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Episode-EXTRA17 『ルーム27・自分大好き王子様の場合』


 ジリリリリリリ、ジリリリリリリ――♪


「うっ、うう…」


 ジリリリリリリ、ジリリリリリリ――♪


「――うー。朝か」


 ジリリリリリリ、ジリリ――。


「よっと」


 けたたましい目覚ましの音を消し、ベットに寝転がった姿のままにグーッと伸びをする。

 あー、また朝がやってきた。

 元の世界ではカーテンを空けて外から入ってくるお日様パワーで完全に目を覚ましていたから、いつまで経ってもこれは慣れないんだよねぇ。


 毎朝恒例の心の中での泣き言を言って、一分程ジーットしてからようやく私はベットから起き上がった。

 更に毎朝恒例の動作はもう一つある。


 ベットの横に立ててある全身を映せる大きな鏡。

 その前に立ち自分の今の姿を確認する。そして、


「――うん、今日も私はカッコイイ♪」


 自画自賛。

 これは私にとっては朝の準備体操のようなものだった。


 178センチの長身。

 スラッとした体躯。

 凛としていて綺麗で尚且つ美しい顔立ち。

 艶のある首筋程度までの長さの黒髪。


 鏡に映る全てが完璧だ。

 ああ、なんてカッコいいんだ私は…!

 流石は女学院の王子様の異名をとるだけはある。流石は女学院でありながら週一で告られるだけはある。流石は女学院で後輩どころか同級生それに先輩からもお姉様と呼ばれているだけはある。

 ……まぁ、ここに女学院はないんだけどね。


「さてと、今日も一日お姫様と頑張りますかね」


 そうこの空間にいる女性――いや女性どころか人間は私を除けばただ一人。

 最近期間限定で二人増えたがそれも数日前に終わった。一応その後にあれ・・が新たな同居人になる珍事はあったんだけどね。

 きっと常時いるタイプの人間が増えることはないんだろう。


 まぁ別にそこに不満はない。 

 同居人とは上手くやれてるしね。なんてったってベストカップル・・・・・・・に選ばれるくらいだし。


「おっはよーう!」


 ドアノブを回し、同時にそう陽気に朝の挨拶をする。

 あの子は早起きだから私がメインルームに行くときにはもう絶対起きてるんだよね~。

 「おはよう」、いつも通りそんな声が返ってくるとその時の呑気に私は思っていた…のだが、


「ギャオオオオオオオオオッ!!」


「きゃああああああああっ~~!?」


 ドアを開けた瞬間に私の鼓膜を揺さぶったのは、この世のものとは思えない様な野太い咆哮だった。

 ビックリして思わず尻餅をついてしまう。

 しまった、しかも本気でビックリしてしまったため王子様らしからぬ声が出てしまった!


「まったく、もう…!」


 いい加減これにも慣れなきゃね。

 だが、私はすぐに起き上がり「ふぅー」とあたかも何もなかったかのように振る舞った。

 怒りも別に湧いてこない。何故なら向こうに悪気が無いのもわかっているから。


「私に会えて嬉しいのはわかるけど…朝の挨拶はもっと優雅にね、志保璃しほり


「ギャウギャウ!」


 そして、私は撫でて欲しそうにこちらに突き出されて志保璃の頭を撫でた。

 ん? 志保璃が何者かって?

 志保璃は私の相方――ではございません。彼女は最近増えた新たな同居人であり、その名前は彼女の種族の頭文字をとって付けられたものだ。

 すなわち、


 し――神獣

 ほ――ホワイト

 り――リリードラゴン


 である。


 意外と人懐こくて、顔をスリスリしてきたり頭を撫でると喜ぶのはどことなく犬っぽくもある。

 まぁ、見た目は完全にドラゴンですけどね。

 牙あるし、翼あるし、でかいし、聞くところによれば炎も吐けるらしいし。

 

 そんな彼女に私は今だに内心若干ビビッている訳だが、それを表に出すのはカッコ悪いのでメチャクチャ平気な振りをしている。ちなみに今頭を撫でている手も気を抜けば少し震えてしまいそうだ。

 だが、これを続けていけばいつかは『嘘から出た真』的な感じで慣れる日も来るだろう。


 ――……といっても、ペットとして飼い始めた初日にもう慣れてしまった人もいるんですけどね。


「おはよう、明日華。いい朝ですわね」


 そして、そのタイミングでその慣れた人こと私の同居人の声が上から降ってきた。

 この空間に二階はない。つまり上から声が振ってきたということは今、彼女がいる場所は、


「それにしても貴女も慣れませんわね」


 視線を上にあげる。

 するとそこには志保璃の背中の上に座り、優雅にカップを傾けながらモーニングティーを嗜んでいる一人のお嬢様然とした美少女の姿があった。


 そう彼女こそ私の同居人。


「やあ、おはよう。姫」


 中園なかぞのひめ

 私と同じ高校二年生の女の子であり、生粋のお嬢様である。

 

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