表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

168/178

Episode-PLUS4 『ド直球の欲求・リビドーの申し子の場合』


 それはベットに横になった状態で意識が覚醒し、パチリと目を開けた瞬間にまるで天啓のように脳に浮かんだ思いだった。


 ――ミチルちゃんのおっぱいが揉みたい!


 これはそんな欲求に真正面から向き合ったある日の私の記録である。


 ***―――――


 その欲求に従い行動を起こしたのはお昼を食べ終えて少しした後のことだった。

 私たち二人は少し距離を置き、並んでソファに座ってテレビを見ていた。

 そこで私は覚悟を決めて、口を開く。


「ミチルちゃん、リモコンとって」


「ん、どうぞ」


「ミチルちゃん、チャンネル変えてもいい?」


「いいですよ」


「ミチルちゃん、おっぱい揉ませて」


「帰れ」


「…………」


 なっ、なにぃっ!?

 さりげなく会話の流れで無意識の「いいよ」を貰う作戦は一瞬で瓦解した。まさかの即否定、しかも帰れて…。ミチルちゃんの胸の中が私の帰る場所なのに。

 というか、「いい――って…ばっ、馬鹿かっ!? 何言ってんだよ!?」的な王道ツンデレ系赤面リアクションは最低でも期待していたのに。そんなにアッサリと冷静に返されてしまうとは。


「あっ、あの~。ミチルちゃん?」


「ん~」


 そしてミチルちゃんはまるで何事もなかったように素知らぬ顔をしている。

 ぬぬっ、流石鉄壁ミチル城! やはり攻略は容易じゃないね、全然お胸は鉄壁じゃないくせに!


 ――よし、ここは作戦を変えよう。やはり今までの傾向からいってミチルちゃん相手には小細工をろうするよりも正攻法で攻めた方がいい気がする。


 ポチポチポチ、握っていたリモコンでまずはテレビの音量を下げる。

 そして、ミチルちゃんの方を向いてソファに正座。


「ミチルちゃん!」


「なんですか、今日はやけに元気………」


 呼びかけにこちらを向いたミチルちゃんの表情は私には読み取れない。

 何故なら、私はそのままソファの上で土下座をしていたからだ。そして誠心誠意、正々堂々、全身全霊を心に掲げ、


「ミチルちゃん、おっぱい揉ませて」


 凄く真剣にそうお願いしてみた。

 「うっ…」、予想通り頭の上から少し動揺した声が聞こえてくる。その声に導かれる様にして顔を上げると、


「揉ませる訳ないでしょう…!」


 そこにはまるで私を汚物でも見るような眼で見ながらも、ほんの少し頬を朱に染めているミチルちゃんの姿があった。

 赤面ミチルちゃん、きゃわわわわいいいいいいいいっ!!


 解説しよう。

 私、新井谷涼子はミチルちゃんへの好意を自覚したあの日以来、ミチルちゃんから受ける大半の感情はプラスに変換する能力を得たのだ。それ故に汚物を見る様な視線は気にならない、それどころか少しゾクゾクっとする。赤面フェイスは普通にゾクゾクする。

 つまり、今のミチルちゃんの反応は私にとって一度で二度美味しい反応なのだ。

 

「もちろんただでとは言わない。こちらも相応の覚悟を持っての発言だよ」


 しかし、それを表に出せば目標の成就には遠退きそうなので誠実フェイスをつくりそう切り出す。


「はいはい。で、なんで急にそんなことを直球で言い始めたんですか?」


「なんか今日朝起きた瞬間に、『あっ、ミチルちゃんのおっぱい揉みたい』って一番に頭に浮かんだんだ。そうしたらもう揉みたくて揉みたくて…思いが抑えられませんでした」


「聞いた私が馬鹿でした」


 やれやれと言った風に首を振るミチルちゃん。

 赤面も消えてしまった、残念。


「でもね、ミチルちゃん。逆にそんなに拒否されるのは私としては寂しいよ」


「…は?」


「いや、だって女子同士ならさ『うわぁ~、おっぱい大きいね。少し触らせてよ』とかあるじゃん! 普通じゃん!」


「普通なことをそんな力強くは言わん! 加えてあんたはどう考えてもそれとは根幹の思いが違うだろうが!」


「ふふっ、もちろん。私は好奇心に加えて愛もあるからね」


「それ以上に欲もあるでしょうが」


 ととっ、話しが少々脱線してしまった。

 私はただミチルちゃんのおっぱいが揉みたいだけなのに。だが、このままでは話は平行線。ならばどこかで妥協点を見つけなければ。


「――わかった、服の上からでもいい」


「いや、なんで服を脱いで揉ませるのが前提みたいな言い方してるんだよ…」


「えっ、だってその方がいいじゃん!」


「ひとっつもよくない!」


 むぅ~、参ったな。

 でもミチルちゃんの状態をこれ以上妥協させるわけにはいかないぞ。服の上からでもダメなら、鎧を着た上からとかなっちゃうもん。それじゃ流石におっぱいを揉んだことにはならないぞ。

 となると、妥協はこちら側にするしかない。


「わかった」


「…どうせわかってはいないでしょうけど、一応聞いてあげます」


「最初はさ、私の全身を好きな様に触らせる代わりにおっぱい揉ませてと頼むつもりだったんだ」


「真面目な顔で何言ってんだ? というか、それあんたにしかメリット無いでしょうが」

 

「でも、更に私は多くのものを差し出そう。つまり私のおっぱいの生涯独占権をミチルちゃんにあげるよ」


「いらない。よし、これで話は終わりだな」


「ちょちょちょ~!?」


「あっ。もうなにするんですか?」


 私の大胆発言を恐ろしい程にサラリと流し、ミチルちゃんがテレビに視線を移してしまう。

 が、私はその焦りながらもその先手を取り、先程手渡してもらったリモコンで電源を落とした。まだ話は終わってないんですよ、ミチルちゃん。


「生涯独占権だよ。いらないの!?」


「いらない、そしてそんな言葉はない」


「あります~。いいですか、これを発動したことによるメリットをまずは説明してあげる」


「テレビつけていいですか?」


「だめ、しっかり聞きなさい」


 私のその言葉に呆れた様に「え~」というミチルちゃん。

 …彼女は気付いていないだろう。そんな何気ないしぐさもメチャクチャ可愛いという事に。


「いい、まず大前提として私が能動的に誰かにおっぱいを揉ませることはない。何故ならミチルちゃんに操を立てているから」


「立てるな立てるな、気色悪い」


「で~す~が、事故的に触られちゃうことはもしかしたらあるかもしれない。ほらよくアニメとか漫画とかであるじゃん。転んだらおっぱいに触ってたとか、振り向いたら肘がおっぱいに当たるとかさ」


「ちなみに私は今まで19年生きてきてそんな体験はしたことないです。新井谷さんは?」


「…いや、まぁないですけど」


「なら大丈夫だ。きっとこれからもないから」


「甘い、甘いよミチルちゃん。人生は何があるかわからない、いつか後悔しちゃうかもよ。あ~、あの時に新井谷さんのおっぱいを独占していたらこんなことにはならなかった~って」


「…状況がこんなに想像できないことも中々珍しいですね。というか百歩譲ってそういう状況に陥ったとする、だけどその生涯独占権を手に入れたらどうしてそれが阻止できるようになるんですか?」


 はい、その質問待ってました。

 私の瞳がキランと煌めく。ふっふっふ、聞いて驚けミチルちゃん。


「アニメとかでさ、女騎士さんがつけてる鉄の胸当てみたいのあるじゃん」


「? んんっ、まぁ何となくわかるけど」


「ミチルちゃんがその独占権を手に入れたなら、私はあれを現実世界に戻ったら外を出歩くときに毎回つける。これならもし万が一誰かの肘が当たっても鉄にぶつかるだけになるってわけさ」


「…それはマジでやめとけ、頭がおかしいって他人にバレるぞ」


「おおっと、ナチュラルな頭おかしい判定にちょっぴりショック! って、ええっ、これでもだめぇ~」


「常識的に考えてダメに決まってるだろうが!」


 がっくし。

 いい案だと思ったんだけどな~。確かに悪目立ちするかもだけど別に私はそれくらいしてもいいのに、今ここでミチルちゃんのおっぱいが揉めるなら。

 だが、これでもダメならもう打つ手はないかな。はぁ~、ミチルちゃんのおっぱい揉みたかったなぁ~。


「むぅ~。仕方ない、万策尽きたから諦めるよ」


「最初からそうしてくれ。まったく、なんでこんな論争で体力を使わなきゃならないんだか」


「今日のところはお預けかぁ~」


「…おい待て、それだといつかは私が揉ませるみたいな感じになるだろうが」


「え? だって将来的にミチルちゃんは私のお嫁さんになるんだからそこは決定事項じゃない」


「………あんたのそのブレなさだけは本当に凄いな」


 どこか感心した様にそう呟くミチルちゃん。

 そりゃ当然、思いつきの一時の感情でプロポーズする程に私は軽い女じゃないですからね♪

 ――さてと、


「どうしたんですか?」


 気持ちを切り替えて立ち上がり、歩き出そうとした私にミチルちゃんがそう声をかけてくる。

 

「いや、今日の夕食当番は私だからさ。ちょっと凝ったもの作ろうかと思ってるから、仕込みの方を今の内にしておこうかなと」 


 お料理スキルで嫁力の高さを見せつけて、地道に好感度を稼がなきゃだしね。

 よし、今日はいつも以上に張り切っちゃうぞ。

 ――あっ、そうだ。


「ミチルちゃん。メインディッシュのお肉用のソースなんだけど、ピリ辛と甘めとノーマルはどれがい――」


「あっ、なら私も少しは手伝いま――」


 ――ぽよん♪


 それは完全な偶然だった。

 ミチルちゃんのリクエストを聞こうと振り返った私。そして私を手伝おうと立ち上がったミチルちゃん。

 それが交錯し、私の肘がミチルちゃんのおっぱいに当たった。ちょうどさっき私が話していた例みたいに。


 ~~~~~はわわわわわわっああっああああわわわわっ!?

 やわらっ、えっ、えええええええっ~~~~~~~~~!?


 その事実を認識し、私の脳からは全ての事象が吹き飛び、その感触に対する感動だけが言葉にならない叫びとなって脳内を支配した。

 

 対してミチルちゃんの方は「きゃっ!?」と凄まじく可愛らしい声を上げたかと思うと、バッと自分の豊かな両胸を抑えて顔を真っ赤にした。

 そしてその瞳は私をキッと睨みつけている。

 

 あれれ~? これはあらぬ誤解をされているのでは?


「…わざとですか?」


 はい、誤解されていました。


「いやっ、違う違う違う違う断じて違うから! 事故だよ、事故!」


「――へぇ~、あんな話をした後に随分と都合のいい事故が起きるものですねぇ」


「…そうだねぇ、偶然って怖いね~」


「ちなみに事故だというのに凄くいい笑顔を浮かべていますが、その件に関してなにか言いたいことは?」


 あ~、そっか。

 今笑ってるんだ、私。それはまぁ…誤解されてもしょうがない。そして笑顔になっちゃうのもしょうがない。だってメチャクチャ幸せな気分ですから!!

 よし、ホントに偶然の事故ではあるけれど、ここは潔く言い訳はせずに思ったことを伝えよう。


「うん、思った通りミチルちゃんのおっぱいは最高だ♪」


「はい、有罪」


 そう言うと、ミチルちゃんが私の身体をソファに倒してそのまま後ろからヘッドロックを仕掛けてきた。

 

 ――って、えええええええええっ!?

 ミチルちゃんって、やっぱり天然入ってる!? 背中に思いっきりおっぱい当てってるんですけど!? それもさっきの肘とは違って、当たるどころか押し付けられてる!?

 やわらかっ、ってやばいやばい凄い凄いやばいやばい凄い!! なんなんですか、この最高の瞬間は!! 生きててよかった~!!


「これでちょっとは反省…ってなんでニヤケてるのよ!?」


「いやぁ~、やっぱりミチルちゃんは世界で一番可愛いなぁ~」


「~~~っ! ヘッドロックをかけられながら、急に変なことを言うなっ!」


 こうして、この日私は結局ミチルちゃんのおっぱいを揉むという初期目標は叶えられなかったが、とっても幸せな時間を過ごしたのでした♪


更新が前回から空いちゃってごめんなさい! そして久しぶりの更新がこんなふざけた内容でごめんなさい!

実は全EXTRA組の主人公組と絡む時期場所展開はすでに決まっているのですが、いかんせんそこまでが地味に遠い。気長に待っていただければ幸いです。

できるだけ早く到達できるように頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ