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café「R」〜料理とワインと、ちょっぴり恋愛!?〜  作者: 木村色吹 @yolu
第2章 café「R」〜カフェから巡る四季〜

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62/218

《第62話》探偵はカフェにいる 12:47現在

今回、連載回になります。

三井が来店中。

「莉子、今日、パスタランチな」


 そう言いながらカウンターに腰を下ろしたのは三井である。


「ランチの時間に来るなんて珍しいね」


 パスタランチとなったため、サラダとスープの準備にかかるが、莉子の顔色があまり良くない。


「莉子、どうした? 元気ないな」


「……三井さん、実は……」


 カラトリー一式を揃え、水とサラダを出しながら彼女が話したことは、


「は? 連藤が、4日も顔を出してない?」


 前代未聞の事態だ。


「行けなくなることがあれば、今まで連絡をくれてたんだけど、それも全くなくて……

 私、嫌われたのかな……」


「莉子、はやまるなよ。

 こういうときは、アイツに頼もうぜ」


 水を一口含み、携帯を取り出すと、おもむろに番号を操作し通話を押した。

 すぐに相手につながったようで、


「お、ああ、お疲れ。お前出てこれるだろ? カフェまで来い」


 安心しろと言わんばかりの笑顔を向けて「パスタ、食っちまうわ」そういう三井の声に押され、莉子も気を取り直してパスタを準備し始めた。


 今日はチーズ入りクリームパスタだ。エビやアサリも入り、魚介のダシがでた美味しいクリームである。

 フェットチーネパスタによくからんで、大変美味しい出来であった。

 その食後のコーヒーをすすったところで現れたのは、木下だ。

 すぐさま三井の横に腰をかけると、


「莉子さんのお願いなら、何でもしますよ、私」


 前のめりな木下を三井が抑えると、


「連藤んとこのプロジェクト、お前、直に入ってんだろ?」


「代理となんかあったんですか?」


 木下は嬉しそうな悔しそうな微妙な表情を浮かべる。


「その…連絡がつかないんだ」


 莉子が寂しそうに伝えると、木下も泣きそうな顔になってしまう。莉子の悲しい顔は見たくないのだ。そんな曇った顔にさせた代理が許せないと顔を上げた時、


「なわけだから、お前、何か知らねぇか?」三井の声に木下は目を光らせた。


「任せてください。

 代理の邪魔をしているのは、おおよそ目星が付いています。

 今夜、またここでお会いしましょう。

 莉子さんが望むものを一式揃えてきます」


 言い切ると、コーヒーも飲まずに席を立った。


「じゃ、俺も今晩ここに来れるように準備すっか」


 ジャケットをひっつかんで、三井もまた出て行く。

 莉子は二人の背中を目で追いながら、二人の力強さに気持ちが押され、少し前向きになった気がした。

 今日も一度だけ、メールを入れておこう。


『こんにちは。体調とか崩してないですか? 何かあったら連絡くださいね』


 これ以上に何が言えるだろう。

 いつも連藤が莉子に対して送っている言葉だ。

 これを返すしか今はできない。


 莉子はそれをそのまま送信し、余計に携帯を眺めないように電源を落とした。


続きます。

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