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Episode-11 『初お風呂前・関西弁JKの場合』


 さて、虹白さんのお言葉に甘えてお風呂見に行くで~。

 少しだけ高揚した気持ちでテクテクとお風呂場まで小走りで近づく。


 まー、どっちゃって言うとうちお風呂好きやしな。

 夜は絶対湯船につかるし、たまに銭湯とかにも行く。

 正直、シャワーだけでええとかいうやつの気持ちがわからへんのよなー。


 そんなことを考えながらお風呂の扉の前に着く。

 そしてチラリと視界に映った『お風呂(体を洗ったり入浴するところ)』の表札に一瞬イラッとしつつも、もったいぶらずにお風呂のドアを開ける。


「…なんや、これ?」


 お風呂の内部を見たとき、思わず出た第一声がそれだった。

 目の前にはまるでたっかい温泉旅館の様な脱衣所が広がっていた。

 広っ! これうちら二人の風呂やろ!? なんつー、贅沢な土地の使い方や!


 そうは言ってもその驚きは完全に喜びよりである。

 別にお風呂がゴージャスなら、うちらに百利あって一害なしなわけやしな。

 そして、こうなれば気になるのはやはり湯船の方。


「まさか脱衣所だけ豪勢で、風呂はしょぼいなんてボケはかましてけぇへんよな」


 いや、あのアホならやりかねん。

 とりあえず靴下だけを脱ぎ、そして本命のお風呂場へと歩いていく。

 やばいなぁ~、口では悪態をつきつつも意外と期待に胸が膨らんどる。


 脱衣所とお風呂場を仕切るガラスの引き戸。

 お風呂の扉を開けた時とは違い、今度は少々もったいぶるようにフーッと息を吐く。

 

「よっしゃ、開けるで」


 心の準備はできた。

 ガラッと勢いよく、その引き戸を引く。


「お~~~~」


 目の前の光景に思わず歓声にも似た声が漏れてもうた。

 

 お風呂場の中。

 それは脱衣所に見劣りすることなど一切ない程に広く、綺麗で、尚且つ豪勢だった。

 ここから見るだけでメッチャ色んな風呂がある! なんやこれ! やるやんけ、百合神!!


「うひゃあ~」


 思わずそのまま風呂場の中へと足を踏み出してまう。

 すっごいわ~、うちの近所の銭湯より遥かに設備整っとるやん。


 まあ、シャワーがマジの旅館とか銭湯みたいに何個もあったりするのはツッコミポイントなんやけど。うちら二人しかおらへんわけやし。

 だが、今回はその辺には目を瞑ったるわ。

 

「おおっ、サウナもあるやん。こっちは薬草風呂やし。これ虹白さんとかこういうの意外と好きそうやな~」


 そのあと、もうちょっとだけ風呂場散策をした後に脱衣所まで戻ってきた。

 う~ん、ええなぁ。はよ、一回入りたいわ~。


「ん?」


 物思いにふけっていると、そこである一つの見慣れないボタンがお風呂場の入り口付近の壁にあることに気付く。

 近づいてみるとそこには『非常事態用緊急ボタン(押せば音声だけが私と繋がる)』と書いてあった。

 なんでお風呂場にこんなんが必要やねん…、絶対押す機会無いやろ。

 あいつ、意外と心配性やな。


「まあ、これはどうでもええわ」


 そんなことより、はよ戻ってこのお風呂の情報を虹白さんに教えてやらな。

 そろそろ虹白さんの方も皿洗い終わったやろか。

 まったく、女優さんが皿洗いなんて率先してやらんでもよろしいのにな~。

 けど、なんややっぱ大人の女の人って感じやな~。ちょっとナイーブな感じはしたけど、やっぱ普通に頼りになる感じもするわ。


「さてと、戻ろかな」


 靴下は…、ええか。

 どうせすぐ入ることになるし、そんときにわざわざもう一回脱ぐ手間のために履き直すのも面倒やしな。

 靴下を脱いだ服を入れるためだろうカゴに入れ、そのままお風呂から外へと出る。


「あっ、すんません。もう後片付け終わってましたか」


 すると、すでに虹白さんは食事をしとった椅子に座ってボケーッとしてはった。

 これは…もしやうち思った以上にお風呂にいてもうたのかも…。

 少し急ぎながら、再び虹白さんの元へと走る。


「そんな急がないで大丈夫だよ」


 そんなうちの様子を見て、虹白さんが困った様に笑う。

 うーん、やっぱ優しい人やな~。


「すんません、ちょいと遅くなりました」


「ううん、全然。私もちょうどお皿洗い終わったところだよ。それよりお風呂どうだった?」


「あっ、それがですね! ――いや、」


 虹白さんに誘導される様な感じでお風呂の話題になる。

 が、その問いに答えようとしたところでうちの中で待ったがかかる。

 いや、別にうちが口で説明せんでもええか。実際に見た方が驚きもひとしおやろ。


「あれは実際に目で見た方がええですね」


「へぇ~、そんなに凄かったんだ」


「はい。だから飯も終わってちょうどええし、さっそくお風呂入りましょか!」


「――――え?」


 あれ?

 何の気なしにそう言った瞬間に、虹白さんの頬の筋肉がピクッと痙攣した様に見えた。

 気のせいやろか…?


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