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café「R」〜料理とワインと、ちょっぴり恋愛!?〜  作者: 木村色吹 @yolu
第4章 café「R」〜料理覚書〜

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208/218

《第208話》ハイボールに合うウイスキーって?①

 唐揚げとハイボールを楽しみたい!!!!!


 と、連絡が来たのは3日前。

 巧からだった。


 なんでも、


 もー、会食とかヤダ!!!!

 疲れる!!!!

 大人の会話、したくない!!!!


 とのことで、仕事放棄でもあるわけですが、固苦しくない状態で、固苦しくないものを食べたいそうだ。

 それに付き合うのは、瑞樹と三井、連藤になる。

 久しぶりの4人の集合に、莉子もどんなものがいいかと考えるが、なにより、ハイボールとは?


「……てか、ハイボールとは?」


 莉子の声ももれる。

 このカフェでは、瓶ビール、ワインばかり。泡といえば、スパークリングワインとなるわけで、全く、ウイスキーなんぞ置いていない。

 困った。困ったぞ。

 手をつけるところがもうわからない。

 ウイスキーと打ち込んで検索すれば、もう手に入らないような高価なものがゴロゴロでてくるし、だいたい、よく表記されているピート感とはなんぞや……?

 まだフルーティやベリー系の香りまではわかるが、モルト香とは??


「マジでわかんない……」


 莉子はランチの準備を進めながら、うんうんと首を捻り続けていた。

 捻っていれば、答えがでるときがある。


「あ! ヤスさん!」


 思わず声が出る。

 それぐらいしっかりぴったりハマった人物だったのだ。


「莉子ちゃんはワインだなんて、おしゃれだねぇ。うちは一人だから、強い酒ばっか。ウイスキーとかさぁ」


 何年前かも覚えていないが、そんな会話をしたことがあるのだ。

 昔すぎて、もう嗜んでいないかもしれない。

 でも昔取った杵柄で、ウイスキーウンチクを炸裂しないだろうか……?





「──え? ウイスキー?」


 いつもの時間に本を持ってやってきたヤスさんに、莉子は相談をもちかけた。

 それもそのまま、『ハイボールに合うウイスキーはありますか?』と。


「ウイスキーかぁ……ウイスキーは最近、高騰してて、今までのが倍とかなってて、ぜんぜん手が伸びなくなったよねぇ」


 独り言のようにつぶやきながら、顎を撫でている。

 莉子が差し出したコーヒーの香りをそっとかいで、嬉しそうに顔をほころばして、ひと口。


「最近、流行ってるかなぁって思うのは、ニッカウイスキーかなぁ」


 ニッカというと、赤い帽子をかぶった赤いヒゲのおじさんのイラストが思い浮かぶ。

 他には? と言われると、無勉強すぎて全くわからない。

 さきほど角瓶と調べたらサントリーで、ニッカのあるアサヒビールではなかったのもあり、もう、頭の中が混乱し始める。


「このウイスキー、最近でたんだけどさ。莉子ちゃんのお店にあっても似合うかもね」


 ヤスさんはスマホを操作し、画面を見せてくれた。

 そこには、透明な瓶に白文字が印字されたウイスキーがある。

 それは『おじさんクサイ』というイメージと真逆だ。

 おしゃれで、かわいい雰囲気もある。


「こんなウイスキーもあるんですね」

「これ、ニッカフロンティアっていうの。ブレンデットっていって、色んなウイスキーを混ぜて、いい感じにしたのなんだけど、手頃な金額だし、初心者でもウイスキーらしい味を楽しめると思うよ。特にハイボールはオススメだね」

「へー……」

「莉子ちゃんはワイン飲んでるから、わかると思うよ」

「いやいや。でも、探して飲んでみます」


 まずは、自分で飲んでみないとな。

 とは思うものの、ウイスキーはガバガバ飲むものでもない。

 1本買って、全然口に合わないと捨てるのも勿体ない。


 こういうとき召集されるのは、おっさん組、そう、三井と連藤である。

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