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Episode-144 『百合神サプライズ・超清純派女優の場合』


「――てな感じで、ここには私たちと同じような待遇の女子二人組が何人もいるんですよ」


「なるほど…」


「あれ? どこか腑に落ちないことでもありました?」


「いえ、腑に落ちないというか…全く知らなかったメチャクチャ重要そうなことを立て続けに聞かされて正直かなり混乱しています」


 買い物を済ませ、フードコートへと移動。

 そしてそこで私は以前に百合神様が開示した範囲の情報を全て青葉さん(妹)へと説明していた。ちなみにここは百合神様の恐らく監視範囲内なので、全五十部屋だとかの私の予想の範囲内の情報はそこに加えていない。

 

 それにしても混乱かぁ~。そりゃそうですよね。

 確かに私は事前の予想やら宿泊学習やらで順々にこの空間の仕組みを知っていったけれど、たぶん普通に生活している大勢の人達はその触りにすら気づいていない。というか、普通はわざわざ知ろうとか考えたりとかしないと言った方が正しいんだろう。

 そんな中、私が一気に色々と教えてしまったわけだ。


 まぁ、別にこれを知っていても損はないけど同じく得もそんなにないしね。驚きはするだろうけど。

 あれ? てことは知ったら損寄り? いやぁ、でも私と会った時点で気になり続けるだろうしね。ならやっぱりここで全部話した方がいいのでは? 内緒にする理由はないし。

 とか色々と私なりに考えた末に当初の予定通り結局は全てを彼女には説明したという訳だ。もしかしたら、これから先にもこの他の部屋の住人と会うことになるイベントとかあるかもしれないしね。そうなったときのために今の内に知っておくのは大事でしょう。


「確かに少し考えてみれば、こんな特異な状況に置かれてるのが私達だけって言うのは変な気もしますね。そうかぁ~、同じように苦労している人達が一定数ねぇ」


 そう呟きながら、青葉さん(妹)……いやもう七生さんでいいか。ややこしいし。

 という訳で訂正。そう呟きながら、七生さんがアイスコーヒーをストローで飲む。ちなみにここのフードコートはメニューも充実しており、たまに食事に利用してもいいかもしれないと思う程だ。

 まぁ今はお互いにアイスコーヒーですけど。


「そうだ、聞いた話の中で結構意外なこともありました」


「と言いますと」


「何人ぐらい同じ状況の人がいるかはわかりませんけど、私たちがそのワースト五に入っていないのが意外です」


 苦笑しながらそう言う七生さん。

 あら? これは意外。


「相方さんと上手くいっていないんですか?」


「いやぁ、上手くいっていないことはないと思うんですが…。普通に会話もしますし、実際に今日ここにも一緒に来ましたし」


「あっ。なら全然、大丈夫ですよ。私たちがお会いした二人はそれまでお互いの名前も知らない二人でしたんで」


「ええっ…、ワーストってそこまでひどいんですか?」


「最初は中々にひどいもんでしたよ。でも三日で見違えるほどに仲良くなりましたけどね」


「へぇ~」


 すみません、二ノ前先生。ホントの事とはいえ、無意識にディスってしまいました。

 というか、馬が合うのか七生さんとの話は意外と弾む。そしてそんなこんなで私と七生さんはその後フードコートでしばし談笑を続けた。


「へぇ、女子高生と。それはまた大変そうですね」


「いえいえ、まったく! これがまたすんごい良い子なんですよ! もうほんっと欠点とかも全く無くて、反対に美点はもう数えきれない。可愛いし、性格もいいし、運動もできて、その他にもたくさんたっくさん良いところがあって、とにかくもう素晴らしい子なんです♪」


「そっ、そうなんですか…」


「あっと…すみません、少し熱く語り過ぎました。そちらの相方さんはどんな方なんです?」


「あー、うちのはまぁ同い年ですね」


「あっ、そうなんですか。それは偶然ですねぇ、でも同何代なら一番気軽でいいのではないですか?」


「んー、どうです…かね? あれですね、うちのはすんごい手のかかるやつなんで、同年代って感じはあんまりしませんね。何と言うか…まぁ出来の悪い妹みたいなものですよ」


「へぇ~~」


 大人なのに妹キャラか…、ちょっと見てみたいな。

 ――あっ、一応言っておきますけど単純な興味ですよ。私は何があろうと常に紗凪ちゃん一筋なんで!


 そしてそんな他愛もない話をしばらく続け、そろそろ紗凪ちゃんと合流したほうがいい時間になってきたので、


「さてと、そろそろいい時間ですかね」


「あっ、それもそうですね。貴重な話を聞けて助かりました」


「いえいえ、こちらこそ他の部屋の人と何気ない世間話ができて楽しかったです。…それでですね、帰る前に最後一つだけ確認したいことがあるんです」


 私はそう切り出した。

 私の言葉に「確認したいこと?」と七生さんが首を傾げる中、その声に呼応したかのように、


「――ふふふっ。何故この『ショッピングルーム』に別の部屋の住人がいるのか、という疑問の答えですね♪」


「「!?」」


 唐突にそんな声が至近距離から届いた。

 びっ、びっくりした~~!!

 

 私たちがかけていたテーブル。

 そこにいつの間にやら新たな人物がもう一人加わっていたのだ。


 その人物は私たち同様に片手にアイスコーヒーを持ち、ニコリと可愛らしい笑顔を浮かべて私たち二人を見た。

 見覚えのある人物。というか、そもそも少し前まで一緒にいたわけだし。そして七生さんのリアクションを見る限り同じく面識があるのだろう。


 まぁ、彼女・・は最初に会ったときに自分でここのオーナーと言ったわけだしね。

 …それにしてもカッコイイ登場の仕方だ。『いつの間にかそこにいて、会話に混ざったことで初めて存在に気付く』みたいな。漫画の強キャラみたい!


「ふぅ~、それにしても貴女方は本当に持ってますね。まさか初回でこの仕掛けに気付くとは♪」


「仕掛け?」


「そう、仕掛けです♪ そして気づかれてしまったからにはこちらにも説明義務があります、幸いにもお二方ともお部屋の頭脳担当なので会話が円滑に進みそうでリリーはとてもハッピーなのです♪ ……いやぁ~、もし先に気付いたのがあの関西弁マシンガンツッコミ娘とものぐさ合法ロリ巨乳だったら私の苦労はこの数倍になっていたことでしょう」


 そして百合丘リリーさんの高速再登場と共に、二人の何気ない世間話が三人のちょっと重要そうな世間話に形を変えたのだった。

 

 ――って、ええっ!?

 ものぐさ合法ロリ巨乳!? 七生さんの同居人は、そんなキャラてんこ盛りさんなんですか!? 

 

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