Episode-146 『笑う神と迷探偵、時々通訳きつね・関西弁JKの場合』
「そういやずっ~と地味に気になっててんけど、お前って齢いくつなん?」
「…神に齢などという概念があるわけないだろう」
「いや、普通にあるやろ。生き物やねんから」
二人での服選びから数時間後、あのキャラの濃すぎる巨乳姉さんとの将棋対決を終えたうちは夜さんよりも先に元の部屋へと帰ってきていた。
そして一人でいるのも暇やったから、同じく暇を持て余しているであろうやつ(神)を呼び出して適当に話し相手になってもろてるのが今の状況なわけや。
まぁこいつとうちがサシで話す事って意外と少ない気ぃするしな。ええ機会やろ。
「あったとしても貴様に教える義理など無い」
「おっ、なんやその態度。ええ度胸やんけ」
「…私もずっと地味に気になっていたんだが、なんで私に対してほとんど常時喧嘩腰なのだ貴様は?」
「ふふっ、まぁええわ。教えてくれんでも夜さんを手本にして今までの話から推測したるわ」
「ははっ、笑わせるな。貴様にそんな頭脳が備わってないことは、子どもでも…いや動物でもわかるぞ。なぁ、そうだろう? きつねよ」
『コォ~ン?』
「ははっ、『その通りです百合神様~! こいつほんまアホなんでんがな!』と言うておるわ」
「何を適当な通訳しとんねん!! コンがそんなアホみたいなエセ関西弁を話すわけないやろ! うん、やっぱお前マジで一遍ここ降りてこいや。ほんで拳で白黒つけよやないかい!」
「神相手に徒手で戦えるつもりなところがすでに阿呆だ。そ・れ・に、何度何度も同じようなことを言わせるな! 不用意にそういうことをすれば百合純度が下がるだろうが!」
ふぅ~、まったく毎度ながら百合純度百合純度とうるさいやつやで。
せやけど、このままやったら今までと同じや。ここはやっぱり夜さんを参考に頭を使ってこいつの弱点を突くなりせなあかんな。
さて、こいつの年齢やろ。
考えろ~、考えろ~。どっかにヒントがあるはず。今までこいつと短い時間の中でもそこそこしてきた話の中にきっと手がかりとかがあるはずなんや。
真面目に全神経を思考にまわす。今までのここでの生活、その記憶を思い返す。
そして、
………………うん、わからん。やっぱ向いてへんわ、難しいの考えるのとか。
「…おい、急に黙ってどうした?」
いきなり考え込みだしたうちを不審に思ったのか、そう若干心配するような声でそう聞いてくる百合神。
それに「あー、なんでもあらへん」といつも通りにそう答えようとしたところで、
「~~~~~!!」
うちの頭の上でピコンと電球が光ったかのような、そんな閃きが舞い降りてきた。
さっきの直接年齢を聞いた際のはぐらかし、そしてまるでその負い目を感じているかのような気遣い。
まさかこいつ――! そうや、そうに違いない! そうやったんや!
「まぁ、確かに…さっきは私も大きな声を出し過ぎたかもしれん。流石に神として人間の娘相手に大人げなかったな。だからそんなに落ち込む――」
「ふっふっふっ、わかったで。そういう事やったんやな」
「? 何がだ」
「さてはお前、――うちよりも年下なんやろ!!」
そして、一人で勝手に勘違いをしていた百合神にビシーッとうちは名探偵の如く堂々と指を突きつけてそう宣言してみせた。
「なっ…!?」
はい、驚きの悲鳴をいただきや。
仮面越しでその表情は当然見えない、しかしきっとその顔面もきっと蒼白か紅潮のどっちかな筈やろうな。
「…いや、普通に何を言っているんだ? 貴様は」
「ふっ、今さら誤魔化さんでもええわ。もう完璧に証拠も出揃っとんねん」
「いや、証拠も何もそんなわけないだろ――」
「でもまぁ別に怒ったりはしてへんで。してへんけど…今までの年上のお姉さんに対する生意気な態度の誠意はしっかり見せんといかんなぁ。――よし、今すぐ焼きそばパン買ってこいや」
「いやっ、だから! そもそもなんで私が女子高生よりも年下だと言うトンチンカンな思考に至ったのかを説明しろ!」
「はぁ~、往生際の悪いやっちゃな…」
『コォンコォ~ン』
「ほら、コンも『鳥のささみ買って来いよ、年下神!』って言うてるわ」
「やかましい、このポンコツ名探偵が!」
「ただいまぁ~、――ってどういう状況ですかこれは!?」
そして、うちと百合神の今までで一番の戦いは両手いっぱいの食材の入って袋を持って戻ってきた夜さんの帰還によって中断になったのだった。
ちなみに百合神は結局年下疑惑を断固として認めなかった。まったく、往生際の悪いやっちゃで…。




