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Episode-133 『貴女のための服選び・関西弁JKの場合②』


 …もう、やるしかないんか?

 …いや、別に無理して呼ぶ必要はないんやないか?


 難題に直面したうちはその二択でもう数分ぐらい頭を悩ませていた。


 恐らく、恐らくやけど、ここに百合丘リリーとかいうふざけたやつを呼ぶためには|あの合言葉が必要になってくるはずなんや。

 でも、それを口にする…いや口にするどころか言葉と一緒にあの変なポーズも決める必要がある訳やけど、それを直ぐに実行できる程にうちは強靭なメンタルを持ってはいない。簡単に言うとメッチャ恥ずい。


 つーかなんやねん、『百合百合ぴょ~ん』って!

 何でもかんでも百合ってつけたらええもんとちゃうやろ! 百合丘リリーの『百合百合ぴょ~ん』、ってもう早口言葉みたいになっとるやないか!!


 …ふぅ~。まぁ心の中でそんな難癖つけてもしゃーないんやけど。


「でも、そろそろ決めなな」


 なんやかんやで、もうそこそこれが始まってから時間が経っとる。

 夜さんの方はもう目星がつき始めとってもなんらおかしいことはあらへん。対するうちはまだ一個も決まってへん。このままじゃ、メッチャ夜さんをお待たせしてまうパターンもあり得る。それはなんとしても避けなあかん。


 一度冷静になって、考えてみよかな。

 ここでアドバイスを貰うメリットは、うち以外の能力が加わること。知識がないうちからしたらメチャクチャありがたい話や。それが結果的には夜さんに喜んでもらえることにも繋がるわけやしな。

 ほんでアドバイスを貰わヘンメリットは、うちが恥ずかしい思いをせんで済むってことやな。


 ほ~ん、なるほどなぁ。


 …なんや簡単な話やん。

 やっぱうちはアホやな。こうして落ち着いてちゃんと考えれば悩むまでもないことやんか。


 そうと決まれば後は覚悟を決めて、一秒ぐらいの恥ずい気持ちに耐えればいいだけや。


「ふぅ~」


 一度息を吐き、そしてあいつがやっていた体勢を思い出す。たしか…、人差し指立ててたよな。ほんで右手はあげて、左手は下げて、足は片足だけ上げて。

 そして、準備は整った。


 ――よし、


「百合百合ぴょ~ん!」


 …ふっふっふ、やったたで。でっかいデパートの真ん中で大声で『百合百合ぴょ~ん』。

 この世から怖いものが半分くらい消えた気分やわ。これを経験したら大概のもんは乗り切れるな。

 そしてうちの予想通りに、


「はぁ~い♪ 百合丘リリー、参上いたしました~♪」

 

 相変わらずの陽気な声と一緒に百合丘が一秒もしないでうちの前へと現れた。

 よし、なんや大事なものを無くした気がするけど…とりあえずこれでミッションクリアやな。


「ういっす。ほんで呼んだ要件なんやけど――」


「失礼します、音木様。もちろん要件の方はしっかり聞かせていただきますが、その前に一つよろしいでしょうか?」


 だが、すぐさま本題のアドバイスをうちは貰おうとしたんやけど…百合丘がそれを遮って反対に疑問を投げかけてきた。

 聞きたいことでもあるんやろか?


「? なんや?」


 とりあえず気になったので百合丘の話に乗ってみる。

 すると百合丘は「むぅー…」と若干渋めの顔を浮かべたかと思うたら、


「五十点です」


 といきなりよーわからんことを言ってきた。

 

「…は?」


 そりゃうちとしては「は?」言うしかないわな。


「なんの点数やねん」


「なにって、音木様の『百合百合ぴょ~ん』ですよ。具体的に改善点を言わせていただきますと、声が大きくて反対にキュートさが小さいです」


「――……さよか。ほんでな、実は服を選ぶアドバイスを――」


「ちょ~っと、今のはいかがなものかと思いますね。というわけで、その要件より先にまずは私が音木様の『百合百合ぴょ~ん』を改善して差し上げましょう」


「話聞けや、ほんでお前の方は何の話をしてんねん!? こっちは結構急いでんねんて!」


「おおっ、それはいけませんね~♪ では手早くレクチャーを行いますよ~」


「…………」


 あかんな、こいつ。下手したら百合神よりも話聞かへん可能性あるわ。

 というか、これ完全に呼び出したの失敗ちゃう? ちょい前のうちの期待を返せや。

 呼び出しから一分も経たないうちに、すでにかなり後悔し始めてるんやけど…。


「大丈夫ですよ~♪ 虹白さんの方もまだまだ時間がかかりそうですしね~♪」


「えっ、そうなん?」


「ですです、まぁこちらとは時間がかかる理由は異なってますけどねぇ~♪」


「?」


「というわけで、時間もありますしさっそくレクチャーを始めましょう♪」


「そっか、まぁ時間あるならええか――とはならんやろ! 一日中暇でもそんなの受けへんわ!」


「では初めていきま~す」


 うちの華麗なノリツッコミをガン無視して、どうやら百合丘は勝手にレクチャーを始めたらしい。

 ええっ、もう完全に聞かなあかん流れやん…。


「じゃあ一回やってみてくださ~い♪」


「は? 何でやねん? やる意味ないやろ」


「貴女がやらないと先に進まないからですよ~♪ …つーか早くやれや、ゴネても時間長引くだけってのがわかんねぇのかこのバカは」


「あっ! お前今言うたな、なんかボソッと言うたな!?」


「気のせいですよ~♪ ではレッツトライ♪」


「なんでごっつ恥ずかしいけどお前呼ぶためには仕方がないと思って一回だけやから覚悟決めてやったのに何の意味もなくもう一回やらなあかんねん!」


「ツッコミが長い、やっぱりさっきのは四十点です♪」


「なんで十点下がっとんねん、ツッコミ関係あらへんやろ!」

 

 なんでチョケとるこいつに付き合わなあかんねん! うちは夜さんに似合う服を選びたいだけなんやけど!

 つーか、そもそもこれいつになったら服選びが始まんねん!!

  

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