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café「R」〜料理とワインと、ちょっぴり恋愛!?〜  作者: 木村色吹 @yolu
第2章 café「R」〜カフェから巡る四季〜

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《第96話》本日、定休日なり。再び!

 朝の見送りをこなし、一人部屋に残った莉子だが、連藤の部屋では色々とできることが制限されるようだ。

 さてと立ち上がっても食器は食洗機だし、ベッドはすぐに元に戻せるし、風呂は徹底的に洗ってみたけど20分で終了。トイレ掃除をしてからモップをかけようと思ったら、ロボット掃除機が10時の時報とともに一斉に動き出した。

 そう、一斉に。

 ……一体この家は何台完備してるんだ……

 リビングに2台は走ってるようだが、耳をすますと…

 どうも各部屋でも動いているのがわかる。


「はぁ…この家はハイテクすぎますねぇ……」


 莉子はソファでコーヒーをすすりながら、ロボット掃除機が走り抜けるたびに足をあげてかわしてみるが、掃除機くんは何周ここを回るつもりだろう。

 だが、こんな膝の上げ下げで1日を終えるわけにはいかない。


 自身のカフェの在庫はどうだろうか……

 今日は仕入れがあっただろうか……


「一旦帰ろう」


 立ち上がったとき、携帯にメールが届いた。


『夕食だが、三井と星川もいいだろうか』


 一瞬動きが固まってしまうが、


「どちらで、食事にしますか、と……」


『俺の家ではどうだろう』


「わかりましたぁー………

 あぁぁぁぁ………」


 莉子は床へと這いつくばるが、

 あの星川さんも一緒なのですか。そうですか。

 声にならない声で呟く。

 携帯を握りしめながら直線に伸びると、ロボット掃除機が彼女の体をかたどるようにぶつかっては離れ、ぶつかっては離れていく。

 莉子のもどかしい心をかたどっていくようで思わず足の指でロボットの電源を落としてしまう。

 もう一台は窓際の掃除に勤しんでいるので放っておくとして、どう予定を組み立てようか。

 

「やっぱ一回帰るかぁ……」


 莉子はドア前まで転がっていったとき、今度は携帯が鳴った。


『おい、莉子、』


「はい、どちらさまですか」


『俺だよ、俺!』


「誰だよ、あんたは」


『うるせーな!

 今日の夜、メインは牛肉が食いたいから電話したんだ!』


「それは三井さんのご要望ですか、それとも星川さんのご要望ですか」


『ど、どっちでもいいだろ』


「はいはい。

 牛肉メインで赤ワインね」


『わかってるじゃねぇか』


「赤ワイン、なんか指定ある?」


 聞くとそのまま同じセリフを電話の横へに三井は言った。


 お任せするわ

 私はなんでも飲めるから


「別になんでもいい」


 すぐさま返答が来るものの、声ははっきり聞き取れた。

 星川の声だ。

 これだけ尻にひかれる三井も珍しいと思いながらも返事すると、電話は切れた。


「いきなり切らないでよ……」


 携帯を見ると連藤から再びメールが届いている。


『俺の部屋にワインはある

 冷蔵庫を見て料理の買出しだけ頼みたい

 特段二人とも嫌いな食べ物などはない

 今日は定時で上がる

 一緒に支度をしよう

 三井たちは19時30分に来る予定だ』


「了解しましたーっと……

 さぁ、今日の夕食は何がいいかなぁ」


 足で止めたロボット掃除機を再び作動させると、冷蔵庫を覗き込んでから家を出ることにする。

 その時点で決めたことは、


 手の込んでいない料理にしよう!


 この言葉を胸に刻むと、自身のカフェへ寄り、細かな食材の確認と買出しへと足を進めた。 


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