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Episode-EXTRA20 『ルーム27・自分大好き王子様の場合②』


 「はぁー、はぁー」と気持ちを落ち着ける様に息を吐く。 

 まったくもう、さらっと凄くかっこいいことをするよね。それは私の役目なのに。


 志保璃から落ちそうになり、その寸前で姫に抱きかかえられて助けられてしまった。

 王子様であるこの私が逆に助けられるなんて、とんでもない失態だ。反省せねば。

 …あっ、でも、


「えっと、まぁ…あのお見苦しいところを見せてしまって申し訳ない。それと受け止めてくれてありがとう」


「――――!」

 

 とりあえず助けてもらったお礼はちゃんと言っておかないとね。

 これは王子様とかお姫様以前に人として大事なことだ。


 う~ん、それにしても私って姫の前だとな~んかいつも通りにいかない感じがあるんだよね~。

 普通なら女の子の前で足を滑らしたりすることなんてないはずなのに。

 知らず知らずのうちに緊張して動きが鈍ってる? まさかね。


 姫は可愛い、それは疑いようもない事実だ。

 そもそも姫って名前を付けた親御さんがまず凄いと思う。○姫だとか姫○ってな感じの名前の女の子はたまにいるけど、姫一本勝負ってなかなかいないイメージだしね。少なくとも私の人生じゃ姫は姫だけだ。

 だってつけられた方はたぶんプレッシャー半端ないからね、名前が姫って。


 だが、私の前にいる姫はそのプレッシャーを真っ向から打ち破っている。

 むしろ姫という名前がピッタリとハマっていると言ってもいいかもしれない。

 それほどまでに彼女は姫だった。可憐で華やかで美しく、――そして何より可愛い。まず間違いなく今まで私が出会ってきた女の子の中で断トツで可愛いと断言できる。


 だが、可愛いだけじゃ私が緊張するなんてありえない。

 たとえ世界で一番可愛かろうと世界で百番目に可愛かろうと、私にとっては同じく愛でるべき存在だ。蝶よ花よと等しく接するさ。

 何故なら私は世界一かっこいいから。みんなの王子様なのだから。


 つまり姫はその限りではないのだ。

 その理由を薄々私は気付いていた。気づいていながら気づかないふりをしていた。

 だが、そろそろ認めるべきなのかもしれない。


 ――姫は可愛いのと同じくらいかっこいいと!!


 そう、姫は可愛さ世界一位でありながらかっこよくもあるのだ! まったくなんて贅沢な話だろうか!

 そしてそのかっこよさも普通のレベルではない。

 凛とした姿と態度、状況にすぐに適応する素養、真っ直ぐに自分を曲げない心、メチャクチャ頼りになる性格。

 かっ、かっこいい…! 悔しいけどかっこいい…!! 正直そんじょそこらの一般女子ならばクラッとなってしまうレベルだ。


 だが、正直これ以上かっこいい姿を見せられては私の立つ瀬が無くなってしまう。

 お姫様が王子様よりもかっこいい、そんなことは絶対にあってはならないのだ。私のアイデンティティを崩壊させられるわけにはいかないんだ。

 だって姫からかっこいいをとっても可愛いは残る。だけど私からかっこいいをとったら可愛いは残らない。

 

 姫、キミは確かにかっこいい。だが、世界一にはなれない。何故なら私がいるから、絶対に私はその座をキミに譲らないから。

 キミにはそうだな…かっこ可愛いぐらいで妥協してもらおう。


 大丈夫、世界中の全員がキミをかっこいいと思っても私だけは思わない。

 残りの十一か月、キミと二人きりのこの生活を通して私がそれを証明する。

 

 大丈夫だよ、姫。

 私だけがキミのことをしっかりと世界で一番可憐で可愛らしいお姫様として扱ってあげるからね。世界で一番かっこいい王子様としてね♪

 

 ――ふっ、決まった!!


 満足して心の声での宣言を終えると、ちょうど姫の方も少し黙って何かを考えていたのか真剣な顔を浮かべた状態から「ふぅ~」と何かを決意した様に息を吐いた。


「どうしたの? 姫」


「いえ、なんでもありませんわ。ただちょっと気持ちを新たにしていただけです」


「お~、奇遇だね。私もそんな感じ」


 どうやら姫も同じく何か考え事をしていたらしい。

 う~ん、やっぱかっこいいとか可愛いとか抜きにしても変に気が合うんだよね、私達。似たもの同士って感じかな。


「――さてと、じゃあ今日も一日張り切っていきますか」


「それは同意ですわ。今日も優雅で華やかな一日にするといたしましょう」


 まぁ朝から色々あったけども――何はともあれ今日も楽しい一日の始まりだ♪


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