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Episode-151 『えへへ~~・いつもの二人の場合』


「じゃあ『ず』、ずっと一緒にいて全く苦じゃない」


 人差し指をピンと立て、そう口にする。

 ぶっちゃけこれは、『ずっと』を使っている時点でしりとり的にはちょいずるい気がする。普通のしりとりに例えれば、『こ』がきたときの『子』みたいなものだ。子犬とか子猫とか子豚みたいに後ろが何でもありすぎちゃう的なやつ、「ずっと○○」とかメチャクチャあるしね。

 まぁでもミニゲームだしその辺は大目に見て欲しい。


「お~。あははっ、どうもです。なんやこそばゆいですね」


 ちなみに紗凪ちゃんは気にした素振りすらない。

 なら何も問題なし。私たち二人がやってるミニゲームなんだし、私達が納得すればそれでオッケーだ。

 あとちょっと照れてるのがすご~く可愛い。


「では次はうちが。えーっと、『い』ですから…。あっ、いつでも綺麗!」


「『い』、いつも笑顔」


「『お』、んじゃ今度はシンプルに、おおらか」


「『か』、それじゃあこっちもシンプルに、かっこいい」


「『い』、意識高い。…ってやべっ、また『い』で始まって『い』で終わってもうた。というかなんやすでに『い』が多い気ぃしますね」


「う~ん、要はこのテーマ褒め言葉だから『い』で終わる言葉が単純に多いんだよねぇ。縛り増やす? 『い』で終わるのを使っていいのはあと一回づつとか」


「おっ、いいですね。それでいきましょう」


「りょーかい。では改めて、『い』、インドアでありアウトドア」


「『あ』、アイドル顔負け!」


「え~っ!? どういう意味~!?」


「いやいや、そのままの意味ですよ。人気も容姿もです♪」


 そんなこんなで何度かしりとりは往復する。

 そして、私はつい数分前に不安にさいなまれていたのが嘘のような状態になっていた。

 その感情を簡潔に表すと――、


 さいっっっ~~こうの気分だ!!!!


 こんな感じである。

 やってみてわかった。このしりとり、褒めるターン褒められるターンの両方にとんでもないメリットがあるのだ。 

 

 前者は、内に秘めていた好意が悟られない範囲の紗凪ちゃんへの思いを合法的に伝えることができるし、何より紗凪ちゃんの照れ顔が見れる。会話だけ見ればすんなりと返しているように見えるが、私は見逃していない。私が褒め言葉を口にすると紗凪ちゃんはほんの少しの間だが、恥ずかしいと嬉しいを七対三でブレンドした様な表情を見せてくれる。

 それがとんでもなく可愛い。結婚したい。


 後者は、単純に紗凪ちゃんが私の事を褒めてくれるのがすこぶる嬉しい。

 えへへ~、まだ始まってすぐなのにいっぱい褒められちゃった~♪

 料理上手でぇ、いつでも綺麗でぇ、おおらかでぇ、意識高くてぇ、アイドル顔負けだって~♪ えへへへへ~~~♪♪


 よ~し。もっと紗凪ちゃんを褒めて、もっと紗凪ちゃんに褒めてもらうぞ~。

 そして上機嫌ここに極まれり状態のままに、私はしりとりと言う名のボーナスタイムへと戻っていく。


「『け』、化粧いらず」


「『ず』、頭脳明晰」


 おっ、先程の伏線回収を紗凪ちゃんがしてくれた。

 やっぱ『ず』だと頭脳明晰が出てくるよねぇ。


「『き』~、着物が似合いそう。…ちょっと強引かな?」


「いえいえ、良いところには当てはまるんとちゃいます? …なんや、自分で言うててちょい恥ずいですけど」


「あははっ」


「よし、ほならこっちも。『う』、歌が上手そう」


 そして二人できゃっきゃうふふしながらもう数ラリーを続け、私のスペックに頭脳明晰と歌が上手そうが追加されたところでその時はやってきた。


 もはや恒例になってきたあれ。私が調子に乗ってテンションが上がったときにやらかす大ポカの時間である。

 この空間に置いて虹白夜のテンションが上がるor気が緩む=大ポカを引き起こす、という法則として正式に認定していいかもしれない。

 そして今回は何をやらかしたかと言うと、


「『う』、宇宙一可愛い!!」


 これである。

 ほぼ反射的にそう答えてしまった。


「…………はい?」


 ポカンとした紗凪ちゃんの反応。

 それを見て私も自分が発した言葉の意味を改めて振り返り、そしてやらかしを認識した。


「…えっーと、『い』ですね。あっ、もう夜さん! 『い』使ってもうたんで、これでもう次は禁止ですよ~」


 が、「やばいやばいやばいやばいっ!?」と心の中で高速でやっちまった感を出していた私と違い紗凪ちゃんはすぐに次へと移り、ニコッと笑いながらそんなことを言ってきた。


 …………さっすが、紗凪ちゃん!!

 クールに流してくれた! あっぶなぁ~、助かった~!

 その対応に、ホッと私はメチャクチャ大きく胸を撫で下ろした。


 さてこれからは一度答えを脳内で確認して、すぐには口走らないようにしなくちゃ。

 と反省して今一度気持ちを改めた私だったが、


「『い』か…、『い』『い』………、あっ、イケメン!」


「…え?」


「えっ、あっ…いや。さっき夜さん、うちの事かっこいい言うたやないですか。そんで夜さんも大人びててかっこいいなぁ~的なことをうちも思っとって……。それを表してのイケメンなんですけど――」


「あっ、いや紗凪ちゃん。そうじゃなくて単純に――」


「――ザザザッ。『ん』がついた為、これにて百合神ミニゲーム『しりとり』を終了します」


「………あ」


 最初にミニゲームの存在を告げた電子音の様な女の子の声でゲームの終了が告げられた。

 そしてそれとほぼ同時に紗凪ちゃんは、本来のしりとりにおける唯一の負けとなる行為をしてしまったことに気付いたのだった。


 ちなみにミニゲームの報酬は、お風呂場で使える色んな種類の入浴剤でした。

 …地味に嬉しいけど、何故に?


 ***―――――


「――ほいっと」


 いつも通り頭と体を洗い終えて、唐突に始まりうちのメチャクチャダサいミスで終わりを迎えた百合神ミニゲームとやらで獲得した入浴剤を湯船に向かい投げ入れる。

 シュワシュワ、と音を立てながらそれは湯船に溶けて一瞬で周囲にゆずの香りを広げた。


「ふ~~」

 

 そしていつもとは一味違うその感覚に包まれながら、うちは湯船に浸かった。


『ずっと一緒にいて全く苦じゃない』

『いつも笑顔』

『かっこいい』

『インドアでありアウトドア』

『化粧いらず』

『着物が似合いそう』


 さっきの夜さんの言葉が不思議と思い出される。

 ほんでそん中でも、


『宇宙一可愛い!!』

 

 最後の言葉がずーっと脳内で反響しとる。あれで動揺して、あわわ状態のままにパッと浮かんだ『イケメン』を口走ってもうた訳やしな。

 それにしても……………宇宙一可愛いて。

 ブクブク、と品が無いけど口まで湯船に沈めて息を吐く。


 いや、わかっとるで! 本気でそこまでは思ってへんなんてこと!

 お世辞…とはちょっと違うか夜さんそう言うタイプやないし。…うーん、ああそや。オーバーな表現って感じやな。

 うん、わかっとるんよ。オーバーな表現いうんわ。

 でもなぁ~~~~~、


「……………えへへ~~♪♪」


 それでも自然とにやけてまう程に嬉しいんは、まぁ…しゃーなしやろ♪  


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