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Episode-148 『持っている同居人・楽天家無職の場合』


「ええっ!? てことはあの関西弁の子って普通の人間だったってことですか?」


「まぁ、そうなるんでしょうね。あなたの話を聞く限りによればエキストラのとる行動とは思えないし」


「なるほどぉ。ど~りでおかしいとは思ったんですよねぇ」


 関西弁将棋ガールエキストラとの対局を終えて、一足先に部屋に帰っていた私。

 その後、遅れて両手に買い物袋を持った七生さんが帰ってきて、テキパキと夕食の準備を始めてくれた。そして今日は久しぶりに結構動いてお腹が減っていたため待ちに待った夕食の時間がやってきた。

 そこで七生さんの料理に舌鼓を打つ私に、彼女は『ショッピングルーム』あった出来事とそれにより知ったこの空間の秘密についてい教えてくれた。

 そして私は、あの時の少女が関西弁将棋ガールエキストラではなく正真正銘の関西弁将棋ガールだったことを初めて知ったのだった。


「私の予想ではあそこの将棋盤に座ることを条件に発生するゲームとかでよくあるレアイベントの類だと予想していたんですけど、勝っても特に何も起きなかったですしね。強くはありましたけど、プロ並みに強いという訳ではありませんでしたし」


「――――」


「それがまさか私たちと同じ状況下に置かれた本物の人間だったとは。いやぁ~、気づかないもんですねぇ」


「そうだね…」


「あれ? 普通気づきそうなもんでしょ的なツッコミが来ると予想していたんですけど、案外すんなり同意してくれるんですね」


「いや、私も最初はそう言おうと思ったんだけど…」


 そこで珍しく言い淀むように頬をかく七生さん。

 そして観念した様に小さく笑うと、


「実は私もあなたが会ったその関西弁の子に会ってると思うんだよね。洋服のエリアで」


 そう結構驚きの事を言ってきた。


「えっ、マジっすか?」


「ほんとほんと。今にして思えば、あれは確かにエキストラとしておかしい行動だった。いきなり服を選ぶアドバイスを下さいって言ってきたんだもん」


「へぇ~、そりゃ確かにエキストラさんのとる行動ではないですね。あっ、ちなみにどんな容姿でした?」


「女の子にしては短めの髪にあなたほどじゃないけど胸が結構あって愛嬌のあるかわいい子だったよ」


「あっ、一緒ですね」


 七生さんの丁寧かつ簡潔な説明は私の記憶の中の…えーっと確か……あっそだそだ、音木紗凪ちゃんと一致した。


「つまりあちらさんは七生さんが会った女優の虹白夜さんと私達両方が会ったあの関西弁女子高生の音木紗凪ちゃんの二人組という訳ですね」


「そういうことになるね。それとそんな名前だったんだ」


「はい、対局終えた最後に名乗り合いました」


「ふ~ん…。というかそれも初めて知ったんだけれど、あなた将棋なんて指すのね。それも話を聞く限りじゃ結構な腕じゃない?」


 ……………。


「…まぁ、昔ちょろっとやってて今もネットでたまに嗜んでますからね」


「へぇ~、意外な一面。あなた普通に頭を使う遊戯もできたのね」


「うわっ、ひっっど! ナチュラルなディスリにかなり傷つきました!」


「あははっ、ごめんごめん」


「ご飯のおかわりをよそってくれたら許します」


「まったく…。はい、かして」


 そう呆れた様に言いながらも、私のからになったお茶碗をとっておかわりをよそってくれる七生さん。

 うん、相変わらず甘やかされてるね私は。

 …そう考えたら、現実と相手が変わっただけでこんな特異な状況におかれても私自身は何も変わってないのかもしれないなぁ。


「はい、どうぞ」


「どうもです! いただきます♪」


 そして柄にもなくセンチメンタルになった気持ちを吹き飛ばす様に、私は新たによそられたご飯を口に運びながら再び食事に戻ったのだった。


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