから『か』です」


「『か』、か。―――あっ!」


「どうしたんですか?」


「ふっふ~ん♪ 最適なものを見つけたのさ」


「えっ?」


「『か』、上之宮春貴ちゃん♪」


「はっ、はいぃ!?」 


「少なくとも初めて会ったときよりもお付き合いするって決まったときよりも、今の私は春貴ちゃんの事が好きだしね。それに恋愛的な意味でも間違いなく今まで会った全人類の中で一番意識している。つまり

『私の好きなもの好きな事』と言うテーマに十分当てはまっているんだよ♪」


「はっ、はわ~~~~~~…」


「あっ、また顔が真っ赤に…! ――でも、うん。そんな春貴ちゃんもメチャクチャ可愛いよ」


「はっ、はう~~~~~~…」


「あっ、そうだ。大事なことを聞くのを忘れてた。これは――知ってた?」


「しっ、知ってる訳ないじゃないですか!!」


『『ん』がついた為、これにて百合神ミニゲーム『しりとり』を終了します』


「ふふっ、しりとりに負けて勝負に勝つとはこの事よ」


今回の話を書くためにこの二人の初登場時の話を見返していたら、投稿されたのが約一年前で地味にビックリしました。

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